2007年09月13日

一、二、三でなく、一、十、百から教えてみるのってどうだろう

日本語教育の現場では、普通、数字を教えるときは、一の次に二を教えますよね。
でも、ここで「十」を教えてみるのはどうだろうかとふと思いました。

というのも、うちの三歳の娘は数字の五以降、六、七、八あたりになるとかなりアヤシイのに、十一、十二、十三、十四などはちゃんと言えるのです。

つまり、一、二、三、四が分かっていたら、「十」という語彙を一つ増やすだけで、語彙数が二倍になるんですよね。

いや、うちの娘はまだですが、「一、二、三、四、十」の五つの語彙では




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と、24もの数字が表現できますから、二倍ではなくて六倍に増えてしまうわけですよね。これは費用対効果がかなり高いと言えます。

また、「一、二、三、四、五、十」の語彙が導入済みであれば、次に「六」を教える際、「6,16,26,36,46,56,60,61,62,63,64,65,66」と、一つの語彙だけで13もの数字が新たに使えるようになります。

これは、逆に言うと「練習もしやすい」、つまり「定着しやすい」ということにもなります。なぜなら、「六」を教えるときに「6,16,26,36,46,56,60,61,62,63,64,65,66」のそれぞれをランダムに見せて読ませる練習ができるからです。

こんな感じです。
六の練習例
最初に数字を見せて、学習者が口頭で読んだ後に、正解を表示するスライドです。自習用にも使えますよね。

この考え方を突き詰めていくと、「一の次に十を教えるのはどうか」ということになります。

つまり、「一、二」だけでは、それ以外の数は表現できませんが、一と十があれば「十一」という数字が表現できます。これに「百」が加われば、「1,10,11,100,101,110,111」という七つの数字が表現できることになります。「千」を導入すると十五もの数字が表現できます。

ここでは「n個の桁数を教えると、それだけで2のn乗マイナス1の数字を表現できる」という関係が成り立っていることが分かります。つまり、「一、十、百、千、一万」という五つの表現を教えれば、2の5乗マイナス1ですから三十一個の数字が表現できるわけですね。

これは、費用対効果と定着練習のしやすさという面に限定すると、かなりいい教え方ではないかと思います。

もちろん、実際にこういう教え方をすると、その次に「二」を教えるところまではいいのですが、「三」を教えたとたんに連濁の問題が出てきて「さんひゃく」「さんせん」という間違いが頻出することになりますので、その辺はいつも通りのフォローが必要になってくるでしょうね。

ただ、英語などでは十一から二十までの各数字と三十、四十、五十などもそれぞれ新しい語彙として覚えなければなりません。少なくとも299までは日本語の方が圧倒的に効率よく覚えることができるわけですから、その点は導入方法の改善に役立てることができるのではないでしょうか。
posted by 村上吉文 at 05:44 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
「一、二、三でなく、一、十、百から教えてみるのってどうだろう」というのは新しい発想ですね!

ちなみに私は1〜10までを導入した後で、「一、十、百、千、万」とそのまま呪文のように口慣らしをさせながら覚えてもらうようにしています。
1〜10まで、そして「一、十、百、千、万」が定着した後で、連濁の問題のある数をピックアップして教えています。その後で一桁、二桁、三桁、四桁の数字を書いたカード読ませてばらばら練習をさせたりします。でも、この練習のさせ方、ありきたりですね。

曜日を教える時もすぐ「月、火、水、木、金、土、日」とこれまた呪文のように口慣らしで覚えてもらっています。モンゴルの学生たちはとても耳がいいので、その能力を活用した練習は効果的です。

ちなみに私が子供の頃は、父とお風呂に入って100数えるまで湯船から出してもらえませんでした。早くお風呂からあがりたいから(私はのぼせやすいので)、必死で覚えたものです。(笑)

忙しく過ごしていると、ついつい物事を過剰に順番どおりに教えてしまうことがあって時々反省します。こういう発想の転換はとても大切ですね!私も今年、1年生に1週間に1度だけ授業を教えているので、上記の練習を活用させていただこうと思います!
Posted by shibarie at 2007年09月15日 14:25
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