2019年08月11日

VRがなぜ2019年に注目されているのか

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も白ウサギの入れ墨をした女性を追ってトリニティーに出会っていますか?

先日までブリティッシュコロンビア州のビクトリア市に出張に行っておりましたので、ブログの更新が遅れてしまいました。ここでもいろいろ学ぶべきことがたくさんありましたし、 新たな課題も見つかったのでまた改めて書きたいと思います。

出張前に VR の事をたくさん書いていましたが、ここでどうして急に最近 VR が注目されているかについて書いておきたいと思います。

僕がこのブログで最初に VR について書いたのは2年前の以下の記事です。

むらログ: 仮想現実が語学教育を変える!  (2017年07月23日)
http://mongolia.seesaa.net/article/452046082.html

この時は確かに VR が語学教育を変える可能性を非常に深く感じていましたが、しかし同時にこれがすぐに教育現場に普及するとは思えませんでした。その最も大きな理由の一つが、ハードウェアの問題です。

このころ僕が VR を体験していたのは、 エドモントンのVR専門のゲームセンターでした。ここではHTCのVive という種類のハードウェアを使っていたのですが、これは部屋の天井の隅にセンサーを二つ設置して、 プレイヤーがかぶっている VR ゴーグルと、両手に持っているコントローラーの位置を3次元的に把握するシステムになっていました。おまけに高性能なパソコン本体も必要でした。パソコンにはもちろんこれらのハードウェアをコントロールするためのソフトと、ゲームなどのアプリをインストールする必要がありました。Viveを使うためには安いパソコンではダメで、7万円程度する VR ゴーグルの本体の他に、20万円ぐらいするパソコンが必要だと言われていました。僕も興味があったのですが、安いクロームブックで普通に仕事ができている状況で、ゲームのためだけにこれほど高価なパソコンや VR ゴーグルを購入する決断はできませんでした。

【Oculus Goの発売】

しかし、その状況を一挙に変えたのが2018年5月に発売された「Oculus Go」という機種でした。これは以下の点で非常に画期的だったのです。
1. 外部のセンサーやパソコンなどが必要なく、その VR ゴーグルと手に持つコントローラーだけで遊べること。(スタンドアローン型と言われています)
2.値段がわずか199ドルだったこと。
ただしこれは3DoFという種類の VR で、 VR 世界の中で前後左右上下を見渡すことはできても、自分の体の動きによって VR の世界の中で移動することはできなかったのです。コントローラーを使って移動することはできましたが。

それで僕はイマイチ踏ん切りがつかなかったのですが、以下の記事では2019年7月の段階で200万台も売れていると推定されています。
Facebook Oculus will never break through: co-founder Jack McCauley https://web.archive.org/web/20190809064224/https://www.cnbc.com/2019/07/12/facebook-oculus-will-never-break-through-co-founder-jack-mccauley.html

僕が踏ん切りがつかなかった理由としては、これは基本的にスマホをゴーグルにはめて使うタイプの VR と同じだったからです。 僕はそれまでに VR ゲームセンターで6DoFの非常に没入感の高いゲームを体験していましたが、自宅で体験するために ダンボールで作る VR ゴーグルも買っていました。正確な値段は覚えていませんが、日本円で数百円だったのではないかと思います。この二つは同じ VR ゴーグルと言っても全く没入感が違い、僕にとっては数百円で買える3DoFの VR ゴーグルに199ドルというのはかなり割高な感じがしていたのです。(でも実際にはよく売れているので、ダンボールゴーグルとは全く違うところがあるのかもしれません)

【Oculus Questの発売】

しかし、思っていたよりもずっと早く、さらに状況は一変しました。 Oculusが新製品を発表したのです。 この頃は、 VR が教育界で普及するのはまだ先だろうと思っていたので、今ほど頻繁に情報は追いかけていなかったのですが、気が付くと、Oculus Goと同じようにスタンドアローンなのに、3DoFではなく、自分の体の動きに合わせて VR 空間の中でも移動できる6DoFというタイプのVR ゴーグルの発売が発表されていたのです。これは僕にとってかなり衝撃的なニュースでした。
これってマジ? スタンドアローンなのに、6次の自由がある。 そして下手なタブレットよりも安いこの価格。 これはもうすぐに教育の世界に入ってくると思いますよ。 Oculus Quest - Everything You NEED To Know https://t.co/oHSPn83aTw via @YouTube #拡張現実 #VR #教育 / Twitter https://twitter.com/Midogonpapa/status/1097548466207649792 

これがどのくらい衝撃的だったかと言うと、 実物を手にする前に、10月のBCATMLというブリティッシュコロンビア州の語学教師の大会で、 VR について話すことを提案してしまったぐらいです。 実を言うとこの時は僕の職場の経費で落とせると思っていたのですが、その交渉の結果については非公開とさせていただきます(^^) 

Coursera上のロンドン大学による「Introduction to Virtual Reality」というMOOCの科目でも、Oculus Quest は以下のように紹介されています。
T​his makes it the equivalent of what we have called "High end VR" but in a mobile package. That is quite a breakthrough and we think it will have a big impact on the VR industry.
私訳:Oculus Quest はここで我々が「ハイエンドVR」と呼んでいたものと同等だが、携帯可能なパッケージの形になっている。これは大きなブレイクスルーであり、VR業界に大きな衝撃をもたらすだろう。
https://www.coursera.org/learn/introduction-virtual-reality/supplement/M18zl/hmd-oculus-quest


実際によく売れているようで、今でもインターネットで注文することはできますが、僕の地元のベストバイの店舗では買うことができません。OculusはFacebookに買収されていて、 ザッカーバーグも「製造するそばから売れていく」と在庫がない状況を話しています。

Zuckerberg on Quest Sales: 'Quest is selling as fast as we can make them' https://www.roadtovr.com/oculus-quest-sales-data-demand-zuckerberg-facebook-earnings-call/

こうした技術革新については、AndroidにせよChromebookにせよ、最近は日本のメーカーが遅れをとっていることが多くて残念なことも多いのですが、 VR に関してはソニーもかなり頑張っています。 PS4で使えるVR ゴーグルもかなり人気があるようで、 VR 用の色々なゲームソフトも発売されています。

どの機種が覇権を握るかに関しては僕は予想できるほどの情報がありませんが、少なくとも価格の低下と、ハードウェアの進化により、仮想現実技術はゲームセンターなどの特殊な場所でプレイするものではなくなり、各家庭で利用できる普及期に入ったことは間違いないと思われます。僕の世代の人だったら、1983年に任天堂のファミコンが発売された時のインパクトを覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、 テレビゲームの歴史における1983年が、 VR の歴史における去年から今年の出来事に相当するのではないかと思います。

2019年という現時点で、急にVR 技術が注目されているのはこのような時代的背景があります。

さて、何度も申し上げている通り、仮想現実技術の没入感は、言葉やモニターの動画でお伝えすることはできません。是非お近くの VR ゲームセンターを一度ご訪問の上、ご自身でご体験いただければと思っております。

この後、日本語の先生方向けに VR について勉強するにはどのようにすればいいかを書きたかったのですが、今日もちょっと時間がなさそうなのでここまでにしておきます。

なお、来週の土曜日まで日本語教師チャットのトピックの投票を受け付けておりますので、 Twitter のアカウントをお持ちの方はぜひご投票ください。


そして冒険は続く。

【ブログ更新情報のメールでのお知らせ】
「むらログ」更新情報のメール通知を希望される方は、こちらでご入力ください。
https://forms.gle/4pjSC8DmmW8BEbUv8

【参考資料】
Oculus Go
https://amzn.to/2yPJuL1

Oculus Quest
https://amzn.to/33mXRVb

むらログ: 仮想現実が語学教育を変える! (2017)
http://mongolia.seesaa.net/article/452046082.html

むらログ: VRゴーグルの教育的効果
http://mongolia.seesaa.net/article/468489344.html

むらログ: 外国語教育における VR 技術の応用の実践例
http://mongolia.seesaa.net/article/468521705.html

むらログ: 没入感(VRで教育効果が高まる理由1) http://mongolia.seesaa.net/article/468548043.html

むらログ: 運動感覚的言語学習とTPR(VR で教育効果が高まる理由2)
http://mongolia.seesaa.net/article/468606092.html

Facebook Oculus will never break through: co-founder Jack McCauley https://web.archive.org/web/20190809064224/https://www.cnbc.com/2019/07/12/facebook-oculus-will-never-break-through-co-founder-jack-mccauley.html

Zuckerberg on Quest Sales: 'Quest is selling as fast as we can make them' https://www.roadtovr.com/oculus-quest-sales-data-demand-zuckerberg-facebook-earnings-call/

Introduction to Virtual Reality | Coursera
https://www.coursera.org/learn/introduction-virtual-reality/home/welcome


【コメントはソーシャル・メディア上の記事別ページヘどうぞ!】
https://www.facebook.com/murakami.yoshifumi/posts/10219128484344990
https://twitter.com/Midogonpapa/status/1160326027437936641
https://b.hatena.ne.jp/entry/mongolia.seesaa.net/article/468747155.html
https://murakamiyoshifumi.tumblr.com/post/186919123948
https://adventurers-hideout.slack.com/archives/CB6K25MCY/p1565478020000400

【『冒険家メソッド』と電子書籍「むらログ」シリーズを購入して海外にルーツを持つ子どもたちを支援しよう!】
2014年以降のこのブログの内容はKindle本にもまとめられています。2019年中にこちらの本をご購入になると、その収益は全額が「海外にルーツを持つ子どもと若者のための日本語教育・学習支援事業」を実施しているNPO法人YSCグローバル・スクールに寄贈されます。ココ出版の『冒険家メソッド』は初版の本体価格の5%が同センターに寄贈されます。
https://amzn.to/2RiNThw
タグ:仮想現実 VR
posted by 村上吉文 at 07:49 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加