2020年10月19日

斎藤孝『思考を鍛えるメモ力』

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、1週間ぐらい前に、齋藤孝さんの『思考を鍛えるメモ力』という本がAmazonで日替わりセールに出ていたのでダウンロードしておきました。読んでみると、これはかなり面白い本です。

最初は「メモは紙に手書きでなければならない」と書いてあったので、「なんだ、このアナログな本は」と思ったのですが、読み進めてみるとその本質はかなりTwitterに近いです。

そうです、Twitterなんです。

著者の齋藤孝さんは三色ボールペンで本を読みながら、その本の上に直接メモを取ることを推奨していらっしゃいますが、これもハッシュタグなどで代用することができますよね。そして何よりも斎藤さんのシステムよりもTwitterの方が優れている点は、その考えを多くの人と共有することができるという点です。

斎藤さんは手書きの方がパソコンよりも記憶に残ると書いていますが、これは明らかにそのメモをTwitterなどに投稿しないで自分1人で保存している時のことでしょう。

余談ですが、このようにデジタルの良さを活かさないまま、アナログでやっていたことをそのままデジタルに置き換えることを「1000ドルの鉛筆」と言います。鉛筆でしかできないことをデジタルに置き換えても、それは千ドルのパソコンの価値を全く生かしていない訳ですよね。それを考えると、Twitterをメモの代わりに使うことは非常に価値があるのではないかと思います。

ちなみに以下のリンクはTwitterの「教育」という検索結果に「#メモ」というハッシュタグを追加したものです。これだけでもかなり面白い投稿に絞られてくるのが分かるのではないでしょうか。
https://twitter.com/hashtag/%E3%83%A1%E3%83%A2%20%E6%95%99%E8%82%B2?s=09

さて、この本ではメモを取る能力を三つの段階に分けています。最初の段階は「守りのメモ力」で、人の話を忘れないようにメモする時のノウハウが書かれています。2番目の段階は「攻めのメモ力」で、後で引用しますが例えば相手の言ったことではなくて自分が感じた疑問だけなどをメモするような方法が説明されています。そして三番目は「鬼のメモ力」で、ここではブレインストーミングや大きな事業の構想など、クリエイティブな場面でのメモの使い方が書かれています。

それではまた例によって、いくつか引用しながら感想を書いていきたいと思います。

「スマホやパソコンに打ち込んでメモすると、たんにいじって遊んでいるだけと誤解されることもあります。とくに目上の人や大切なお客さんの前でメモするときは、スマホやPCではなく手書きをおすすめします。」

これはよくある批判ですが、ここに書いてある通り、遊んでいるかもしれないと誤解される可能性があるからよくないわけです。これを防ぐためには、モニターを水平になるまで倒してしまって、お客さんからも自分のパソコンの画面が見えるようにすれば、簡単に回避することができます。 ご興味のある方は以下の僕のブログの記事で写真付きで紹介していますのでぜひご覧ください。というよりも、社会でのキーボードの敵視をやめさせるにも是非ご協力いただければありがたいです。それは発達障害などを抱えている多くの人たちの人生を救います。

「むらログ: キーボード敵視をやめさせるための一提案」
http://mongolia.seesaa.net/article/451305728.html

「手帳にはさむボールペンも二、三本用意しています。これだけあれば、どんな状況でもだいたい大丈夫です。ボールペンを一本だけしか持ち歩かない人は、メモ力がちょっと弱い気がします。」

僕は2、3本どころか実は一本も持っていません。全部スマホで用事を済ませています。しかし 、上にも書いた Twitter や、あるいは自分一人で保存するにはGoogle Keep などのツールを使えば全く問題ないのではないかと思っています。 ちなみに Google Keep にも色を分けて保存する機能がありますし、それ以外にもタグをつけて分類して保存したりすることもできます。そして何より、検索できます。

「読書ノートをわざわざ別につくるのは面倒ですが、本自体を読書ノートにしてしまえば、手間がかかりません。  私が授業で話したり、学生たちと一緒に本を読んだりしたときの経験で言うと、ほかの人の意見もそこに書いておいたほうがいいと思います。

これも実はデジタルの方がよほど便利だと思います。とても便利なのに知らない人が多くて驚くのですが、 Kindle でしたら以下のリンクでハイライトしたところを全て見返すことができます。

「Your Notes and Highlights」
https://read.amazon.co.jp/notebook

もちろん今書いているこの記事も上記のページを開いてハイライトしたところをコピーして使っているわけですね。

「クリエイティブなメモ力を鍛える究極の奥の手があります。  それが相手の言葉はいっさい書かずに、自分が触発されたことや質問だけでメモを取っていく方法です。」

この部分は非常に勉強になりました。 今度やってみたいと思います。質問しか書いてなかったとしても多分その質問から相手はその時何と言っていたのかを思い出すことができるのかもしれませんね。

「TEDのプレゼンについてふれた『TEDに学ぶ最強のプレゼン術』(アカッシュ・カリア著 月沢季歌子訳、SB文庫・二〇一五年) には、プレゼンのルールについて説明してあります。」

この本は知らなかったので早速読んでみたいと思います。


「今、多くの人がインスタグラムやツイッター、ブログなどをやっていますが、その先駆けが清少納言です。清少納言はいわゆるカリスマブロガーみたいな感じでしょう。今の時代に清少納言がネットで発信していたら、大変な人気を博しただろうなと思います。『枕草子』は、現代のインスタやブログだと考えると、かなり興味深く読めるのではないでしょうか。」

インターネットはこうした例でこの本に何度か出てきますが、ポイントはそこじゃないんですよね。インターネット上でメモを書く最大の利点は、フォロワーの皆さんと意見交換ができるというところにあるのではないかと僕は思っています。それが手書きよりもずっと強く記憶に残ったり、全く別のアイデアの素になったりするわけです。清少納言が書いていた内容はソーシャルメディアに親和性のあるものだったかもしれませんが、彼女はリアルタイムで読者からの「いいね」や返信を受けることはありませんでした。つまり Web 1.0であって、 Web 2.0ではなかったわけです。

「私も若いとき、短い文章で書き連ねていくノートを付けていました。自分の考えが煮詰まってくると苦しくなるので、そのつど吐き出すように書いていました。」

この感覚は僕にとっても非常によくわかります。
僕にとってはそれもブログや Twitter の使い方の一つですね。
そして一度吐き出してしまったものを後から検索できるというのもデジタルなツールの強みのひとつです。アナログのノートの場合は何度も見返さなければ、どの辺に何が書いてあるかをイメージできませんよね。

「「メモって何だっけ?」「何のためにメモするんだっけ?」と聞かれたら、記録のためでも、あとで見るためでもない。「本質をつかまえる力を磨くためです」と言い切ってください。」

これは多分最後のあとがきのところに書いてあったのではないかと記憶していますが、これがこの本の一番のパワーフレーズだったのではないかと思います。

さて、最後に特に結論めいたことを書くつもりはないのですが、僕にとってはまさにこの本の読書メモをこうやってブログに書いていることが、読書ノートでもあるわけですね。斉藤さんのようにアナログにこだわるかどうかはともかく、こうしたメモやノートを取っておくことは僕にとっても非常に重要な成長ツールであると思っています。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
斎藤孝 『思考を鍛えるメモ力 (ちくま新書)』
https://amzn.to/3dDo1Z3

むらログ: キーボード敵視をやめさせるための一提案
http://mongolia.seesaa.net/article/451305728.html

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posted by 村上吉文 at 08:38 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加