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2010年03月27日

『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』

クリス・アンダーセンの『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』を読みました。このブログでも何度か「ロングテール」について触れましたが、この概念を発表した人の新しい著作です。

「あなたはどうして無料で仕事のアイデアを公開しているのですか」とよく聞かれるのですが、僕は今までどうにもうまく答えられませんでした。でも、そこには「これは必ず自分のためになる」という根拠なき確信がありました。うまく言葉にできなかったその問への答えが、まさにこの本に書いてあったと今は思っています。それは非貨幣経済。第9章に出てきます。
1.デジタルのものは、遅かれ早かれ無料になる
2.アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
3.フリーは止まらない
4.フリーからもお金儲けはできる
5.市場を再評価する
6.ゼロにする
7.遅かれ早かれフリーと競いあうことになる
8.ムダを受け入れよう
9.フリーは別のものの価値を高める
10.稀少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

非貨幣経済については本書に譲るとして、私たち日本語教育の世界にも、こういう流れはどんどん押し寄せてくると思うんですよね。今は有料でやっているようなオンライン学習のサイトなんかも、一度元手を取ってしまって、もっといいバージョンを作ることができたら、古いものは公開してしまった方が宣伝になります。しかも維持費は下がり続けているので、閉鎖するよりは広報に利用した方が良くなるでしょう。

また、e-ラーニングと対面授業を組み合わせたブレンディッド・ラーニングなどでも、e-ラーニングの部分だけは無料で公開して、人件費や教材の印刷代のかかる対面式の授業だけ有料にするようなことも考えられるでしょう。

私自身、自律学習支援通信教育プログラムというコースをオンラインでやったことがありますが、内容はすべてパスワードもなく一般公開しています。
http://d.hatena.ne.jp/Murakami/
コースは有料ですが、受講者はうちの機関から添削などを受けることができました。受講者以外はそういうサービスは受けられませんが、一般公開している内容は見ることができます。

日本でも既にそれに近いビジネスモデルはいろいろと走り始めています。たとえば「rarejob」。
http://www.rarejob.com/
マンツーマンの英会話の授業が25分129円という驚きの価格で提供されています。

そして、ラーニングキャッチボール。こちらはなんと無料です。
http://learning-catchball.com/index.php?%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%82%92%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B

以前から紹介していますが、Lang-8もSmart.fmも無料で語学学習に利用できるサイトですよね。

結局、機械でもできるような機械的な練習しかしない教員などは、やはり機械に淘汰されてしまうということなのでしょう。そして、機械の出来ることはどんどん安くなっていくので、無料で公開して宣伝に使ってしまった方が学校に取ってはお得ということになります。コースデザインなど、機械には今のところ真似のできない仕事のできる人なら、まだしばらくは心配はなさそうです。

【ご参考】
「むらログ: 日本語教育のロングテール」
http://mongolia.seesaa.net/article/143480648.html

「むらログ: 辺境とはロングテールである」
http://mongolia.seesaa.net/article/34054039.html




posted by 村上吉文 at 08:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2010年01月10日

『インストラクショナルデザイン―教師のためのルールブックン』島宗理

百式の「この本は良いよねぇ、としみじみ思っちゃう本のまとめ」に同じ著者の『パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学』が載っていたので、ついでにインストラクショナルデザイン―教師のためのルールブックもご紹介します。



インストラクショナルデザインというと、ガニェの堅い本が有名ですが、この本はかなり簡単な語り口です。たとえば、冒頭はこんな感じ。
子供の頃を思い出してほしい。ランドセルを背負って通った小学校時代でも、部活動に明け暮れた高校時代でもいい。

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posted by 村上吉文 at 09:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年12月06日

ベトナムで能力試験対策コースを教える人は必携の対策本

今日はいよいよ日本語能力試験ですね。皆さんの教え子たちも試練に立ち向かっているのではないでしょうか。

さて、ベトナム以外でももちろん役には立つんですが、この『45日間で基礎からわかる日本語能力試験対策2級文法』の最大の特徴は、日本語、英語、中国語、韓国語に加えてベトナム語の説明もついていることです。私の知るかぎり、日本で出版された日本語の教科書でベトナム語の説明つきのものって、これが初めてなのではないでしょうか。

この本で学ぶ学生のためのドリル、『解けば解くほど実践力がアップする日本語能力試験対策2級文法ドリル』もありますが、こちらは各国語訳はありません。



posted by 村上吉文 at 08:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年11月05日

誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール

先週末に職場で大きなイベントがあって、かなりブログをさぼっていたので、リハビリ的に少しずつ再開したいと思います。

今日は飛行機の中で読んだ一冊、『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール』。現在、アマゾンの「本」のジャンルで第6位、「本 > 投資・金融・会社経営 > 会社経営 > 企画・プレゼン・文章術」のジャンルで第1位、「 本 > ビジネス・経済・キャリア > ビジネス実用 > ビジネス交渉・心理学」でも第1位となっています。

既にいろいろな人が書評を書いていますし、一般的な感想はこちらで読めますので、ここでは外国人が日本語の教科書として使うときの二つポイントをご紹介したいと思います。

二つのポイントとは?
posted by 村上吉文 at 07:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年07月03日

超一流とは 〜『シリコンバレーから将棋を観る』

 私は自分が超一流「である」とは思っていませんが、「になりたい」「でありたい」とはいつも思っている人間です。先日の「さあ、才能に目覚めよう」の記事でも「最上志向」が診断結果に入っていたとおりです。

 そういう人間にとって、この本の白眉は本文ではなく、あとがきにあります。続きを読む
posted by 村上吉文 at 10:33 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年06月17日

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう』



いろいろなところで書評が書かれていますが、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす』は要するに自分の強みを見つけるための本です。非常に参考になりました。全部で34の才能がリストになっていて、オンラインのテストを受けると、自分の強みを五つ教えてもらえます。続きを読む
posted by 村上吉文 at 08:03 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年05月08日

日本語教師なら必読! 『「集団主義」という錯覚』

最近、ベトナム人の大学教授から、面白い話を聞きました。「世界の三つの最高のもの」と「世界の三つの最悪のもの」というジョークです。

「世界の三つの最高のもの」
中国の料理
西洋の家
日本人の妻

「世界の三つの最悪なもの」
イギリスの料理
ベトナムのサラリー
アメリカ人の妻

しかし、普通の日本人だったら、男女を問わず日本人の妻が世界で一番だなんて思ってませんよね。こういう話はジョークですから、もちろん実証的なデータに基づく分析ではありません。

ところが、「日本人は欧米人に比べて集団主義的」という主張だったら、どうでしょうか。
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posted by 村上吉文 at 07:11 | Comment(3) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年02月02日

日本語教師は「感染列島」を見るべし!

一時帰国中に「勉強」の名目で子どもを実家にあずけ、妻と五年ぶりの映画館に行って観たのがこの映画。

「感染列島」

http://kansen-rettou.jp/

なぜ「勉強」なのかというと、私の住んでいるベトナムが
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posted by 村上吉文 at 07:45 | Comment(6) | TrackBack(1) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2009年01月10日

『日本語が亡びるとき』

のっけからモンゴル人とベトナム人が登場するので、何だか運命的な出会いを感じて一気に読んでしまいました。



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posted by 村上吉文 at 07:37 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年11月10日

読書進化論

十年来の友人が日本から来ているのですが、来る前におみやげのリクエストを聞かれたので、読書進化論~人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか~をお願いしました。

 これまでの
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posted by 村上吉文 at 08:38 | Comment(3) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年06月26日

国際交流基金『教材開発』がすごい件

学者やお役所の作る業務用参考書なんて、抽象的な概念別の章立てとかで全然役に立たないというのが昔の定番だったように思うのですが、最近はそうでもないようです。

「総務省「事業計画作成とベンチャー経営の手引き」がすごい件」
http://blog.livedoor.jp/lalha/archives/50215344.html
これ、マジにすごいです。下手なビジネス書なんかより、ずっと実用的。ベンチャーやるつもりがない人でも、仕事術として勉強になるところが山盛りです。

日本語教育の分野では、続きを読む
posted by 村上吉文 at 05:12 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年05月06日

論文誌・IT活用教育方法研究 ネットで全文読める!

先日「この本、読みたいんだけど高い。何とかしてくれ」と書いたら、何と編集の方が著者の加藤由香里先生に連絡してくれて、献本していただけました。うひゃあ、ブログってすごいですねえ。加藤先生、ありがとうございます。

で、後ほどそちらの本についても書かせていただきますが(厚くてまだ読みきれていないので)、今回は同封されていた「IT活用教育方法研究」という論文誌をご紹介します。こちらは40ページほどの薄いものですが、薄い割には刺激的なポイント満載です。続きを読む
posted by 村上吉文 at 12:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年03月29日

ビジターセッションや日本人との交流会には、これが効く

 先日ご紹介した吉田新一郎さんの本ですけど、実践してみました。やっぱり、いいです、これ。

 私が非常勤で働いている機関の授業で、ビジターセッションというのがあります。実は、ここで教えるまでビジターセッションというのをやってみたことがなく、初めてやってみた前回は、正直、暗中模索というか、行き当たりばったりなことになってしまいました。

 今回、二回目の挑戦で、やっぱりノウハウを仕入れとかなきゃと思って思い出したのが、効果10倍の“教える”技術―授業から企業研修まで (PHP新書)です。続きを読む
posted by 村上吉文 at 07:27 | Comment(4) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年03月28日

最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術

 私と非常に似たことを考えている人の本がありましたので、ご紹介します。
最少の時間と労力で最大の成果を出す「仕組み」仕事術

 私が「分身の術」や「がんくつロボ」などを作るときに念頭においているのは、続きを読む
タグ:仕事術 書評
posted by 村上吉文 at 06:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2008年02月15日

効果10倍の“教える”技術

以前、こんなことを書きながら、「また今度」が九ヶ月も先になってしまいました。
まあ、そういう「アウトプットで身につける」ということを考え始めたのは、吉田新一郎さんの『効果10倍の“教える”技術―授業から企業研修まで (PHP新書)』という本を読んでからなのですが、これに触れると長くなるので、また今度。
http://mongolia.seesaa.net/article/42497114.html


この本ね、まじにすごいです。続きを読む
posted by 村上吉文 at 04:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年07月03日

できる人の勉強法

できる人の勉強法」第三章「効率的な暗記法」を忘れないようにメモしておきます。
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posted by 村上吉文 at 07:13 | Comment(2) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年06月17日

一級合格者がもっと会話力を向上させる方法

ネット上の掲示板などで、「日本語能力的には一級も持っているし、これ以上何を教えていいか分からない」という相談が時々あります。

そういう場合には、私は日本人向けのノウハウなんかも面白いと思っています。今回は、会話力アップのためのリソースをご紹介します。

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posted by 村上吉文 at 06:23 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年06月11日

デジタルワークスタイル

以前、若い日本語教師の方々を念頭に、ちょっとエラソーな書き方をしてしまったことがあります。公的な法人が行っている有意義なセミナーなのに、参加者があまりにも少ないことを嘆いたエントリーでした。

ただ、こうした有益な情報を知らない人も、実は続きを読む
posted by 村上吉文 at 07:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年05月13日

半歩先を行くプログラマになる方法

日経ソフトウェアに「半歩先を行くプログラマになる方法」という記事がありました。石垣一さんという方が書いています。日本語教師としても参考になるので、メモ代わりに概要を記しておきます。

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posted by 村上吉文 at 08:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加

2007年05月02日

フラット化する世界

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界(上)』を読みました。なかなか刺激的な本です。梅田望夫さんの「ウェブ進化論」に興奮した人なら、まちがいなくワクワクドキドキの世界を体験できます。

「フラット化」というのは、続きを読む
posted by 村上吉文 at 04:59 | Comment(0) | TrackBack(1) | 書評 | このエントリーをはてなブックマークに追加