2020年01月19日

PLEとしてのFCはMemriseがいいかも

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も巨大な難破船の上から荒ぶる海に赤いライトセーバーを投げ捨てていますか。

さて、Twitter のダイレクトメッセージで豪州の友人からフラッシュカードアプリについて質問されたので、書いておきたいと思います。 フラッシュカードアプリというのは、暗記しなければならないものを何度も反復して見ることによって、暗記を支援するものです。

フラッシュカードそのものの効果については、一時は効果を疑問視する人も多かったのですが、数年前からリトリーバルプラクティス(Ritrieval Practice) が注目されていることによって、あらたに見直されつつあります。端的に言うと、効果的なやり方とそうでないやり方があるということですね。(思い出す回数に意味があるので、単純に何度も反復して見るよりも、回数は落ちてもいいので思い出せるまで粘ることや、教室で使う時はヒントを出したり、フラッシュカードの裏に書いてある答えが分かってもそれをすぐに言わせないで頭の中で保持するとかです。)

こうしたフラッシュカードアプリにはいくつか有名なものがあります。

Anki - powerful, intelligent flashcards
https://apps.ankiweb.net/

Quizlet
https://quizlet.com/

Memrize
https://www.memrise.com/

あまりメジャーではありませんが、昨年日本でデビューした「暗記くん」も国内では注目されていますね。

暗記くん
https://www.ankikun.jp/

このように選択肢が増えてくると、どれを選べばいいか迷ってしまうのではないかと思います。「暗記くん」はまだ使ったことがないのでよく分からないのですが、メジャーな三つのアプリについて以下に書いてみたいと思います。

お金がかかるかどうかというのは学習者にもすぐわかることなのですが、語学習得の専門知識を備えているべき教師として押さえておかなければいけないことは、SRSがついているかということです。

SRSというのは「Spaced Repetition Software」の略で、以下のような特徴があります。
・反復する間隔が最初は短く、だんだん長くなっていく。
・答えが思い出せない時はその間隔がまた短くなる。
これは19世紀に活躍した心理学者、ヘルマン・エビングハウスの発見した「忘却曲線」という理論に基づいていて、「暗記くん」のトップページを下の方にスクロールしていくと、わかりやすいグラフが載っています。

メジャーな三つのアプリの中で、この理論を応用しているのは、AnkiとMemriseの二つです。Quizletは、おそらく個人で使うことよりも、学校でクラスのみんなが参加するような使い方を想定しているらしく、その場合は当然、SRSは使うことはできませんから、Quizletには実装されていません。逆に言うと、教師がクラスで使うのなら、Quizlet Liveのようなグループ同士でお互いに競争する機能もありますし、Quizletが一番おすすめなのではないかと思います。

逆に、SRSが使えないというのは個人で学習する環境(Personal Learning Environment = PLE)としてはかなり痛いので、やはりこの面ではQuizletは一歩劣るということになってしまうんでしょう。

僕は今まで、身に付かなかったものも含めて、色々な言語を勉強してきたのですが、アラビア語の勉強をしていた2010年ごろはAnkiを使っていました。 当時はSRSを採用していたサービスはまだほとんどなく、使ってみて「これはすばらしい!」と思ったのを覚えています。

2013年頃にハンガリー語を勉強していた時は、Quizletを使っていました。これはANKIに比べてSRSがついていないのが残念でしたが、いろいろなゲームのパターンがあるのと、合成音声の機能が付いているのが素晴らしかったです。

ハンガリーの後はカナダで働くということになったので、新たな言語をゼロから勉強する環境ではなく、むしろ大量に文献を読んだり、このブログでも書いているようにテレビドラマを観たりすることによって勉強してきたので、この手のアプリは使っていませんでした。

今もまたタミル語などのインドの言語を新しくゼロから勉強し始めたところなのですが、今回はMemriseを使っています。 これはSRSが採用されている上に、ユーザーインターフェースがAnkiはもちろんQuizletよりもさらに進化しているので、かなり面白いです。Memriseは今までも、SRS がついていることと、無料であること(有料サービスもありますが)から、実際にカナダなどの日本語学習者の間でも人気が高く、僕もおすすめしてきたことがあります。今回は自分が学習者として使ってみて、やはり今のところこれが一番いいのではないかと思っています。

ユーザーインターフェースの進化というのは、AnkiやQuizlet と違って、回答するパターンが1問ごとに変化するということです。

Memriseでは、以下の複数のインターフェースがあります。
1.見るだけ。タミル語と英語が書いてある。選択肢も何もない。
2.タミル語が書いてあって、英訳を4択から選ぶ。
3.英語が書いてあってタミル語を4択から選ぶ。
4.英語が書いてあってタミル語のスペルを 自分で書く。(タブレットでもできるように必要な文字だけがランダムに画面に並んでいる。パソコンの場合はキーボードから入力することもできる)
5.英語が書いてあって、それに対応するタミル語の複数の音声の中から正しいものを選ぶ。

こうした学習方法がフラッシュカード1枚ずつ全部違う形で表示されます。パターンが違うので、AnkiやQuizletよりも眠くなりません。

ただ、残念なことに現状では自動読み上げの機能がないんですよね。これは文字を通して勉強する人にとってはあまり大きな意味はないと思いますが、文字を勉強しないで音声だけを勉強したいという人には今のところ致命的と言えます。 タミル語を母語とする人が協力したらしいリストも公開されていて、それに関しては音声も利用することができるのですが、スタジオで録音したようなものではなくて音質も低く、皮肉なことにQuizletの合成音声の方が人間の録音した音声よりも聴きやすいということになっています。

最後に、僕が実際にこのアプリを操作している画面を録画しておきましたので、ご関心のある方は是非ご覧ください。



そして冒険は続く。

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【参考資料】
Anki - powerful, intelligent flashcards
https://apps.ankiweb.net/

Quizlet
https://quizlet.com/

Memrize
https://www.memrise.com/

暗記くん
https://www.ankikun.jp/

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posted by 村上吉文 at 07:58 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加