冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?
さて、おとといの「#zoomでハナキン0110」に参加してくださった皆様、ありがとうございました。152名の方がお申し込みくださいました。参加国は23カ国に上りました。
乾杯の音頭は国立国語研究所などで精力的に活動されていらっしゃる石黒圭さんが取ってくださいました。無償でのお願いにもかかわらず、表には出せない貴重なお話なども共有してくださいまして、改めてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
ブレイクアウトルームは8つの部屋が提案されました。提案してくださった皆様にもお礼を申し上げたいと思います。
部屋の1つを提案してくださった「まっちゃん」さんはそこで紹介されたことを YouTube に改めて動画として残してくださっていますので、こちらにご紹介しておきたいと思います。
それに触発されたというのもあるのですが。僕も部屋の一つを作ったので、そこでご紹介したことをこの記事に残しておきたいと思います。
僕がご紹介したのは、2024年12月にAI に関する大型のニュースがたくさんありましたので、そのまとめということで特に日本語教育に関係しそうなところをピックアップして4つだけご紹介しました。
【ディープ・リサーチ】
最初にご紹介したいのが、 Google ジェミニのディープリサーチというものです。これはその名の通り検索を深く掘り下げるものです。これまで「情報収集」と言うと、Google で何かを検索して、その検索結果を一つ一つ開いて確認するというような作業が多かったと思います。しかし、このディープリサーチを使うと、こうした「検索結果の複数のリンクを開いて、それを一つにまとめる」ということが一度でできるようになります。
例えば今僕は業務でラオスのビエンチャンにある研修会場を探しているんですが、この時もたった一度のディープリサーチで100件ぐらいの研修が可能な施設に関する Web ページをディープリサーチが調べてくれて、それをまとめるところまで全部自動でやってくれました。それぞれの施設の特徴などの一覧もありますし、どういう条件ならどの施設がおすすめかということまでまとめられています。長くなりますので、本文はペーストしませんが、こちらのリンクからディープリサーチのまとめをご覧になることができます。これは100% 全てがディープリサーチが生成したもので、僕は1文字も編集していません。今は物を調べるということのスタートラインがここなので、人間がする仕事はここから先の話になります。
ディープリサーチの生成した調査結果
https://docs.google.com/document/d/1FNTa2j31fRBe9KbRJzHfVD7GK4hQms_8Q1UyO6pIIro/edit?usp=sharing
ハナキンの僕の部屋では、「日本国内の日本語教育に貢献した人たちのリストを作ってください」というタスクをお願いしました。まず、調査方法の提案がされますので、それでよければそれを承認します。その後調査に数分かかりますので、一旦ここまでで次のトピックに移りました。
【Gemini2.0】
ハナキンでは時間がなくてご紹介できなかったのですが、 Google に関しては実はもう一つ「Gemini2.0」というのも非常に注目すべき重要なアップデートだと思っています。これは特に「推論する能力」が非常に高くなっていて、例えば技能実習生が今まで何人死亡しているのかといったことも、これまで1年間に死亡した人数が平均20名程度と推定されるので、そこから推定されるとどのくらいになるかといったようなことを考えてくれます。これはこれまでのAI にはなかった(あるいは非常に低かった)能力なので非常に驚きました。
最初にご紹介したディープリサーチはたくさんの断片的な情報をまとめる時に使って、こちらのGemini2.0の方は情報が足りない中で推論するというような時に使い分ければいいのではないかと思います。
【Advanced Voice Mode】
さてハナキンの僕の部屋で2番目以降にご紹介したのは全て OpenAI のサービスです。中でも最初にご紹介したのが「アドバンストボイスモード」というものです。これは今までも有料のユーザーには公開されていたのですが、今回の大型アップデートで無料ユーザーにも開放され、それがモバイルアプリだけではなく、ブラウザからのアクセスでも利用できるようになりました。プロンプトの入力欄の右側に4本の縦線のあるマークがありますから、話してみたい人はそこで ChatGPT と会話をしてみてください。
これまでもChrome に拡張機能を入れることによってChatGPTと会話をすることは可能でしたが、これは音声を文字変換してから、その文字をOpenAI に送り、その返事を OpenAI から文字で受け取ったものを、その拡張機能によって音声化されるという形式でした。そのため、大量の長い回答が来てしまった場合は途中で遮ったりすることもできないし、その回答を音声化するのにも時間がかかったりしていましたので、本当の会話とはかなり距離のあるものでした。しかし、今では相手が話をしている時に遮って「そうじゃなくて」と言ったりすることもできます。
これは会話の練習をしたい学習者にとっては非常に効果的なのではないかと思います。ただし、無料ユーザーの場合は大量に使うとしばらく待機時間が与えられて、その間は音声ではなく文字でしか使えないようになります。しかし、 Google の方にも同じような音声のモードはありますので、OpenAI が待機時間になっている間には Google を使うと、長時間AIと会話することも可能ですね。
【Canvas】
さて、3つ目にご紹介したのは、これもOpenAI なのですが、キャンバスという新しい機能です。これは何らかの原稿を書いたりする時に ChatGPT が生成したテキストを ChatGPT の中で修正したりすることができる機能です。それだけではなくて言語レベルも調整することができ、一番簡単なレベルが「幼稚園児」のレベルで、一番難しいのが「大学院生」のレベルになっています。レベルは8段階で調整できます。これは学習者のための読解教材を作るのにとても効果的でしょう。1つの同じ内容で8レベルものテキストを作ることができるわけですね。
【Project】
そして4つ目にご紹介したのがプロジェクトというものです。これは一つの大きな設定の中で細分化されたタスクをこなしていく時にとても便利です。例えば、教材を作る時にもクラスごとにプロジェクトを作っていって、そのクラスのプロジェクトの中でその課の教材を作ったり、アイデア出しをしたりという時に使えるのではないかと思います。
また、教科書のような規模の大きな教材を作るときにも、その教科書全体の設定をプロジェクト全体の設定として決めておいて、そのプロジェクトの中にそれぞれの課のスレッドを立てるような使い方もこれから増えていくのではないかと思います。
プロジェクト機能でまとめておくと、作業のやり直しが発生した時に前回のスレッドを簡単に見つけることができるので、その意味でもとても便利です。おとといのハナキンでは、僕がAI で生成した外国人労働者のための日本語の教材について、あれこれワーワー言われたのですが、これもプロジェクト形式にしていたので、すぐに「この部分だけこのように修正して」と対応することができました。
【そしてDeepResearchふたたび】
以上で4つのニュースのご紹介となるわけですが、ハナキンの僕の部屋では、この時点で、最初にご紹介したディープリサーチの日本語教育に貢献した人のリストというのを開いてみました。この時点で10分ぐらい経っていたので、もう調査結果は完成していて、以下のリンクがそのドキュメントです。
「日本語教育に貢献した人たち」
https://docs.google.com/document/d/1VX5icVrMFC-AmqNuSefO_QrCPtgqfFdymYPAyBdvIIc/edit?usp=sharing
なお、このようにディープリサーチは調査に数分がかかるのですが、現時点では同時に3本までのリサーチを並行して行うことができます。
さて、それでは駆け足ですが、おとといのハナキンについて簡単にご報告させていただきました。今後もハナキンに関する情報をフォローしたい方は、こちらのリストにご登録ください。
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これは僕の方から一方的にハナキンの情報をお知らせするためのもので、月に次回の乾杯の温度が決まった時点と、ハナキン当日の数日前にリマインドが届くだけです。お気軽にご登録くださいませ。
そして、冒険は続く。
2025年01月12日
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