2008年01月15日

効果10倍の<教える>技術

以前、こんなことを書きながら、「また今度」が九ヶ月も先になってしまいました。
まあ、そういう「アウトプットで身につける」ということを考え始めたのは、吉田新一郎さんの『効果10倍の“教える”技術―授業から企業研修まで (PHP新書)』という本を読んでからなのですが、これに触れると長くなるので、また今度。
http://mongolia.seesaa.net/article/42497114.html


この本ね、まじにすごいです。いつかこのブログで紹介しようと思っていながら、あまりにも具体例が豊富すぎて紹介するには絞りきれない状況で、そのままになってしまいました。

で、来月受ける研修の中で、この『効果10倍の“教える”技術―授業から企業研修まで (PHP新書)』が事前課題として出てきたんですよ。それで、お、あの先生もこの本に感心したんだな、と思い出して、皆さんにもご紹介する次第です。

最初の「プロローグ」から、こんな風に非常に具体的な方法がたくさん紹介されます。
『ワールドスタディーズ』「活発な話し合いをする際のヒント」
1.何か手に取れるものを使う。
2.課題は明確に。
3.少人数(3−6人)で
4.議論の余地のあるものを
5.力をあわせて
6.視覚に訴えるものを
7.並べて、比べて、選んで、まとめて
8.体験してから考える。
9.難しすぎず、やさしすぎず


その他、よく引用される例ですが、老子の「聞いたことは忘れる。見たことは覚える。やったことは分かる」を挙げた後で、具体的な数値も出しています。これは「アメリカの研究者」」とだけあって、誰なのかが特定されていませんが、こんな感じです。
記憶に残る割合
聞いたことは10%。
見たことは15%。
聞いて見たことは20%。
話し合ったときは40%。
体験したことは80%。
教えたことは90%。
この、「教えたことは90%」が今回のエントリーの冒頭に紹介した引用部をかいたきっかけです。まあ、Javascriptのコードなんて難しいものじゃありませんし、今の私から見たら「こんな初歩的なこと書いちゃって」な内容なんですが(と偉そうに言えるレベルでも依然としてないのですが)、それでも書かないよりは書いた方が身に付くのは事実なんですよね。

基本的にブログっていうのは、「何となく分かっているものを書くためにまとめる」→「身に付く」という効用がいちばん大きいんじゃないかな、と思います。

第二章と第三章は、きちんと読んだ方がいいところなんですが、見出しだけ紹介しておきます。
第二章 より学びを作るための5つのポイント
1.人間関係をどう築くか。
2.学びの原則
3.学びのスタイル
4.マルチ能力
5.変化の原則

第三章 学びのサイクル
1.ひきつける
2.インパクトのある体験や情報の提供
3.体験や情報の振り返りと共有
4.応用する
5.プログラム全体の振り返りと評価

それから、さらに「仕事への応用」の可能性を研修の要素別に計算しているのも、非常に興味深かったです。
研修の要素            仕事への応用
理論               5-10%
理論+事例紹介          5-10%
理論+事例紹介+練習       10-15%
理論+事例紹介+練習+サポート  80-90%
(157ページ)
日本語教育の現場では「理論+例文+練習」までは誰でも行きますが、仕事で日本語が使えるようになるには、もっと現場でのサポートが必要なんですよね。ここでの「サポート」とは、ピア・コーチング、先輩や上司のメンタリング、グループで助け合うこと、などとされています。クラスの雰囲気がよくて、卒業後も同級生同士で交流があったりすると、楽しいばかりじゃなくて、そこで学んだことも生きてくるんですね。ということは、そういう場を提供するのも教師の仕事のうちかもしれません。

この節では、研修の効果を生かすには「研修期間中よりも研修前こそが重要である」ということと、「研修の効果を仕事に生かすには参加者や講師ではなく、上司がその鍵を握っている」などと非常に考えさせられることも書いてあります。

(そっかー。だから今度の研修はこんなに事前課題が多いんだ・・・)

我々教員にとっての学びの方法も、こんなに具体的に書いています。と言いつつ、全部書くのは疲れるので、見出しだけ。
表10 教員にとっての多様な学びの方法
個人で
二人で
チームで
学校ぐるみで

ここだけでも全部で40の方法が紹介されています。知りたい人は買ってください。

と思ったら、この見出し、同じ著者の「学び」で組織は成長する (光文社新書)にそっくりですね。こちらの章立てはこんな感じです。
第1章 一人でできる学び
第2章 二人でできる学び
第3章 チームでできる学び
第4章 組織レベルの学び
教員にとっての学びの方法に興味のある方は、この「学び」で組織は成長する (光文社新書)の方がオススメかもしれません。

「効果10倍」に戻りますが、圧巻は最後の「資料編」(203ページ)。忙しい人は、ここだけでも読むべき価値はあります。とにかく全部、具体的な研修の方法です。たくさんあります。

 たとえば、「アイスブレイキングの方法」だけでも具体的な11の方法が書いてあります。その他「ユニークかつ効果的な教育方法」が四つ、多様な評価方法が19例など。

哲学とか、こむずかしい背景理論とかに興味がなく、とりあえず「教室でのノウハウだけたくさん知りたい!」という人には、本当に役に立つ一冊だと思います。

ご購入はこちらから。


読者の皆様へお願い
ところでワタクシ、今年の8月7日から国際交流基金の専門家として、某国に赴任することになりました。(まだ確認中らしいですが)

今回ご紹介した本が使われるのはその派遣前研修なんですが、この本でも「グループでの助け合い」の大切さや、「研修前」がカギであることなどが説かれていることもあるし、研修参加者のネットワークを作りたいと思います。メーリングリストにするか、ウィキにするか、プライベートなSNSを作るか、いろいろとアイデアはあると思いますが、そういったことも話し合いたいので、このブログの読者の皆さんで、来年度、国際交流基金から専門家かジュニア専門家か指導助手で派遣される人のお知り合いがいらっしゃいましたら、ぜひ、ここで連絡をお待ちしている旨、お知らせいただけないでしょうか。

よろしくお願いいたします。
posted by 村上吉文 at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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