2020年10月21日

オンラインでも他者の存在は必要

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

以前僕がVRでよく遊んでいた「BoxVR」というアプリがアップデートされて「FitVR」という名前になっていたので、久しぶりにプレイしてみました。
今回のアップデートはデザイン上の変更が大きかったですが、それ以外に教育に関わる意味で面白いと思った変更点があります。それは僕以外のプレーヤーの姿も同時に見ることができるということです。つまりプレイヤー1人でこのアプリをプレイしているのではなく、他のプレーヤーも同じ音楽に合わせて、飛んでくるオブジェクトをパンチしたりしているのが見えるのです。今日の記事の冒頭の画像はまさにその時の写真で David, Kiyomizu, Emmanuel という3人が僕の左側にいるのが見えます。 VR で記録されるのはゴーグルと両手のコントローラーの動きだけなので、頭部とこぶしの動きしかわからないのですが、それでもそれぞれが違った動き方をしているので人間らしさを十分に感じることができます。日本人らしい名前の人もいますよね。ちなみに僕の右側にもこれとは別の三人がいて、その中にも、別の日本人らしい名前の人がいました。僕はフィットネスとかのグループレッスンに参加したことはないのですが、このように他者がいるという意味で、雰囲気としては多分同じような感じなのではないかと思います。

似たような例としては、以前「ビリーズブートキャンプ」というワークアウトのDVDがとても売れたことがあります。これが売れた理由の一つとして、そのDVDの画面にインストラクターのビリーの他に大勢の参加者が写っていて、みんなでやっているから一緒にやらなければいけないと思うような効果があると言われていました。最近も新型コロナウイルスの影響で色々なフィットネスの動画が YouTube に上がっていますが、インストラクターが一人で教えているタイプのものは「ビリーズブートキャンプ」ほど売れてないのが事実だと思います。見たことがない人は以下の動画をご覧ください。

Billy Blanks Fit Sculpt (GET READY!) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=oaS1gBeistM

それで思い出したのが先日の角川ドワンゴのN高の発表です。この高校は皆さんもご存知の通り、オンラインで好きなときに勉強することができるのが売りです。しかしあまり知られていないのですが、実は通学コースというのもあります。この通学コースというのは実際に日本の各地にあるキャンパスに生徒が登校してそこで時間割りに沿ってN高のカリキュラムの授業を受けるのです。ところが、やはり新型コロナウイルスの影響で、この通学コースも3ヶ月ほどオンラインになってしまっていた時期があります。その結果、リアルタイムでみんなでズームの中に集まって授業をすることになったのですが、実はこれもオンラインの個別学習とは別に、かなりニーズがあるということが分かったそうで、再び登校が始まった現在も正式に一つのコースとして募集をすることになったのです。

つまり、いつでも好きな時間に勉強をすることができる、これまでのオンラインコースとは別に、時間割りに沿ってクラス単位で勉強するコースも、通学だけではなく、オンラインでも開講することになったのです。

ところで、N高には来年4月から VR を活用する新しい「普通科プレミアム」というコースも開講されます。この VR の使い方はおそらくオンライン通学コースとは違って、時間割などはないのだと思いますが、それでも VR の中に他の生徒たちの姿を非同期で再現するという仕組みがあります。これもフィット VR と同じような他者の存在を意識させる仕組みのひとつですね。

「普通科プレミアム〜VRを活用した新たな学び〜」
https://www.youtube.com/watch?v=0H5mb1KEDBw

フィットVRにもビリーズブートキャンプにも、そしてN高のオンライン通学コースやVR利用にも共通していることがは、リアルタイムで一緒に頑張っている他の人の姿が見えるということです。(N高のオンライン通学コースの場合はグループ活動などで実際にコミュニケーションをすることももちろんできます。)

その一方で、こうした他者の存在が認識できないために失敗している例もいくつも見ることができます。 「大学生は、いつまで我慢をすればいいのでしょうか。」というTwitter 上の漫画も非常に多くの大学生から支持されたそうです。
https://twitter.com/D6Hy1q0FQJuxtPO/status/1284137078914076673

この漫画では同級生の顔も知らないとしてその孤独感が切実に描かれています。

これらの例やあるいは反証から考えられることは、やはりオンラインで学ぶにしろ、多くの場合、人は一人では学べないのだということです。今日のブログのタイトルにも書いたようにやはりオンラインでも他者が必要なんですよね。 オンラインでない場合はひとつの教室に多くの学習者がどうしても集まることになりますから、他者の存在は最初から前提になっています。しかし、オンラインになるとその前提がないので、一人で勉強できるじゃないかと誤解してしまって学習者のコミュニティを作らないというかなり基本的な授業設計の失敗をしている残念な教師がたくさんいるのです。今回ここで挙げた4つの例から見ても、 基本的にオンラインでも他者の存在が必要だということがご理解いただけるのではないかと思います。

実際にどのようにコミュニティを作るかということに関しては、先日のブログに書いていますので是非ご覧いただければと思います。

むらログ: オンラインで友達は作れる。それは教師の義務
http://mongolia.seesaa.net/article/477243627.html

そして冒険は続く。

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【参考資料】
Billy Blanks Fit Sculpt (GET READY!) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=oaS1gBeistM

普通科プレミアム〜VRを活用した新たな学び〜|The Nth Day. (N=1659) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0H5mb1KEDBw

むらログ: オンライン化したから友達がゼロ?
http://mongolia.seesaa.net/article/476871239.html

むらログ: オンラインで友達は作れる。それは教師の義務
http://mongolia.seesaa.net/article/477243627.html

第4回明生日本語講演会〜学生たちはコミュニケーションできていますか〜【東京明生日本語学院】@zoom
https://www.youtube.com/watch?v=YVeIu-tWHrA

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posted by 村上吉文 at 08:27 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加