2019年10月19日

行動中心アプローチでA1レベルの退職届の書き方を教える

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もアヴァリティア商会の陰謀に気づいて辞表を叩きつけていますか?

さて、本当は前回のブログで書きたかったのですが出勤の時間になってしまったので、続きを書きたいと思います。

前回のブログでは、「退職届を書く」という行動から、 「特定技能のビザで日本のブラック企業に就職してしまった時、モデル文があれば、ごく簡単な言葉で、退職届を書くことができる」というCDSを作るところまで説明しました。

では実際にどのような授業にすればいいでしょうか。まずは退職届に何を書けばいいか考えてみましょう。インターネットを「退職届 例文」で検索してみると、特に決まった書式がないことがわかります。

https://www.google.com/search?q=%E9%80%80%E8%81%B7%E5%B1%8A+%E4%BE%8B%E6%96%87&rlz=1CAOTWH_enCA793CA793&oq=%E9%80%80%E8%81%B7%E5%B1%8A+%E4%BE%8B%E6%96%87&aqs=chrome..69i57j0l5.385j0j0&sourceid=chrome&ie=UTF-8

このリンクを開いてみれば皆さんもすぐに確認できると思いますが、だいたい以下のような要素が必要なようです。

1.タイトル
2.退職予定日
3.退職の意志
4.退職届を書いた日
5.自分の所属
6.自分の名前
7.相手の所属
8.相手の名前

1.タイトル
タイトルは「退職届」と「退職願」の2種類があるようですが、ブラック企業にお願いしても辞めさせてくれるはずがないので、ここは「退職届」だけでいいと思います。最初からモデル文に含まれているので、 手書きはもちろん漢字変換を教える必要もなく、この言葉を見たら「仕事を辞める時に使う書類だ」と認識できるだけで十分でしょう。「退職願」では退職できない可能性もありますから、この二つの違いを区別できることも必要ですね。また「辞表」とすると何らかの責任を取って辞めると認識される場合もあるそうなので、そのように書かされないためにも教えておく必要があるかもしれません。

2.退職予定日
社内規定で特に決まっていない限り、退職届を2週間前に出せばいいそうです。いつこの退職届を提出するか決めて、その2週間後の日にちを書ければいいでしょう。例文では和暦も西暦もあるので、 ここでは英数字と「年」「月」「日」の三つの漢字が書ければいいでしょう。
あるいは教師が用意するモデル文の中に「__年___月__日」 というような ところまで入れてしまえば、自分で書けなくてもそれぞれの漢字の意味さえわかれば、間違えずに数字を書き込むことができるので、それでも十分かもしれませんね。

3.退職の意志
「やめます」などの動詞も使えますが、この場合はタイトルで「退職」という言葉は避けられないので、本文でも「退職します」でいいでしょう。退職願の場合は「お願いいたします」なども必要なようですが、ここでは退職願ではなく退職届なので必要ないでしょう。なお、例文では「一身上の都合により」という表現が非常に多くありますが、ブラック企業から退職する場合は自分のせいではなく、あくまでも雇用者側に問題があるので、この表現は書いてもらう必要はないでしょう。むしろ、退職届を受け取った相手から「一身上の都合により」と追加するように言われるかもしれないので、「それを書いてはいけない」という意味で教えておく必要はあるかもしれません。

4.退職届を書いた日
ここは退職予定日と同じように、数字と「年」「月」「日」が書けるか、認識できればいいでしょう。

5.自分の所属
相手は同じ会社の人間なので、会社名は必要なく、その会社内の部署だけ書けばいいでしょう。一般的には「部」や「課」などが使われると思いますが、もしその学習者の所属が分かれば、それをそのまま教えるのがいいでしょう。零細企業で働く人もいるようですから、その場合は部も課もないかもしれませんね。

6.自分の名前
社内で通用している日本語表記の他に、法的な効力を期待する文書なのでパスポートに書いてある表記も併記するといいかもしれませんね。

7.相手の所属
相手の所属は会社名から書くことが多いようです。

8.相手の名前
社長の名前を書くときと、直属の上司の名前を書く時があるようです。

このように考えてみると、モデル文は例えば以下のようなものになるでしょう。
退職届

__年__月__日に退職します。

__年__月__日 __部__課 (本人の名前)

(提出先の会社名、部署・役職名、人名)


授業の内容としては上記のようなものになると思いますが、それをどのように教えるかと言うと、それは媒介語の有無やインターネットが使えるかなどの現場の状況によってだいぶ変わるのではないかと思います。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
むらログ: ブラック企業と戦うための CDS の作り方
http://mongolia.seesaa.net/article/470912926.html


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posted by 村上吉文 at 23:35 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加