冒険家の皆さん、今日もゾンビの存在を信じない南方の人々に証拠を見せるためにゾンビを捕獲するべく、危険な壁の向こうへ旅立っていますか?
さて、先週ありがたいことにくろしお出版さんから「日本語教師のためのアクティブラーニング」という本をいただきました。
ご覧になった方も多いのではないかと思いますが、この本を読みながらTwitterに感想などを書き込んでみました。それらを個別にここに埋め込もうとするとちょっと表示が乱れてしまうので、togetterにまとめてみたのですが、実はtogetterは最近はブログなどに埋め込む機能を停止してしまったんですね。それでお気軽にそれを埋め込んでブログを一本書こうと思っていたのですが、そういうことができなくなってしまいました。
ちなみにまとめはこちらにありますので是非ご覧ください。
『日本語教師のためのアクティブラーニング』感想 - Togetter
https://togetter.com/li/1366751
それで今日は、この本の内容そのものではなく、こうしてTwitterで本の感想を書くということについて記しておきたいと思います。
こうして書評や本の感想などをインターネット上で共有して他の人と交流することは、「ソーシャルリーディング」と呼ばれています。2006年の頃のウェブ2.0のブームでは、まだこれは未来の話だったのですが、2010年ごろに電子書籍が普及し始めると様々なソーシャルリーディングのプラットフォームが次々と立ち上げられました。本当に多くのサービスがあって、もう僕もあまり覚えていないのですが、残念なことにそのほとんどは失敗に終わり、今でも生き残っているものは、ほんのいくつかのプラットフォームに過ぎません。中でも「読書メーター」は比較的老舗で、ユーザーも多く、1つの本を中心にいろいろな感想を一覧で見ることができます。また、お気に入りのユーザーをフォローしておくと、そのユーザーが読んだ本などを知ることもできます。もちろん他のユーザーの書評に対してコメントをしたりすることもできます。
多くのプラットフォームがなくなってしまった一方で、新しい潮流もあります。それはZoom等のテレビ会議システムを使った読書会です。日本語教師の中ではミシガンにお住まいの福田さんなども「スナック栞」という名前でオンライン読書会を開いていらっしゃいます。Zoomというプラットフォームは変わるかもしれませんが、遠隔地にいる人たちが1つのトピックについて実際に顔を見ながら話し合うテレビ会議システムは今後も普及していく一方だと思いますから、こうした新しい形のソーシャルリーディングも活発になっていくのではないかと思います。
それとは別に、今日僕がご提案したいのは、ハッシュタグを使ってTwitterやFacebookやInstagramなどのユーザがつながるタイプのソーシャルリーディングです。僕の冒険家メソッドの本も、ハッシュタグを使って投稿してくださっている方がたくさんいらっしゃいます。僕だけの例ではなくて、本のタイトルをハッシュタグにしたものは他にもたくさんあります。ハッシュタグを通して読者同士が繋がることができますから、これも1種のソーシャルリーディングと言っていいかもしれません。
ただし、これには大きな問題があります。というのも、その本に関した投稿は全てこのタグに集約されてしまう傾向があり、例えばその本の売れ行きや、その本のファンに向けた別の本の宣伝などが、有名な本であればあるほど含まれてしまうのです。そしてそれはあながち問題であるとも言えません。なぜならハッシュタグというのは自然発生的なもので、誰かが所有しているものではないからです。どこかに登録して有効になるわけでもありません。
それで僕が提案したいのは、その本の著者や出版社が公式に読者の交流用の専門のハッシュタグを公式タグとして宣言することです。このようにしても広報等が入ってしまうことは技術的には避けられませんが、著者や出版社が提案して始まった公式タグなら、その事情を説明することもできますし、ユーザーから「関係ない投稿しないでくれ」とコメントすることもできるでしょう。こうすることによって、同じ本を読む読者同士がつながり、自分とは違う視点で読んだ感想などを知ることができるようになるのです。
たとえば「かがみの孤城」のような一般書であれば、このようなことは数年前から可能でした。しかし、日本語教育の専門性などに関しては、日本語教師の中にソーシャルメディアのユーザーがあまりなかったことから、ソーシャルリーディングは現実的ではありませんでした。しかし、このブログの昨年の最後の記事(むらログ: 2018年はツイッター日本語教育元年だったなあ http://mongolia.seesaa.net/article/463412576.html)に書いたように、2018年を境にして、Twitterの日本語教師のユーザーの数がどんどん増えているように思っています。ユーザーの数が増えてきたので、情報交換などが活発になり、その結果今までは Twitter に関心のなかった日本語教師も Twitter に参加してきているような良い循環が起きているように見えます。これを考えれば、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを横断的に利用したソーシャルリーディングが日本語教育の世界でも可能になっているのではないかと思います。
今後はぜひ、出版社や著者の方から公式ハッシュタグのご提案をお願いしたいと思います。そしてそれは間違いなく、その本の売り上げにも貢献するものと思います。
ハッシュタグを使ったソーシャルリーディングの方法はまだ他にもいろいろ考えられると思います。例えば、僕が毎月第4土曜日に1時間だけかけて実施している日本語教師チャットのように、毎月みんなで1冊の本を選び、1ヵ月間でその本について感想などを交換するのです。実はこうした毎月みんなで決めて一札の本を読むというのはアメリカなどではよくあるブッククラブの形態です。毎月1回集まって、その本についての意見を交換し、同時に来月までに読んでくる本も決めるのです。読んでくる本の決め方は、投票等の時もありますし、メンバーが1人ずつ順番に本を指定していく場合もあります。こうしたブッククラブを舞台にした映画などもあるので、ご存じの方も多いのではないかと思います。(僕の大好きなリチャード・ドレイファスも出ています)
Book Club (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LDxgPIsv6sY
もちろんこのような会をローカルに行うことも可能ですが、日本語教師の場合は世界各地に散らばっているので、Twitterで公式タグを決めてやるのも良いのではないかと思います。
もしみんなでこの本を読んでみたいというような希望がありましたら、ぜひこうしたオンラインのハッシュタグを利用したブッククラブを主催してみてはいかがでしょうか。もしご興味のある方は、ぜひTwitterやFacebookなどで、コメントしてみてください。ご自分で主催してくださっても結構ですし、反応が多ければ、僕が声かけ人になってもいいです。
ちなみに今日のブログは洗濯物を干しながら書きました。音声入力って、楽で良いですよ。特に僕のブログは、下手に机に座っているとなぜか書けないんですよね。手を動かしながらならいろいろな発想が出てくるというようなタイプの人には、こうして頭を使わない家事をしながらブログを書くというのもオススメです。
そして冒険は続く。
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【参考資料】
日本語教師のためのアクティブ・ラーニング 単行本 – 2019/6/6
横溝 紳一郎 (著), 山田 智久 (著)
https://amzn.to/2XPqhUg
『日本語教師のためのアクティブラーニング』感想 - Togetter
https://togetter.com/li/1366751
むらログ: ソニーの電子書籍リーダーを買ってみた。
http://mongolia.seesaa.net/article/359009803.html
むらログ: 語学学習ツールとしてのAmazonキンドル
http://mongolia.seesaa.net/article/417149438.html
ホーム - 読書メーター
https://bookmeter.com/home
Book Club (2018) - Official Trailer - Paramount Pictures - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LDxgPIsv6sY
ソーシャルリーディングで広がる読書体験 | オリジナル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準(2011)
https://toyokeizai.net/articles/-/5757
ソーシャルリーディングってどう考えたらいいのだろうか?読書体験の共有って言うけどよく分からないねえ。:なるいのDRM進化論:オルタナティブ・ブログ (2011)
https://blogs.itmedia.co.jp/drmevolution/2011/01/post-146d.html
ソーシャルリーディングを利用した読書会について - 図書館学の門をたたく**えるえす。 (2011)
https://humotty-21.hatenadiary.org/entry/20110131/1296476539
「ソーシャルリーディング」が開く読書の新世界 :日本経済新聞 (2012)
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1901H_Z11C12A2000000/
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https://b.hatena.ne.jp/entry/mongolia.seesaa.net/article/467227919.html
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https://murakamiyoshifumi.tumblr.com/post/185654740118/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96%E3%82%92%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%8B
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