で、深刻に考えてしまうのは、やはり日本人はもっと移民を受け入れなくてはならないんじゃないかな、ということです。
実際に、政治の世界では民主党内にも「1000万移民受け入れ」という考えがあるし、自民は中川秀直氏がかなり積極的に発言していますよね。
『通商白書』がこんなことを書いていたのは、もう五年も前のことです。1,800万人の移民ですよ。
現在の生産年齢人口を2030年時点においても維持しようとすれば、単純計算で2030年までに約1,800万人もの外国人労働者を追加的に受け入れる必要が生じる。
http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2005/2005honbun/html/H3233000.html
同じ年の通商白書には、以下のような記述もあります。
外国人労働者に対する国民意識の熟度(第3-2-28図、第3-2-29図)を勘案すれば、外国人労働者政策において、「労働力人口の維持」という目標をメインターゲットとすることは現実的ではない。
移民政策の最大の障害が、外国人をあまり知らない日本人の国民感情である以上、我々日本語教師はもう少し社会に対して声を挙げていくべきなんじゃないでしょうか。
つまり、彼らも普通の人間だってことです。
普通の人間なんだから、いいやつもいれば悪いやつもいる。金持ちになりたいやつもいれば幸せな家庭を築きたい人もいる。そういうことをです。
意識を変えれば、日本は移民を受け入れられると思うし、そうしないと国は滅びる。実際に白豪主義で有名だったオーストラリアだって、現在は以下のようになっています。
オーストラリア移民多文化省は2005年、同国内における労働力の25%が国外出身者であり、40%が少なくとも片親が国外出身者であると推定している。
http://bit.ly/b9ppKf
もちろん、移民を入れれば、移民による殺人事件なども起きるでしょう。残念だけど、当たり前です。日本人だって殺人事件を起こすんだから、外国人だけが起こさないなんてことはあり得ない。そして、「だから移民はいやだといっただろう」というような人も出てくるでしょう。しかし、問題は、日本人だけじゃ、それ以上にひどいことになるんじゃないんですかってとこにあります。
たとえば医療。奈良では有名な事件がありました。
奈良の妊婦が死亡 18病院が転送拒否
2006年10月17日
奈良県大淀町の町立大淀病院で今年8月、出産中の妊婦が意識不明の重体に陥り、受け入れ先の病院を探したが、同県立医大付属病院(同県橿原市)など19病院に「ベッドが満床」などと拒否されていたことがわかった。妊婦は約6時間後に約60キロ離れた大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送され、男児を出産したが、脳内出血のため8日後に死亡した。
http://www.asahi.com/special/obstetrician/OSK200610170023.html
日本人だけじゃ、もう日本を支えていく手が足りないんです。移民政策によって失われる命もあるかもしれないけど、こうして人手が足りなくて死んでいく命だってあるんです。移民政策によって救える命の方が一つでも多いのなら、それは間違いなく移民政策を進めるべきだという結論になるのではないでしょうか。
そして、外国人をほとんど知らない日本人に対して、「彼らも普通の人間なんだ」ってことを伝えられるのは、常に外国人に接している我々の他にいないのです。
同業者の皆さん、声を挙げてみませんか。