2007年10月09日

日本語教師のやりがいとは

今学期も学生にブログを書いてもらっていたりするのですが、最初の授業で、こんなエントリーがありました。
飛行機の予約まで終わって、日本への飛行機に乗った時は人生の転換になるきっかけになるように頑張ろうと私自信に約束しました。今もその時、自分との約束を守るために頑張っています。
http://blog.livedoor.jp/yhmsyr/archives/50319457.html

このブログを書いている学生は、実際に課題もきちんとしてくるがんばり屋さんなのですが、こういう文章を読むと、あらためて「自分はこういう学生の思いに充分に応えられているのだろうか」と、襟を正すというか、背筋の伸びる思いですね。

学生のブログからもう一つ引用します。
 日本に来たばかりの私は何にも社会経験がない、親と離れって人生初めての一人暮らし始める。両親のそばに、甘やかされて大きくなるわたしは、もう二十歳になったが、何にもうまくできなかった。、心の寂しさがきつかった。

(中略)

 今では私は成長して、理解できるようになり、日本人の友達もできて、楽しくなっている。どんな困難にあっても、勇気を出して前に進むことがた大切だと思う。勇気ある人になれ。
http://blog.livedoor.jp/maxd/archives/50319458.html

日本語教師に限らず、教育に関わるすべての人間にとって、学習者が人間として成長することに立ち会えるのが、一番の報酬なんですよね。

ここに引用した学生の場合は、この春に出会ったばかりですから、「この私が頑張ったからここまで来たんだ」とは思っていませんが、省略した文中には新大久保の日本語学校なんかも出てきます。大久保ですからきっと普通の日本語学校で、ということは高給とは決して言えない待遇で、それでも頑張っている日本語教師が彼を支えたのでしょう。

学習者自身の努力があってこその成長なのですが、それでも、その成長ぶりを、当時彼を支えた日本語教師たちに紹介してあげたいものです。

「勇気ある人になれ」という最後の文は、おそらく彼が自分自身や後輩たちに向けて書いたのだと思いますが、それ以外の多くの人たち、特に苦しい環境でがんばっている日本語教育関係者にとっても、励ましになるのではないかと思います。

さて、とりとめがなくて申し訳ありませんが、この週末は日比谷公園でグローバルフェスタというイベントに参加しておりました。

そこでは、モンゴル人学習者が日本語で書いたエッセイも展示していたのですが、ブースに来た人の一人が熱心にエッセイの文集をとても熱心に読んでいて、泣き始めてしまったことがありました。

わけを聞いてみると、実は昔モンゴルで会ったことのある人で、彼女も私と同じように現場で日本語を教えていたのです。そして、そのエッセイ集に当時の教え子の作品があり、その成長ぶりに思わず涙してしまったということでした。

日本語教師というと、なぜか「華やか」とか「国際的」という印象があるようです。でも、私にとっては、本当のやりがいというのは海外で仕事ができるとかいうようなことではなく、こうして学習者に深く関わり、その成長に立ち会えることです。そして、それは他の多くの同業者にとっても同じなのではないでしょうか。

posted by 村上吉文 at 07:49 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
もう一つ投稿させてください。うちの学生も卒業すると外国人の船員さんと渡り合うので、かなり語学が上達するようです。語学以前にコミュニケーション力が物を言うようです。船員さんはそれぞれのお国ことばが入るので、すごい発音の英語を話していますが、日本にくると本当に楽しそうで若い人ほどうきうきしています。治安もいいしリラックスできるのだと思います。本当に語学の才能って何だろうと思ってしまいます。親孝行の卒業生がいて、社会人になって親を外国旅行に連れていったそうです。母親が「うちの息子が英語を喋っている!」と本当に驚いたそうです。日本の若者も捨てたものではないと思います。私にとって英語は睡眠薬なのですが、ひたむきな子はテストの点数以上にコミュニケーション力で外国語ができるものだと本当に思います。先生に長々とすみませんでした。
Posted by 金港人 at 2007年10月10日 23:35
「日本語教師に限らず、教育に関わるすべての人間にとって、学習者が人間として成長することに立ち会えるのが、一番の報酬なんですよね。」

私も同感です。
人間って本当にお互いを支えあい、刺激を与えあいながら生きてるんだなと感じます。
Posted by shibarie at 2007年10月13日 21:11
本当にそうです。自分が完璧な人間でないだけに、髪の毛が白くなった甲斐もあるものだと思っています。
Posted by 金港人 at 2007年10月18日 23:14
金港人さん、いつもコメントをありがとうございます。

実は私、二十年ほど前にフェリーで二ヶ月ほどアルバイトしていたことがあり、船員登録なんかもしていました。

夏の海の上だったので、働く「環境」としてはあんなに気持ちのいい職場はありませんでしたねー。今でもときどき懐かしく思い出します。
Posted by 管理人 at 2007年10月20日 06:16
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