2007年10月13日

インドの日本語教育についてのメモ。

事情があって、インドの日本語教育についてちょこっとおさらいする必要がありましたので、ここにメモしておきます。

まず、インドと隣のスリランカの日本語教育事情をちょっと比較してみました。データは2003年の国際交流基金の調査です。

この調査では、インドの日本語学習者数は5,446人に対して、スリランカは5,219人ですから、これだけ見ると、ほぼ同じような規模です。

ただ、面白いことは、その内訳が全然違う点なんですよね。

学校教育とそれ以外に分けて見てみると、インドの学校教育での日本語学習者は1,099人で、スリランカの4,241人に比べたら、四分の一以下です。逆に、学校教育以外では、インドが4,347人に対して978人と、ほとんど逆の数字になっています。

つまり、
・インドの日本語教育は、そのほとんどが学校教育以外。
・スリランカの日本語教育は、そのほとんどが学校教育。
という違いがあるわけです。

インドでの学校教育以外というのは、おそらく経済交流に基づいた教育のことでしょう。日系企業の社内研修とか、日本と取引のある企業に就職したい若者の駅前留学とか。

これはすごいことです。

何がすごいかというと、要するに社会にそれだけのニーズがあるということを意味しているのではないでしょうか。

国際交流基金の国別調査にも、以下のような記述があります。
大手のソフトウェア企業では独自の日本語研修を行なうところも多い。IT関係の他に自動車関連企業でも社内教育として日本語を教えているところがある。
http://www.jpf.go.jp/j/japan_j/oversea/kunibetsu/2005/india.html

また、このページの「学習目的」という欄では、学校教育では「日本の文化に関する知識を得るため」が学習動機の一位になっている一方で、学校教育以外の所では一位が「将来の就職のため」、二位が「今の仕事で日本語を必要とするため」となっています。

ということは、学校教育も、きちんと支援すれば、ものすごく伸びる可能性があるということです。

企業が独自の日本語研修を行っているということは、要するに学校教育で育成された日本語話者が足りないということです(厳密には学習者層とビジネスマンの層がずれていたりして社内研修を行う例もよくあるのですが)。

社会のニーズがあれば、市場主義の民主国家なら、たとえ時間はかかっても必ず教育制度の方がついてくるはず。そして、教育制度が整えば日本語学習者は爆発的に増加するのではないでしょうか。

実際に、前述のページでは以下のような記述もあります。
 2005年4月の小泉首相訪問の際に出された共同声明で、日印両政府が5年以内に様々なレベルで日本語学習者を3万人に引き上げるという目標が掲げられた。それに応えて、中央中等教育委員会は全国の約8000校に対し、6年生より日本語を導入することを認め、カリキュラム、教材の作成を開始した。
http://www.jpf.go.jp/j/japan_j/oversea/kunibetsu/2005/india.html


いやあ、インドの日本語教育、これからが楽しみですね。

その他、参考資料
教材としては、上記ページに
2006年4月からの授業開始をめざして、6年生用教材を中央中等教育委員会が制作中。
という記述もあります。
国際交流基金のニューデリー事務所が「うめ」という教科書を作っていて、今後は「もも」「さくら」という続編が出る予定になっていますが、もしかしたらこれは中央中等教育委員会からの依頼なのかもしれませんね。

私はインドといってもバンガロールに特に関心があるのですが、バンガロールの日本語教育では、畠山理恵専門家のレポートが参考になります。
http://www.jpf.go.jp/j/learn_j/voice_j/minami_asia/india/2007/report03.html

その他、バンガロール在住日本人のブログとしては、以下のようなものが目に付きました。

今しばらくはインドにて
http://museindia.typepad.jp/blog/
プロのライターさんによるもので、なかなか読み応えがあります。

mishti days
http://indo.to/log/mishti/
バンガロール大学で日本語を教えていたこともあるそうです。

kahkashaan's weblog
http://indo.to/log/kahkashaan/


その他、以下のページでは現地人のブログが集められています。
http://www.indiblogger.in/citysearch.php?city=Bangalore&Search2=Search%20City
英語ではありますが、こうして日本にいながら、その地に生まれて育った人の日常の描写にリアルタイムで触れられる時代になったんですねえ。
posted by 村上吉文 at 08:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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