2008年04月17日

はてブで得た確信。それはコンテンツとフレームワークだ!

おかげさまで、今月九日の「スティーブ・ジョブズのスピーチをインタラクティブな英語教材にしてみた。」というエントリーが多くの人に評価をしていただき、このブログのブックマークの一位になりました。この記事へのユニークビジターは2995人で、ページビューは現時点までに4855回となっております。

今までは朝青龍関係のエントリーばかり目立っていたので、これで多少は本来の姿に近くなったような気がしています。とは言っても、私の本職は日本語教育であって、そこで得たノウハウを英語学習に応用してみただけなんですが。

さて、以前から漠然とした自信はあったんですが、今回の「はてなブックマーク」の人気エントリー入りで、確信に変わったことがあります。それは、コンテンツの重要性と、フレームワークの重要性です。この二つは、一見、矛盾するように思うのですが、こういうことです。

コンテンツの重要性
もはや、語学教育は目標言語(英語学習者にとっての英語、日本語学習者にとっての日本語)だけではコンテンツになり得ない。求められているのは、「その言語で何を学べるか」だ。


今回のブックマークによるコメントの中にも、以下のようなものがありました。
2008年04月12日 pho 覚えたいくらい気に入ったコンテンツは、教材にするとよさげ
2008年04月10日 kazz7 これはいい英語教材。後は、家に帰ってからちゃんと取り組むかどうかが問題。
2008年04月09日 topo-gigio いい材料はどんな料理にも使える
2008年04月09日 stonife スティーブ・ジョブスのスピーチってけっこう聞き取りやすいなぁと思ってたので、こういうのがあるとありがたいです
2008年04月09日 ngonikki 林檎を食べると窓に疑問を感じてしまい,楽園から追放される
2008年04月09日 gimbuee きたコレ! MacWorldのpadcastも 合わせて聞きたい
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://mongolia.seesaa.net/article/92744005.html

つまり、私が題材にしたジョブズのスピーチが素晴らしいコンテンツだったから評価してくれたわけです。

逆に言うと、私が英語を学び始めた頃の「これはペンです」ではダメだということなんですよね。教材そのものの中に、学習者を奮い立たせたり、学びたいという気持ちを掻き立てるような力がなければならないのではないかと思いました。

たとえば私はベトナム語を勉強しているんですが、教材に「吹雪」なんて語彙が出てくると、もうホントにゲンナリしてしまいます。ロシア語やモンゴル語を勉強しているときに「吹雪」が出てくれば「勉強しなきゃ」と思いますが、ベトナム語ですよ、ベトナム語。2年間の任期中に、吹雪に遭遇する可能性なんてまずあり得ません。学習動機がガクッと落ちるのが手に取るように自覚できます。

そして、その逆に、今回のスティーブ・ジョブズのスピーチのようなものに触れると、「もっと知りたい!」「全文暗記したい!」という気持ちになるわけです。

ただ、問題は、どんなコンテンツに触れたら、学習者がそのように反応するか、です。これは学習者の多様性を理解している人なら、答えなどないことを知っているでしょう。つまり、スティーブ・ジョブズのスピーチに感動する人もいれば、しない人もいる。感動しない人にとっては、私の提供した教材はあまり力を持たないのです。

そして、そこで重要になってくるのが、フレームワークです。これは、前から漠然と感じていたことでしたが、「iKnowはだめだ。と独学マニアはぼやいた」で明確に言語化されていたのに触れて、私の中ではっきりと概念が形になってきたものです。
つまり、上記のコンテンツの重要性と矛盾するように聞こえるかもしれませんが、求められているのはコンテンツではない。そのコンテンツを教材化するフレームワークだということなのです。

もちろん、上に書いたとおり、コンテンツは重要です。しかし、それを提供することは我々語学教育にかかわるものには求められていません。なぜなら、それは学習者によって違いすぎるからです。どの学習者にも受け入れられるコンテンツなど、この多様化した世界には存在しません。ですから、我々に求められているのは、学習者が見つけてきた多種多様なコンテンツを教材化する枠組みなのです。

そして、それが、そのエントリーで紹介した「分身の術」であり、「がんくつロボ」であったのだと思います。はてなブックマークから、こちらの面を評価してくださったみなさんのコメントをご紹介します。
2008年04月12日 kany1120 「教師が提供するのは学習のコンテンツ自体ではなく、その探し方や使い方」「必要なのはフレームワーク」コンテンツを探す気が起きないものは、勉強したくないものなんだろう。
2008年04月09日 xr0038 英語教材をトップダウンではなくシェアにしたという点がおもしろい。専用のリンクとか検索とかあったら利用しやすそう。
2008年04月09日 acchie 圧倒的な情報量をベースに情報の質を変える試み。こういう発想は面白いなぁ。
2008年04月09日 yorihito_tanaka 「必要なのはフレームワーク」→作るのは私
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://mongolia.seesaa.net/article/92744005.html

ということで、例えば国際交流基金のような公的な組織に求められるのは、多くの学習者の学習動機を掻き立てるようなコンテンツの提供(たとえばアニメやゲームの教材化など)だけでなく、それらのコンテンツを学習者個人個人が教材化する枠組みの開発ではないでしょうか。前者に関しては語彙データベースの開発などが進んでいるようですので期待していますが、後者についても是非ご検討をお願いしたいと思っています。

なお、現在173ものブックマークがついているエントリーを、最初にブックマークしてくださったのが他ならぬ梅田望夫さんだったことが非常に嬉しかったので、こういう「フレームワーク」という考え方は、「学習の高速道路」論にも多く触発されていることを申し添えておきます。
posted by 村上吉文 at 06:37 | Comment(0) | TrackBack(1) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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