2007年12月24日

ベトナム人学習者にアニメで日本語を教えるなら、これ。

 日本のアニメ映画が日本語教材としても非常にすぐれていることは既にこのブログでも書いていますし、柴田智子さんの実践などもご紹介してきました。しかし、それが単に「日本のアニメ」ではなく、学習者にとって「自分の国と日本の両方で作られた映画だ」としたらどうでしょう。

 その作品を本当に好きになってくれたら、将来の仕事の選択肢としても日本のアニメ産業が視野に入ってくるはずです。だって、日本のアニメーターって英語ペラペラって感じじゃなさそうですし(違ってたらスミマセン)、日本と現地のアニメーターこコミュニケーションには日本語が使われるだろうと思うのです。あるいは、絵の好きな学習者だったら、自分がアニメ作家になって日本の市場に飛び込むとか、わくわくする夢を持ってくれるかもしれません。

 中国や韓国では、すでにそういう方向性をもっている学習者に対して「日本と自分たちの国で作った映画だ」としてアニメ映画を教材にして頑張っている教員がいるかもしれません。最大の日本語学習者を抱える韓国では、「千と千尋の神隠し」が下請けされていたりしましたしね。

 しかし、そこに「ベトナム」という国でも新しい可能性が出てきたようです。以下に、ネットで見つけた記事をご紹介しますね。
「グレンラガン」「アイシールド21」──日本のアニメはベトナムでも作られていたっ!!
 今年の文化庁メディア芸術祭でアニメーション部門優秀賞を受賞した「天元突破グレンラガン」。「週刊少年ジャンプ」に連載中の漫画をアニメ化した「アイシールド21」。ハイクオリティーな劇場版「河童のクゥと夏休み」──。

 みなさんはこれらのアニメーションに共通する、ある要素を想像できるだろうか? 実はこれらの作品制作には、とあるベトナムのアニメ会社が関わっているのだ。

ここにアニメのタイトルがいくつか上がっていますが、恥ずかしながら、私は一つも知りませんでした。多忙な日本語教師にとっては、テレビを見る時間なんてなかなかありませんしね。それでも興味があったので、ネットで調べてみました。

まず、「グレンラガン」はイメージ検索の結果を見ても、ウィキペディアのあらすじの欄を見ても、日本のアニメに詳しくない学習者にはちょっと使いにくいかな、という印象があります。「最終回、感動した!」というようなブログも見受けられますが、はっきり言っちゃうとオタクくさすぎますね、はい。

次に、「アイシールド21」は、ウィキペディアのあらすじの欄を見るとアメフトのチームを舞台にする内容でなかなか良さそうです。が、劇場用アニメではなく、回数の多いテレビ放送で、しかも二年半に渡って放送され、最終回がなんと第119話というとんでもなく長い作品なので、これも授業では使いにくそうですね。

その点、冒頭の記事で三つ目に紹介されていた「河童のクゥと夏休み」は文部科学省選定作品なのでとりあえず見せたらこっちが恥ずかしくなるようなシーンはなさそうですし、劇場用映画なので時間的にもまとまっています。

ウィキペディアによると、こんな感じです。
現代社会に蘇った河童の子供「クゥ」と、少年・康一との友情、そしてそれを取り巻く人間模様を描く。環境問題、いじめ、マスコミの報道過熱など日本の社会を風刺している。(中略)
劇場公開前に数多く試写会が行なわれたほか、国内外の映画祭でも上映され、2007年7月に台湾で行なわれた第9回台北映画祭では子供映画部門オーディエンス・チョイス・アウォードを受賞。11月に韓国ソウルで開かれた日本映画祭ではオープニング作品として上映された。

なかなか興味がわきますよね。
著作権の心配のないウィキペディアなので、ちょっと長いですがあらすじを以下にご紹介します。
東久留米に住む普通の小学生、上原康一は夏休み前のある雨の日の下校途中、同級生とふざけ合っていた。そのはずみで川辺に靴を落とし、拾いに行った。しかし川の辺に埋もれていた大きな石に何度もつまづき、掘り出して壁に投げつけた。すると石は割れて、中からカメの化石のような奇妙なものが出て来た。それを水で洗って漬けていると色づき、やがて動き出した。それは、何と河童の子供であった。 河童は、その第一声から「クゥ」と名付けられた。クゥは父親を武士に切り倒された直後、大地震のために地割れに挟まれ、三百年もの間石に閉じ込められていたのだった。そして上原一家は、クゥを密かに居候させることにした。元気になったクゥは、かつて住んでいた「竜神沼」に帰ると言い出すが、康一達は「外は危ない」と説得する。クゥはもう少し厄介になることを決めた。

康一はクゥに今の世界を見せるため、クゥをリュックサックに押し込み街を案内する。クゥはリュックのファスナーの隙間から目だけを出し、自分たちの住んでいた場所がすっかり様変わりしていた事に驚き、更に住んでいた沼がマンションになっている事に愕然とする。しばらくは落ち込んでいたクゥだったが、上原一家の温かさに触れいつしか家族の一員の様になっていた。ある日、クゥは雑誌の「河童に出会う旅」という記事を見て、この地へ行く事をせがんだ。康一は夏休みを利用して河童の仲間を探しに行くため、クゥを再びリュックサックに隠し入れて遠野へと旅に出た。康一は、ひと気の無い川で生き生きと泳ぎ回るクゥに驚かされる。だが、クゥが民宿で出会った座敷童子から「河童は百年見ていない」と告げられ、クゥは遠野での河童探しを諦める。

康一達が帰宅するまでに、上原家に河童がいるという噂が徐々に広まり、やがてマスコミをも巻き込む大騒ぎに発展した。帰宅した康一達は写真週刊誌の記者とカメラマンに尾行され、遂にクゥを写真に撮られてしまった。フラッシュの光に驚いたクゥは、手も触れずに一瞬でカメラのレンズを壊してしまう。それは河童の神通力のようであった。そしてついに、クゥの存在がついに知れ渡ってしまった。 その後、上原家の自宅前は報道陣や野次馬だらけになってしまい、一家は総出でクゥを匿う。しかし康一の父である保雄の会社の得意先で、クゥをCM出演させる話まで持ち上がり、いよいよ追い込まれる。クゥは、上原家に迷惑をかけていると思い、恩返しのつもりでテレビ出演を決意する。

ワイドショーへ出演する事となったクゥと上原一家は、飼い犬のオッサンも連れてテレビ局へ向かう。そこへ待ち受けていたのは、ゲストの河童の研究家であった。彼はクゥの父親の河童を切り倒した武士に酷似したその子孫であり、しかもクゥの父親の腕のミイラを所持していたのであった。それを見て激高したクゥは、スタジオのカメラや照明を神通力で破壊しながら、父の腕を持ったままオッサンの背に乗り、テレビ局から逃げ出した。野次馬達に追われながら、そしていつしか東京タワーへと辿り着く。しかし、クゥを乗せたオッサンは野次馬の運転する自動車にはねられて息絶えてしまう。クゥは一命を取り留めたが、その悲しみと怒りと絶望に暮れ、タワーの中腹まで自力で登って行った。頭の皿も乾き、疲れ果てたクゥは、仲間のいない人間だらけの現代社会に失望していた。クゥは父親の腕にすがり付き「父ちゃん!」と叫び続けた。するとクゥの眼前に、突然暗雲が立ち込め出した…。

うーむ、この後どうなるのか、非常に興味をそそられますね。見てみたくなってきたのでamazonを調べたのですが、しかし、大変残念なことに、DVDは未発売のようです。評価は高かったようですから、ちょっと待てば出てくれると思います。

youtubeにも動画があがっているようですから二つご紹介しておきます。

(30秒バージョン)


(1分40秒バージョン)
主人公の少年が河童と一緒に川の底を潜っていく行くシーンなんか、本当にキレイです。

主題歌も見つけることができました。


ネットの反応もかなりよいようです。たとえばyahooムービー。
感動しました。さすが原監督作品。河童は最初はキモイのですが、抱きしめたくなるほど可愛くなります。
お子様用アニメでこんなに泣いてしまうなんて思いもしませんでした。
アニメとしては秀作と言える作品である。河童や犬から見た人間像をうまくとらえ、表現している。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id327496/

その他、映画生活の口コミ評価でも、非常に高い評価を得ているようです。

ブログ界でも泣ける映画と本のblog虎の尾を踏む男たちなどで高く評価する感想がつづられています。

なんだか、最初は「ベトナムで教えている人にはいい素材かも」というぐらいの気持ちだったんですが、もしかしたら誰が見ても素晴らしい映画なのかもしれません。

それにしても思ってしまうのは、どれほど多くのこうした優れた作品に、私は出会えないまま、すれ違ってしまうのだろうか、ということです。おそらく今まで見逃した中にも素晴らしいものがあったに違いありません。それが残念でなりません。


参考:販売中の絵本


主題歌「夏のしずく」

さびの部分の「ずっとそばにいられると思っていた」の旋律が耳について離れません。
posted by 村上吉文 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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