2008年05月15日

「PLE」 これこそ学習の高速道路なのか?

梅田望夫師匠が数日前に「learning 2.0」のタグでブックマークしていたページに、こんなことが書いてありました。
So, can Web 2.0 help get us around the present limitations of ePortfolios?
Web 2.0 provides an opportunity for students to mash up a variety of applications, the results of which they own themselves and can make available to anyone. To that end, we should start thinking not so much in terms of an ePortfolio but, instead, in terms of a personal learning environment (PLE).
http://campustechnology.com/articles/58872_3/

この「PLE」というのを調べてみると、これがなかなか重要なキーワードのようです。要するにブログやwikiやフィードリーダー、各種の共有サイト(flickr、youtubeなど)などのソーシャルメディアを応用して、個人が自立的に学ぶ環境を作るという考えのようです。

ウィキペディアにはこんな風に書いてあります。
「set their own learning goals」
「manage their learning; managing both content and process」
「communicate with others in the process of learning」
http://en.wikipedia.org/wiki/Personal_Learning_Environment
二番目に挙げられている点なんて、私が「はてブで得た確信。それはコンテンツとフレームワークだ!」で書いたことに非常に近いですね。

そして、三番目の「学びの過程で他者と交流する」のところで、ソーシャルメディアが出てくるわけですが、「高速道路を疾走する少女」として有名な将棋の里見香奈さんのように、オンラインの対戦で腕を磨くというのも、「学びの過程で他者と交流する」に該当しますよね。

従来のe-ラーニングとの違いとしては、マニトバ大学学習技術センターのサイトに、こんな風に書いてあります。もう最高です。私が何となく感じていた違和感が、まさにバシッと書いてあります。
While an LMS can provide a similar approach, they heavily favor the "one expert" voice through the layout of learning materials and resources. PLE, conceptually, at least, do not pre-weight any particular node of knowledge, dialogue, or information. The voice of an educator is still important, but not primary, as learners may be extending their overall learning through numerous voices.
http://ltc.umanitoba.ca/wiki/index.php?title=Ple
(このページの後半にある「Elements of a Personal Learning Environment」を見ると、「生産ツール」「協働、共有ツール」[コミュニケーション」などのカテゴリーに分かれて具体的なツールが紹介されていて、わかりやすいと思います)

同じようにMLE(管理された学習環境)との違いについてもいくつかの文章があります。たとえば「PLEs and MLEs」
http://blog.core-ed.net/derek/2006/10/ples_and_mles.html

ここまでご紹介したのはちょっと硬い英文でしたが、もう少し砕けた感じの読みやすい説明(定義?)としては、この辺がおすすめ。
http://michelemartin.typepad.com/thebambooprojectblog/2007/08/supporting-pe-1.html
まあ、簡単に要約してみるとこんな感じです。
 1.それ(PLE)は個人的だ。(内容と道具において)
 2.それは自律学習だ。
 3.それは環境だ。(トレーニングでなくラーニングである環境、PLEの道具にアクセスできる環境)

同じサイトの「Seven Strategies for Supporting Personal Learning Environments at Work」も読みやすい英語で書かれています。
http://michelemartin.typepad.com/thebambooprojectblog/2007/08/supporting-pers.html
この七つの戦略とは、以下のようなことです。
1.学びの雰囲気(culture)を作る。
2.PLEの実際を見せる。
3.ツールを紹介しはじめる。
4.仕事が楽になるとか生産性があがるなどの文脈でツールを紹介する。
5.それで遊ばせてみる。
6.学習した人をほめる。
7.影響力のある人に使わせる。

「PLEs and MLEs」のDerek Wenmothさんの名前はよく引用されているようですが、もう一人、Stephen Downesさんも中心人物っぽいです。上記の読みやすい英語の人も何度も引用しています。

Stephen Downesさんのwikiでの紹介はこちら。
http://en.wikipedia.org/wiki/Stephen_Downes
公式サイトはこちら。
http://www.downes.ca/
ブログはこちら。
http://www.downes.ca/cgi-bin/page.cgi?journal=Half%20an%20Hour

上記の各種ツールになじみがない方には、以下が参考になりましたのでご紹介します。一番最初は「デジタルワークスタイル」がわかりやすいと思います。


このあたりの記事を一あたり読んでみて感じたこと
まず思ったのは、梅田望夫さんのいう「学習の高速道路」に近いな、ということです。基本的に中央集中管理型でもないし、組織型でもありません。ウェブ上のリソースを使って個人が学習する環境なんですから、まさにPLEですよね。これが、もう少し体系だって紹介できるようになればすごいなあ。

それから、日本ではe-ラーニングというだけで「すごい時代前夜」とか騒がれていますが(というか、私が騒いでいるんですが)、英語の資料を見てみると、もう「すごい時代1.0」は古臭い過去の遺物で、今は「すごい時代2.0前夜」なんですよね。

PLEの私にとっての利点は、「組織に属していない教師でも使える」ということです。いくらオープンソースのLMSが使えるようになったとは言っても、これは私のようにフリーの日本語教師にとっては、いまいち使えないツールでした。というのも、そもそも自分の勤務先のサーバーにLMSをインストールしないと使えないし、専任の中にITリテラシーの高い人がいないと、話すら通じないからです。そして一般的に専任の教師というのは事務に追われていて新しいことを始める精神的な余裕はありません。

しかし、そういう状況でも、PLEなら話は違いますよね。中央の集中管理ではなく、ネット上にオープンに分散したリソースを使うので、非常勤教師でも、サーバー管理ができなくても、一般のユーザー程度の知識さえあれば、誰でも授業に導入することができるわけです。

うーん、すごい時代だ。こちらが追いついたと思うと、実はどんどん先に行っているんだなあ。

5/16追記
この記事にご興味を持っていただけた方は、このブログの次の記事も参考になると思います。(語学の勉強以外では参考にならないかもしれませんが)
「むらログ:志向性を増幅させるスゴイ勉強法」
http://mongolia.seesaa.net/article/75052848.html
「インタラクティブな独習用英語教材作成が一分を切りました。(デモ動画あり)」
http://mongolia.seesaa.net/article/92867438.html
「スティーブ・ジョブズのスピーチをインタラクティブな英語教材にしてみた。」
http://mongolia.seesaa.net/article/92744005.html
「英文サイトを三秒で独習英語教材にするための二つのツール(デモ動画あり)」
http://mongolia.seesaa.net/article/92619880.html
「「すごい時代」前夜の語学e-ラーニング」
http://mongolia.seesaa.net/article/91929386.html
なぜなら、e-ラーニングの本来の目的は「一斉授業からの脱却」にあると感じているからです。つまり、学習者が自分のペースで、自分のコンテンツを選択しながら学べるのが、e-ラーニングの最大の力なのではないかと思うのです。そう考えると、e-ラーニングを「学習へのITの応用」と考えるよりも、最近の大きな潮流である自律的な学習の一つの形態に過ぎないと捉えることもできます。これこそがe-ラーニングの本質なのではないかと私は感じています。
http://mongolia.seesaa.net/article/91929386.html


また、ちょっと古いですがscribdにアップした以下の文章も参考になるかもしれません。
「web2.0と日本語教育」
http://www.scribd.com/doc/917947/web2-0
posted by 村上吉文 at 05:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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