2020年08月19日

友達ができないのはコロナのせい?

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

これから書くことは本当は書きたくないのですが、関係者が責任を問われることもなく、責任を自覚することもなく、このまま問題が「避けられなかった」で終わらせるわけにはいかないので、書いておきます。

前回「オンライン化したから友達がゼロ?」という記事で、友達が一人もできないような事態は「初歩的な授業設計の失敗」だと書きました。それに対して、「学習者同士のディスカッションなんてこれまで求められてこなかったんだから批判すべきではない」という考えがあるようです。

しかし、言いたくないのですが、それは違います。

僕自身もこれまで教師が一方的に話す講義スタイルを批判してきましたが、別に僕が一人で言っているわけではないのです。中でも国民的な議論の結果としては、中央教育審議会が平成24年8月28日の第82回総会において取りまとめた「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」を挙げておきます(この答申以外にも類似の提言はいくらでもあります)。ここで述べられている「アクティブ・ラーニング」は最近では「主体的・対話的で深い学び」と言い換えられていますが、この答申でも以下のように学生同士の対話は重視されています。

ディスカッションやディベートといった双方向の講義、演習、実験、実習や実技等を中心とした授業への転換

授業のための事前の準備(資料の下調べや読書、思考、学生同士のディスカッション、他の専門家等とのコミュニケーション等)、授業の受講(教員の直接指導、その中での教員と学生、学生同士の対話や意思疎通)

教育を担当する教員の側には、学生の主体的な学修の確立のために、教員と学生あるいは学生同士のコミュニケーションを取り入れた授業方法の工夫、十分な授業の準備、学生の学修へのきめの細かい支援などが求められる。


繰り返します。

「ディスカッション」
「ディベート」
「学生同士のディスカッション」
「学生同士の対話や意思疎通」
「学生同士のコミュニケーション」

何度も何度も出てくるこうした言葉をきちんと受け止めていれば、学生の側から「友達ができない」などという悲しい言葉は出てこないはずです。また、その言い訳として「授業だけオンライン化して部室や廊下がオンラインにはないから」などという、責任を自覚してない発言もないはずです。授業だけでもきちんとやっていれば、その授業の中で学生同士の対話から友達ができるはずなのですから。

繰り返しますが、授業をしているのに学生同士が友だちになれないというのは、かなり初歩的な授業設計の失敗です。もっと率直に言うと、あってはならないレベルの失態です。このようなことは何年も前から教員に求められてきたことで、コロナによる緊急事態による避けられなかった弊害などではありません。ただ単に、コロナによって可視化されただけです。僕自身も、まさか日本の高等教育で友だちもできないような授業が行われていたなんて知りませんでしたから。

まともな教育機関もあることはもちろん知っていますが、今回の「友だちができない」という議論で「それはオンライン化したから」などという説明が何度も共有され、それに対して批判らしい批判もほとんど行われていない現状では、多くの高等教育で友だちができないような授業しかしてこなかったという認識が妥当なのではないかと思っています。

言いたくないのですが、友だちができないような授業をしている大学の先生方に申し上げます。皆さんには、友だちができるような授業をする社会的な義務があります。学食やサークル部屋がなくても、その授業だけで友だちができるような、学生同士の対話を取り入れてください。学生同士の対話は深い学びに必要です。そしてそれは僕個人の意見ではなく、国民的議論の結果です。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」文部科学省
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1325047.htm

むらログ: オンライン化したから友達がゼロ?
http://mongolia.seesaa.net/article/476871239.html

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posted by 村上吉文 at 22:33 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加