2007年08月05日

朝青龍バッシングは外交問題にもなりうる

私はモンゴルに八年ほど住んでいたことがありますが、今回の朝青龍バッシングはモンゴルと日本の関係を著しく損ねることになりはしないかと危惧しています。
報道の中には、「モンゴル人も朝青龍のことを怒っている」なんていうものもあります。たとえばこれとか。
「朝青龍処分問題、モンゴル人界波紋広がる」
http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20070802-235700.html

しかし、私の感覚で言えば、これはとてもモンゴル人の総意だとは思えません。朝青龍をバッシングしたいがためだけに、何千人もいる在日モンゴル人の中からバッシングに同調する人間を見つけだして語らせているというだけではないでしょうか。この記事の読者は記事がバッシングに同調する人の店の宣伝になっていることにも留意する必要があります。

もし、これがモンゴル人の総意だとすれば、日本とモンゴルの関係の点からすれば、別に今回のバッシングは問題にはならないでしょう。しかし、事実は違うと思います。例えば、以下のサイトを見てください。
「在日モンゴル人自由談話室」http://www2.rocketbbs.com/11/bbs.cgi?id=mongol
ここでは前述の日刊スポーツに登場するモンゴル人に対する批判であふれています。また、既に「在日モンゴル人自由談話室」では既に朝青龍を弁護するモンゴル人と、叩きたいためだけにやってきたような日本人たちの間でトラブルが起きており、モンゴル人である管理人が
この掲示板は在日モンゴル人の談話室です。しばらくは日本人の方からの書き込みを控えてください。(朝青龍を攻撃ししたいなら「日刊スポーツ」とかに行って書いたらどうですか?)
と書かなければいけないような事態になってしまっています。これが、編集されていないナマのモンゴル人の声です。「モンゴル人も朝青龍のことを怒っている」というのが明らかに間違った認識だいうことが、ここからでも分かるでしょう。

現場にいたらしいモンゴル人からの、こんな投稿もあります。
全治6週間の怪我で許可をもらって帰国したのは紛れもない事実ですよね。ちょうどそのとき、たまたま中田のサッカ親善大会があって、政府からも要請が出た。そんなとき貴方ならどうする?たぶん参加しないでしょうね?実は彼も当初は参加していないよ。しかし、場内から参加の声が出たので仕方なく最後の20分に出てしまい、結局今回の騒ぎになっている。だとすれば、もし最後まで試合に参加していなかったら、本当にこんな事態にならなかったかといえば、答えはおそらくノーでしょう。なぜなら、もし本当に出場していなかったら、またそれなりの対応があって「日本のトップスター中田が朝青龍に冷遇された」とか「朝青龍が中田を門前払い」などの扇動的な記事が出ていたと思う。いずれにせよ、打倒朝青龍は前から周到に行われていたといっても過言ではないだろう。日本の皆様ももうちょっと冷静に考えてください。

ここで留意しなければならないことは「バッシングしている人は冷静に」ではなく「日本の皆様も冷静に」となっていることです。現地から今回の騒動がどう見えるか想像できるのではないでしょうか。

たしかに朝青龍と白鵬だったら、白鵬を応援するというモンゴル人の方が、もしかしたら多いかもしれません。ですが、今回の処分はそんな次元をはるかに越えてしまっています。松井秀喜の方がイチローより人気があるとしても、根拠のない理由でイチローが「自宅・部屋・病院以外への外出をも禁止」なんて処分を所属先の組織に受けたら、日本人だったら誰でもむかつくんじゃないでしょうか。しかも、その組織が「日本の伝統と格式」」なんてものを振りかざしている場合は、その反感がその組織だけでなく、日本社会全体に向かうおそれがあります。(実際、既にそのような反応もあります)

15年前からモンゴルに関わってきた人間として、こんなバカバカしいことで日本とモンゴルの関係が悪くなってしまうことが残念でなりません。

高砂部屋の掲示板「日本社会に物申す」というブログに、昨日の私のエントリーと関連する記事を見つけましたので、一部引用します。
朝青龍が巡業を欠席してサッカーをしていたとのことであるが、それの何が悪いのか、日本相撲協会から十分な説明が無いことも大問題である。相撲に対してプロ意識を持つ朝青龍にとって、痛みを抱えた状態で安直に質の悪い相撲をすることは避けたいと考えるのは当然のことである。痛みを抱えた状態で下手な相撲を取ることは朝青龍個人への評価はもとより、日本相撲界全体への評価の低下をも招き兼ねない。気楽にできるサッカーなら多少痛みがあってもできると判断したとしても何ら不合理ではない。また、力士として体の同じ部分をあまりにも頻繁に酷使しているとその部分が傷む。このような場合、痛みのある部分は使わずに別のスポーツをすることによって、痛みの回復を促しつつトレーニングの中断に伴う体力低下を幾分かでも防ぐことができるのであり、その点からも朝青龍の判断は正解であったと考える。
 それを理解しない日本相撲協会には、トレーニングと生理学に関する基礎的な知識があまりにも著しく欠如していると言わざるを得ないだろう。日本相撲協会に対して反抗的な態度を取ってきた朝青龍が大活躍し、相撲協会の言いなりになってきた他の力士が一向に活躍できないのは、こうした日本相撲協会の知識水準の低さが一因ではないか。http://gp-dip.co.jp/bbs/takasago/c-board.cgi?cmd=one;no=8364;id=http://blog.livedoor.jp/freedomill/archives/64634389.html

記事には、今回の処分の違法性や、朝青龍の欠場した場所での「優勝」の正当性への疑問など、他にもいろいろな問題が指摘されています。


私から伝えたいこと
モンゴルが好きな日本人は、今回のことに関してきちんと声をあげるべきだと思います。既に問題は朝青龍一人の範囲ではなくなってきているので。

そして、モンゴルの皆さんは、今回バッシングに加わっている日本人は、そのほとんどが正確な情報を知らず、マスコミの誘導に乗せられているだけだということを知っておいてほしいと思います。私を含め、今回の処分を不当だと思う日本人もたくさんいるのだということも忘れないでほしいです。

普通の日本人に対しては、もう少しメディアリテラシーを高めてほしいです。こんな簡単にメディアに煽られるようでは、いずれ国を滅ぼすことになりかねません。

そして、最後に朝青龍関へ。
私はあんたが大好きだ。どうか、引退しないでほしい。これからも豪快に相手を投げ飛ばす姿が見ていたいから。
posted by 村上吉文 at 07:41 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
31日の検査結果からするに、はじめに協会に提出した診断書は限りなく怪しいことは判明してるわけだから

処分は妥当ですよ
つかはじめに診断書書いた医師の責任はどこ行った
Posted by ホラフキ at 2007年08月05日 15:47
引用部分へのコメントで申し訳ないですが、誤解する人がいるといけないので。

>全治6週間の怪我で許可をもらって帰国したのは紛れもない事実ですよね。

とんでもない!
朝青龍が許可を取り付けたのは、あくまでも「巡業を休むことだけ」です。
モンゴルへ帰ることは、親方にも報告せず一人で勝手に決めて、気がついたら日本からトンズラしてた、って状態なんですよ。
「許可をもらって帰国した」なんて、事実誤認も甚だしい。そんな自分勝手な誤解を前提にしているのでは、この発言はまったくスジが通らないです。
そして、そんな意見を引用しているようでは、このエントリの信憑性も疑わざるを得ない、ってことになってしまいますよ。
Posted by 気になるので一言 at 2007年08月16日 15:43
「自由談話室」とは別の、モンゴル人による掲示板も読んだのですが、
一口に『モンゴル人』と言っても

 ◆ 独立国であるモンゴル国に国籍を持つ 「外モンゴル人」
                          (朝青龍などはこちら) と、
 ◆ 中華人民共和国の内モンゴル自治区を出身とする「内モンゴル人」

・・という大きく分けて2種類の人民を総称するものであり、
それぞれ相互にある種の「感情」があることを知りました。

【Wikipediaから】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AB

社会システムや国民的な感情の愛憎含めて、各々
ソ連との関係性、中国との関係性を有しているようです。

それを背景に、同じ民族であっても反目があるようで、
今回、某料理店店長などに象徴されるように、「内モンゴル人」は得てして朝青龍に批判的な発言をするケースが多いようです。

管理人さんは充分ご承知のことと思いますが、読者の方にとってそういった背景も「モンゴル人」の発言を読み解くヒントになるかと思い、コメントさせて頂きます。

尚、出自である掲示板については、
日本人から要らぬ書き込みを誘導しないことを目的として伏せさせて頂きます。
Posted by もう一言 at 2007年09月06日 18:32
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