2020年12月31日

冒険とつながり - むらログ2020

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、ただいま「冒険とつながり - むらログ2020」本文の編集を終えたところです。

こうして全体を振り返ってみると、個人的には今年の一番の大きな変化はやはり「#Zoomでハナキン」が始まったこと以外には考えられません。2018年には「 Twitter 日本語教育元年」として SNS 上の開かれた日本語教育関係者のネットワークがこれまでとは比較にならない規模で動き始めたということを書きましたが、2020年にはそれがリアルタイムの表情や声も聞こえるコミュニケーションへと大きく進化しました。

このようなことが可能になった背景には、言うまでもなく新型コロナウイルスの パンデミックがあります。 Zoom自体は「むらログ2019」にも書いたように多様な場面で既に活用されていました。 しかし、パンデミックによって、対面による授業や面会が難しくなったことによって、2020年に一般の教育関係者も常識的に使うレベルにまで普及しました。

コロナは世界規模で見れば200万人近い死者の出ている大災害であり、僕自身も以前に比べれば収入は3分の1以下になってしまっています。しかし、日本という高齢者が多く変化に抵抗の強い国において、これほど短期間でZoomのようなICTツールが身近になった事例は類を見なかったのではないかと思います。

昨年の「むらログ 2019」ではサブタイトルを「冒険と人間」にして、ICTツールの発展によって人間には人間の価値があり、ICTを活用しつつ、人間は人間にしかできない個人面談などの仕事に専念すべきだということを書きました。

2020年はそれが皆さんの身近な日常生活にも浸透し、ICTによって人々は効率だけを追いかける機械ではなく、むしろ毎週金曜日に乾杯するつながりをもたらすものだということが認識されたのではないでしょうか。

そうです。ICTは冷たい機械ではないのです。暖かい人間がその向こうにいるのです。そうした「つながり」を作るのがICTなのではないかと思います。

それでは以下に、電子書籍『冒険とつながり - むらログ2020』の内容をご紹介します。

第1章 【特集】コロナ対策
第一章はコロナ対策です。 僕にとってもコロナは2020年の一番大きな影響を与えた出来事だったと思います。特に2020年の前半はオンライン授業への移行に関する技術的なサポートが中心になっていましたが、それが軌道に乗ってくると、後半はこれまで可視化されてこなかった大学を中心とする日本の教育機関の問題が浮かび上がってきました。特に授業中に学生同士がまったくコミュニケーションできていなかったということ、そしてそれらが教員の失敗によるものだという自覚さえされていないということは、僕にとって非常に大きな衝撃でした。この章の後半ではこうした問題を指摘し、 それをどのように解決すればいいかをごく簡単に紹介しています。

第2章 #Zoomでハナキン
社会的には第1章で書いた通りコロナのパンデミックが一番大きな影響を与えたことは間違いないのですが、個人的には2020年を象徴するのは「#Zoomでハナキン」でした。2018年に日本語教室の間で Twitter の利用が飛躍的に増えたことも大きな進化でしたが、2020年にリアルタイムでお互いの顔が見えて声も聞こえるというコミュニケーションがオンラインでできるようになったことは、日本語教師の間の開かれたコミュニティに参加する上で、さらなる大きな進化の段階を迎えたと行っていいのではないでしょうか。

第3章 カナダからの帰国
2020年はカナダでの3年間の仕事が終わり、日本に帰国したという意味で、住環境が大きく変わった年でもありました。この三年間を振り返る意味で僕がやってきた仕事を項目ごとにまとめてみました。

第4章 デジタル教育論
「むらログ」では今年も様々なデジタルツールを使った教育に関する記事を書いてきましたが、第4章ではそのうち具体的な使い方などよりももう少し広い視点で、教育の枠組み自体を再定義する必要がある点についていくつか僕の考えを書いています。特に、 ICT が普及した現時点における教師の役割について現状に違和感をお持ちの方には参考になるのではないかと思っています。

第5章 デジタル仕事術
第4章では教育の枠組みをどのようにとらえるべきかということについて書きましたが、第5章ではもう少し具体的にそれぞれのデジタルツールの使い方などについてご紹介しています。 個人的には、GAS(Google App Script)を使い始めたことが一番大きな成長でした。これも #Zoomでハナキン を通して学ぶことができたスキルです。

第6章 教授法
この章ではデジタルにあまり関係のない教授法に関する記事を三つご紹介します。行動中心アプローチと、自律学習と、 コミュニカティブアプローチに関する記事です。

第7章 僕のデジタル学習法
昨年までは、この章には英語の学習方法などを書いていたのですが、今年はカナダでの勤務終わり、インドへ派遣される準備を始めていることから、ヒンディー語の学習方法についてまとめています。 ですので内容的には初級の学習方法が中心になります。 今年の大きな収穫は Netflix を見ながら語学学習ができる Google Chrome の拡張機能「Language Learning with Netflix」を使い始めることができたことにあると思っています。

第8章 書評
今年はカンボジアの佐久間さんから教えてもらった Amazon の日替わりセールを見るようになったおかげで、普通だったら読まないような種類の本もたくさん読むことができました。今 Amazon の購買履歴を見ながら振り返っているのですが、いい本もたくさん読んだにも関わらずブログで紹介できないものが多くあり残念に思っています。ここでせめてタイトルだけでも、読んで良かったと思う本をご紹介しておきたいと思います。

藤本かおる『教室へのICT活用入門』
遠藤周作『深い河 』
出口 治明『「教える」ということ 日本を救う、[尖った人]を増やすには』
架神恭介『完全教祖マニュアル』
原田隆之『痴漢外来 ──性犯罪と闘う科学』
齋藤孝『超速読力 (ちくま新書)』
成毛 眞『ビジネスマンへの歌舞伎案内』
井上 明人『ゲーミフィケーション ―<ゲーム>がビジネスを変える』
ピョートル・フェリークス・グジバチ『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法』
森元斎『アナキズム入門 (ちくま新書)』
立川 談慶『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』

これらの本はたまたま読み終わった時にブログを書く時間がなかったというだけで、この章で取り上げている本に比べて良くなかったということでは決してありません。

また、これらとは別に毎月Twiterの「#日本語教師ブッククラブ」で読んでいる本についての僕の感想はこちらでご覧になることができます。
https://twilog.org/Midogonpapa/search?word=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96&ao=a

第9章 #日本語教師映画パーティー
ハナキンに比べると参加者はあまり多くないのですが、 同時にみんなで同じ映画を見て感想を Twitter で共有するイベントも今年から始めました。 今後もご関心のある方はぜひ公式サイトをご覧ください。
https://sites.google.com/view/jt-movie-party
この章では、このアイデアの成り立ちや最初のパーティーの報告などについて書いています。

第10章 その他
最後の第10章ではこれまでの章にぴったり入らなかった記事をまとめて収録しています。 最初の二つはメンタルヘルスに関係する内容で、その他政治的な内容などもここに収録しています。

この電子書籍は2021年1月8日に出版される予定です。

それでは2020年もお世話になりました。ワクチンの接種も始まっていることですし、2021年は早く軌道に戻れることを願っています。

そして冒険は続く。

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2014年以降のこのブログの内容はKindle本にもまとめられています。2020年中にこちらの本をご購入になると、その収益は全額が「海外にルーツを持つ子どもと若者のための日本語教育・学習支援事業」を実施しているNPO法人YSCグローバル・スクールに寄贈されます。ココ出版の『冒険家メソッド』は初版の本体価格の5%が同センターに寄贈されます。
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posted by 村上吉文 at 13:35 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加