2019年03月06日

テレビは他の人のもの。あなたのものじゃありません。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、ご存知の人も多いかと思いますが、「ナカイの窓」 というテレビ番組で、コンビニの外国人従業員の日本語力を揶揄する発言があり、非常に残念に思っています。今日はそれが本題ではないのですが、この件も含めてテレビというメディアとその視聴者の位置づけが昔とはずいぶん違っていることについて書いてみたいと思います。

 この番組については僕は非常に悪質だと思ったので、BPOに意見を送りました。その時のツイートの後半に僕はこのように書きました。
「関係ないけど、テレビみたいに受動的なメディアは見ないほうがいいです。あまりにも非生産的。と言うか、そういう人しかもう見ないメディアになってしまったんだろうけど。」
https://twitter.com/Midogonpapa/status/1100982437218181123


ここでは引用しませんが他にもそういう意見の人は何人かいらっしゃったようです。そしてこのようにテレビというメディア自体を批判する発言に対して、「メディアが悪いわけではない」というような反論もいくつか目にしました。 このことはもうそのまま忘れかけていたのですが、先ほどこんなツイートを目にして、やっぱり一言書いておいた方がいいのではないかと思って今この文章を書いています。

藤沢文翁さんのツイート: "前に話しましたっけ?「本腰を入れる」という表現を使ったら。「性的描写に捉える視聴者がいるかもしれないので、他の表現にしてください」ってテレビで言われたの。あまりのことに一瞬何が駄目なのか全く理解できず、説明を聞いて大爆笑したことがあります。ヤバイぞ自主規制w" : https://twitter.com/FujisawaBunoh/status/1102443125887234048


このツイートを見て思い出したのが、『明日のプランニング』という本です。この本には以下のような文章があります。

年収の高い&意識の高いホワイトカラー層やクリエーティブクラスの人たち、またはその家族に向けて、テレビはもはや作られていないと考えたほうが良いと思います。(位置: 799)


まさに「本腰を入れる」という日本語の表現を知らないような人たちに向けて、テレビが作られているということをよく示していますよね。この本を書いたのはこうしたメディア全般を通した企画を作ってきた「さとなお」さんです。 テレビを作っている側の人が、このように意識しているのだということは、視聴者の皆さんはよく認識しておいた方が良いのではないかと思います。

もちろんこれは秘密でもなんでもなく、企画をする側の人が自分の本に明記しているぐらいのことなので、それが悪いと批判するつもりは全くありません。ただ単に、テレビはそういうものだということを知らない人たちがある程度いらっしゃるようなので、僕たち視聴者がちゃんと自覚する必要があると言うことをお伝えしたいのです。

そして、テレビを作っている側の人たちは、視聴者の変化を非常によく理解しています。要するにテレビを見る人と見ない人たちが全く違う人種であるということを知っているのです。

たとえば「ネットを日常的に利用している生活者」と「ネットを日常的に利用していない生活者」なんて、生きている環境が違いすぎてもう別人種のようなことになっている。(位置: 209)


この人たちがどのように違うのかということについて、 著者はこのように書いています。

2010年も2014年も、約7500万人の人が、月に一度もパソコンから検索していない ことになる。(位置: 609)
そういう人を勘案したとしても、ボクは、 2014年に「日常的に検索を利用していない人」の数は、6000万人から7000万人くらいいる と思う。(位置: 618)


2019年の今から見ると少し古いデータですが、この本が書かれた当時でもこの数字は僕には非常に衝撃的でした。 赤ちゃんやよほどの高齢者を除いて、月に1度もパソコンから検索をしていない人が存在するとは僕自身もあまり考えたことがなかったからです。ちなみに Google のマイアクティビティというページで確認してみたところ、僕は今日は起きてから今の時間までに14回の検索を行っていることがわかりました。個人的な感覚ではこれって意外と少ないのではないかと思っています。さっき息子とズームで話をしていたのですが、そのときにもちょっと彼の経済感覚に不安を感じたので、「日本ではどんな職業が収入が高いのか検索してみな」 ということも話しました。

話がそれましたが、検索をしない人達について、著者はこのように書いているところもあります。
検索をあまり利用していない生活者は、情報に対して受身かつ情報リテラシーが低めで、ネット上で起こった爆発的な情報量の増加に触れていない。(位置: 633)

そしてこのような認識の上に、上に紹介した「ホワイトカラー層やクリエーティブクラスの人たち、またはその家族に向けて、テレビはもはや作られていない」という部分が出てくるわけですね。

さて、そこで考えて欲しいのはあなたはどちらなのかということです。そう、今このブログを読んでいる、そこのあなたです。 おそらく一か月に一度ぐらいは検索しますよね。 1ヶ月に一度も検索しないような人が、このブログにたどり着けるとは思えませんから。皆さんがどこから僕のブログに行ってきたのかはわかりませんが、1ヶ月に一度も検索しないような人たちはおそらく Twitter や Facebook も使っていないでしょう。つまり、どのような経路であれ、今ここでこのブログを読んでいるあなたは、テレビを企画する人が視聴者として想定しているグループの中には入っていないのです。 つまりテレビはあなたのためのものではありません。「情報に対して受身かつ情報リテラシーが低めで、ネット上で起こった爆発的な情報量の増加に触れていない」ような人たちのために、テレビは作られているのです。 そして、実際にそういう人たちは日本列島にまだ半分ぐらいいらっしゃる以上、その人たちのためにテレビが情報提供するのは別に悪いことでも何でもありません。

これはアレルギー体質の人のためにそのアレルギーの元になるような物質を含まない食事を作ったり、お腹の痛い人におかゆを作ってあげたり、場合によっては病院で点滴を打ってもらうのと同じことです。しかしあなたが健康な人であれば、普通に食事を取ればいいのですからわざわざ病院で点滴を打ってもらう必要はありませんよね。

その意味で、もしあなたが一か月に一度以上検索をする程度の情報リテラシーがあるのなら、テレビはあなたのために作られているメディアではありません。元気な人が病院で点滴を打ってもらう必要がないのと同じように、あなたがテレビを見る必要はないのです。 見たければもちろん見る権利はありますが、おかゆや点滴ばかりでは歯で噛む力や胃や腸で消化する力が弱ってしまうように、テレビを受動的に見続けると取捨選択するためのメディアリテラシーが落ちてしまうのは避けられないでしょう。テレビはあなたのためのメディアではありません。あなたはご自分のメディアリテラシーを駆使して、自分にふさわしい情報の取り方を模索してみてください。

そして冒険は続く。

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posted by 村上吉文 at 13:44 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加