2007年07月31日

日本語教師が教材を自由にコピーできる時代が来た

ウィキペディアの「フリー百科事典」という言葉を、「無料で読める」「無料で書き込める」というかなり限定された意味で使っている人が多いみたいです。でも、ウィキペディアが本当にすごいのは、著作権がフリーだってことじゃないかと私は思っています。

ウィキペディアにはどのページも一番下に
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
と書いてあって、そのGNU Free Documentation License.を見てみると、以下のように書いてあります。
大まかに言えば、GPL と同様に著作権者が次のような許可を与えるライセンスである。
この文書を無断で複製してよい。
この文書を無断で改変してよい。
この文書を無断で頒布・販売してよい。ただし、頒布を受けた者や購入した者に対して、上記の許可を与えなければならない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GNU_Free_Documentation_License

これに対し、一般的な著作物に関しては、著作権法がその利用をかなり厳しく制限しています。(日本の著作権法は世界で一番厳しいという指摘もあります)

以下に条文を引用しておきます。
(学校その他の教育機関における複製等)
第35条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

つまり、日本語教師が他の人の著作物を仕事でコピーするとき、無断でコピーしてもいいのは非営利の場合のみで、一般的な日本語学校の場合は許されないことになっているわけですよね。非営利でも100部以上のコピーなどは「ただし・・・」以降の部分に引っかかりますので違法となってしまいます。

しかし、ウィキペディアでは、書き込む際に著作権者としても上記のライセンスに同意することが求められます。つまり、ウィキペディアのどの文章も「コピーしても編集しても売ってもいいよ」と許可しているわけですから「無断」にはあたらず、堂々とコピーできるわけですね。私は今、非営利の機関でしか教えていないんですが、一般の日本語学校の先生方にとっては、これはかなり画期的なことなんじゃないかと思います。

ウィキペディアの姉妹プロジェクトとして、辞書のウィクショナリーや教科書のウィキブックスもあります。国際交流基金のような公益機関が、「教科書を作ろう」や、もう古くなってきた「日本語初歩」などの教材をどーんとこの辺に放り込んでくれるといいですね。実際には既に著作権フリーな扱いのようなので。


ところで、ウィキペディアのことを妙に「無条件に信用できない」とこだわる人がいますが、あれってかなりカッコワルイと思います。だって、それって他の百科事典を無条件に信用しているってことの裏返しだからです。

ウィキペディアには確かに間違いがあります。しかし、それはどんな百科事典だって同じ。科学誌ネイチャーに載った論文では、ウィキペディアの間違いよりもブリタニカの間違いの方が多いという調査結果も出ています。

ウィキペディアであれブリタニカであれ、無条件に信用してしまうのは危険です。ウィキペディアだけを取り立てて「無条件に信用できない」という人たちは、言外に「私は簡単に洗脳されてしまう人間です」「権威には無条件で従います」「他人の書いたものを批判的な視点で読めません」と宣言してしまっているのに限りなく近い。これって、あまりクールじゃありませんよね。
posted by 村上吉文 at 05:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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