2019年08月26日

ソーシャルメディアとしてのVR

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もワームホールを通って異世界に転送されていますか?

さて、ここまで VR の教育的効果について、主にゲームなどを対象に TPR の一種としての言語習得などの例をご紹介してきました。 VR ゲームの中で目標言語によって指示を受けて、その指示の通りに物を動かしたりすることによって言語を習得するというモデルです。

しかし、 VR の中での言語習得の可能性はこれだけに留まりません。むしろ、 VR の中で他の人と話したりすることによって言語習得が進む可能性にも注目したいと思っております。つまりソーシャルメディアとしての VR による言語習得で、要するに冒険家メソッドの VR 版ですね。 今日はこのソーシャルメディアとしての VR について簡単に書いてみたいと思います。

【VR世界でおしゃべり】

シングルプレイヤーの VR ゲームの場合は、そのゲームの中に登場しているキャラクターはすべて NPC と呼ばれています。Non Player Character の略で、人間ではなくゲームのアルゴリズムによって動くキャラクターです。 要するにロボットなわけです。

これまでのゲームと同様に、シングルプレイヤーのゲームとは別に、実際に多くの人間が VR の世界の中で交流したりすることもできます。これが先ほど申し上げたソーシャルメディアとしての VR で、「ソーシャル VR」 と呼ばれています。現在非常にユーザーが増えている分野です。

先日も Twitter で僕の投稿に対してこのようなコメントをいただきました。


https://twitter.com/yamaguchi_thai/status/1163132534282080256

何度も申し上げている通り、 VR 空間内での体験は二次元の YouTube 動画などでは全くご紹介できないのですが、少なくとも雰囲気だけでも知って頂きたいので、以下にVRchatというアプリの実際の現場の動画をご紹介したいと思います。

以下の動画では、韓国語の母語話者らしい人が日本語でコミュニケーションをしているところです。日本人も韓国語で話したりしています。
[VRchat/ 日本語] 한국어 패치가 조금 이상한 일본인 친구 (Japanese friend with odd Korean patch) - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=Yi5y9EluvU8

VRchatではいろいろなイベントが毎日開かれていて、日本語が中心のものは以下でご覧になることができます。

VRChat イベントカレンダー
https://sites.google.com/view/vrchat-event

【いっしょにスポーツやダンジョン探検もできる!】

これらは単なるおしゃべりをしているところですが、これだけだったらZOOMで話をしたりするのとそれほど変わらないと思う人もいるかもしれませんね。せっかく同じ場所にいるのですから、おしゃべり以上のことも一緒にできると良いとは思いませんか。

実は、ソーシャル VR ではおしゃべりの他にも、様々なスポーツやゲームを一緒に楽しむことができるのです。

例えば以下の動画では、「Rec Room」というアプリの中で、ドッジボールを楽しんでいる人達が紹介されています。会話は英語ですが、非常に楽しそうに皆さんがゲラゲラ笑ったりしているのは、英語が苦手な人でもご理解いただけるものと思います。

Rec Room: Dodgeball - Accidental Ultra Instinct - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=tIgXSZ7lrss

もう一つ、同じ Rec Room というアプリの中から、「Quests」を楽しんでいる動画をご紹介します。ちょっとわかりにくいのですが、Oculus Quest というゴーグルとは別に、ゲームとしてそういう名前のものがあるのです。これはドッジボールのようにユーザー同士で戦うタイプのものではなく、NPC(つまりユーザーではないキャラクター)のモンスターなどと戦いながらダンジョンの中を進んでいったり、映画トロンのようなサイバー世界の中を探検したりするゲームです。ただし四人でチームを組まないとプレイできないというところが、他の VR ゲームと違うところです。敵にやられても、生き残っている仲間にハイタッチしてもらえれば、またゲームに復帰することができます。こうした仕組みがよくできているので、初めて会った人同士でも、すぐに親しくなることができます。音声による意思疎通ができますから、「やられた! たすけてくれ!」「いま行く!」 などといった会話が 自然に発生します。繰り返しますがプレイヤーにとって、これは画面の向こうで起きていることではなく、自分たちがその世界の中に入っているのです。これが今までのゲームと大きく違うところです。 なお、このRec Roomは無料のアプリなので、 VR ゴーグルとインターネット接続さえあれば、それ以外の経費は一切なく、すぐに参加することができます。

VIRTUAL REALITY DUNGEON CRAWL! | Rec Room: VR Quest (HTC Vive Gameplay) - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=559quulaH0s


【ソーシャルVRの本命はFacebook?】

さて、Oculus Goと Oculus Quest が価格の面でも、スタンドアローンで使えるようになった面でも、非常に画期的だったということを過去のこのブログの記事で書いてきました。そしてこれも前に書きましたが、この二つのゴーグルの開発を行っているのが、まさにソーシャルメディアのユーザー数1位を独走しているFacebookなのです。 今はまだ本格的に稼働していると言える段階ではありませんが、 Facebook が VR 内でのユーザー同士のコミュニケーションを考えていないはずがありません。むしろそのために当時はそれほど有力企業でもなかったOculusに20億円もの資金を投入して買い取ったのでしょう。

例えば3年前の動画ですが、マーク・ザッカーバーグ 本人がこのようなデモを行なっております。
Facebook Mark Zuckerberg Social VR Demo OC3 Oculus Connect 3 Keynote - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NCpNKLXovtE

もうこの時点でかなり普通に Facebook の VR 空間が完成していたことが分かりますよね。そして実際に、 Facebook は VR で参加するプラットフォーム「Facebook Spaces」もすでに公開していて、こちらからアクセスできます。

Facebook Spaces
https://www.facebook.com/spaces

ただし現在はOculus Rift と HTC VIVE という二つの機種でしかアクセスできないために、それほどユーザー数は多くないと思われます。僕自身も実はまだアクセスできません。 しかしせっかく Oculus を買収しておいて、Go や Quest などでこの Facebook Spaces を使えないままにしておくとは思えませんから、数ヶ月以内に状況は変わるものと予想しております。

【アバターに違和感がある?】

上でご紹介したいくつかの動画では、当然ですが VR 空間の中では生身の人間ではなくてアバターが表示されていることにお気づきになったのではないかと思います。そして、このアバターに違和感があって「これはちょっと自分にはできないかも」と思う人も、僕のような世代には珍しくないでしょう。実を言うと僕自身もそうです。コスプレの大会で冒険家っぽい服を着ることはありますが、それが毎日じゃ疲れてしまいますよね(^^)

しかし、この面でも技術は目覚ましい進歩を遂げています。まだ僕達のような一般ユーザーが使える段階にはなっていませんが、 Facebook が開発中の技術のデモを見てみると、もはやアバターなのか本人なのか区別がつかないほどリアルなアバターが近いうちに使えるようになりそうです。顔が本人に似ているだけではなく、表情もリアルタイムでキャプチャーされるのです。以下の資料は英文ですが、埋め込まれている動画だけでも、これまでのアニメやゲームのキャラクターのようなアバターとは全く違う、 VR を感じさせない生身の人間同士のようなコミュニケーションが可能であることを理解することができるのではないかと思います。

Facebook Shows Off Research Aiming to Deliver Truly Realistic Avatars – Road to VR https://www.roadtovr.com/facebook-shows-off-research-aiming-deliver-truly-realistic-avatars/

さて、今日ご紹介した、「VRchat」「Rec Room」「Facebook Spaces」の他にも、主なソーシャル VR のアプリとしては以下のようなものがあります。

vTime
High Fidelity
RecRoom
AltSpaceVR
Big Screen

僕からも随時紹介していきたいとは思っていますが、 ぜひ皆さんもご自身で体験してみていただければと思います。

【VR会議】便利過ぎて手放せなくなる?VR会議アプリ9選!」という記事によると、「フランス語学習者に向けたVRクラブイベント」なども行われているようですので、ぜひ日本語学習者向けにも、こうしたイベントをどんどん開いていって欲しいですね。

そして冒険は続く。

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【参考資料】
social VR Definition from PC Magazine Encyclopedia
https://www.pcmag.com/encyclopedia/term/69486/social-vr

Facebook Spaces
https://www.facebook.com/spaces

Facebook Mark Zuckerberg Social VR Demo OC3 Oculus Connect 3 Keynote - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NCpNKLXovtE

Facebook Shows Off Research Aiming to Deliver Truly Realistic Avatars – Road to VR
https://www.roadtovr.com/facebook-shows-off-research-aiming-deliver-truly-realistic-avatars/

日本発VR SNS「ambr」大型アップデート!新ワールド「Muse」や新移動モード「シンプルモード」などが登場! | VR Inside https://vrinside.jp/news/post-166447/

急成長する「ソーシャルVR」の世界で、人々は自らつくった世界でコミュニケーションする|WIRED.jp
https://wired.jp/2019/06/17/social-vr-worldbuilding/

【VR会議】便利過ぎて手放せなくなる?VR会議アプリ9選! | Spacely Tips https://tips.spacely.co.jp/socialvr/

むらログ: 仮想現実が語学教育を変える! (2017)
http://mongolia.seesaa.net/article/452046082.html

むらログ: VRゴーグルの教育的効果
http://mongolia.seesaa.net/article/468489344.html

むらログ: 外国語教育における VR 技術の応用の実践例
http://mongolia.seesaa.net/article/468521705.html

むらログ: 没入感(VRで教育効果が高まる理由1) http://mongolia.seesaa.net/article/468548043.html

むらログ: 運動感覚的言語学習とTPR(VR で教育効果が高まる理由2)
http://mongolia.seesaa.net/article/468606092.html

むらログ: VRがなぜ2019年に注目されているのか
http://mongolia.seesaa.net/article/468747155.html

むらログ: これから VR の事を勉強してみたい教師の皆さんへ
http://mongolia.seesaa.net/article/468963824.html

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posted by 村上吉文 at 21:29 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加