2019年02月18日

ホームスクーリングの方が正しい理由と根拠

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

ちょっと前のこのブログの記事でホームスクーリングの方が望ましい子供達について書いたのですが、一般的な日本人の感覚では、「それじゃあ半分以上の子供がホームスクーリングの方がいいことになってしまうではないか」という疑問を持つことになると思うので、今日はその件について書いてみたいと思います。

多分これは一般的な日本人の典型的な認識だと思います。でも僕はそれは疑った方がいいと思います。

まず最初に、僕が小学生だった頃のことを思い出しながら ブレインストームとしてホームスクーリングならしなくてもいいことをあげてみましょう。

最初は学校に行く前です。時間表を見ながらランドセルの中に必要な教科書やノートなどを詰め込みます。ホームスクーリングなら必要ありませんよね。

家を出て通学班の集合場所に向かいます。そして全員が揃うのを待ちます。もちろん自分が最後の時は待つ時間はありませんが、10人の通学班だったら確率的にそうなる可能性は1/10しかありません。この時間もホームスクーリングなら必要ありませんよね。

そして学校まで歩いて通学します。もちろんこれもホームスクーリングなら必要ありません。

教室に着いて先生が来るまでは遊びの時間なので、まあこれは無駄ではないでしょう。でもその後、先生が来て「起立、礼、着席」とかやりますが、これはホームスクーリングでは必要ありません。続いて出席を取ったりする時間もありますが、これもホームスクーリングでは必要ありません。

授業中にも、一斉授業ではホームスクーリングなら必要ないことがたくさんあります。例えば宿題の回収とか返却。 自分は間違えなかったけど他の生徒が間違えた問題に対して先生が説明している時間。 難しすぎて聞いてもわからない説明を聞いている時間。質問するべきかどうか悩む時間。簡単すぎて聞かなくてもわかる説明を聞いている時間。いたずらする生徒を先生が説教する時間。

またこれは先進国では該当しませんが、日本のように学校の中でテクノロジーが使えない国や地域では、紙の辞書を引いたりしなければいけませんよね。これもホームスクーリングでは必要ありません。

これは何回も書いたことがありますが、自律学習などのスピードに慣れてしまうと、一斉授業の進み方は本当に映画マトリックスに出てくる「Bullet Dodge」のシーンのように、スローモーションに見えてしまいます。 あるいは帰省ラッシュ時の高速道路のような車が渋滞している状態。

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そういえば先日はこんなツイートも見かけました。

「卒業式練習に10時間使うだと⁉︎ みんなが同じタイミングで立って、礼して、座る。その為のタイミングや、きっかけを全員で覚えて、全員で同じ所作をする為の練習。加えて国歌、校歌、式歌などの練習で合計10時間使う。はっきり言わせてもらう。バカじゃないか? 」 3:37 - 2019年2月16日 https://twitter.com/barbeejill3/status/1096720294553608193

現時点で18,000人以上が「いいね!」を押していますので、こうした時間の使い方に意味を感じない人が多いのは事実ではないかと思います。ホームスクーリングでは卒業式などの式典に当日だけ出ることはあるかもしれませんが、練習には出ませんので、この時間もホームスクーリングでは必要ありません。

では実際にホームスクーリングの方が学校よりも効率的に勉強できるのでしょうか。実はこうした例はたくさんあげることができます。例えば前にも引用したと思いますが、ホームスクーリングの世界では結構有名な星山まりんさん。

「大学へ行こうと思い立った17歳の夏、まず高認試験のためにはじめて勉強をしました。
試験まで2ヶ月半の期間で、数学にいたっては足し算引き算もまともにやったことがない状態から、全8教科に独学で一発合格。本来12年かけるはずの大学へ行く資格が、たった2ヶ月半で済むということがわかりました。」
https://ai-am.net/marin-profile

1年間のうち、休み以外の期間が10ヶ月だとすると、12年かけるはずの勉強が2ヶ月半でできたということは、一般的な学校の48倍のスピードで勉強できたということになりますね。これが極端な例なのか一般的な例なのかはわかりませんが、少なくとも 学校よりもホームスクーリングの方が早く勉強できるというのは、他にも色々な例を見ることができます。以下のブログでは4倍の効率と書いてあります。

「半分の時間で半分の年数で終われば、実質4分の1の時間で教科書の勉強は終わることになります。4倍の効率の良さです。」
http://epistemehomeschool.livedoor.blog/?fbclid=IwAR2MBl5viM4S64IOPKwhru0MenCpINygBe6oUW-As6KJPJKQnxbriI71UYI

こういう例を出すと、「うまくいった例だけ取り上げても意味がない。ホームスクーラー全体をカバーした統計的な調査じゃないから」と批判したくなる人もいらっしゃるのではないかと思います。しかしそれに関しても実はいくつもの研究があるのです。

例えば以下の論文では、Bryan D. Ray博士がアメリカの公立学校とホームスクーリングを比較しています。

Private Homeschool Education : Research and Philosophy Show Government Control Not Needed
https://www.hawaiifamilyforum.org/wp-content/uploads/2018/02/State-control-regulation-of-homeschooling-fact-sheet.pdf

この論文からいくつか興味深いところを引用してみます。

「Homeschool K-12 students typically score 15 to 30 percentile points above public-school
students on standardized academic achievement tests.」
私訳: 幼稚園から高校生までのホームスクーリングの生徒は、客観テストで公立の学校の生徒よりも平均して15%から30%ほど成績が良い。

「Black homeschool students scored 23 to 42 percentile points above Black public school
students and as well or better than white public school students in a 2015 study.」
私訳:2015年の研究では黒人のホームスクーリングの生徒は黒人の公立学校の生徒よりも23%から42%成績が高く、白人の公立学校の生徒よりも高かった。

個人的な想像ですが、黒人が特にホームスクーリングに適した特徴を持っているというよりも、逆に学校で受けてしまうダメージが他の人種よりも黒人の方が多いために、ホームスクーリングにするとそのダメージを避けることができるというメリットがより多くなるのかもしれません。

さて、 ホームスクーリングに関するよくある誤解の一つに、「家庭教師を雇うことができるほど収入が高い家庭か、そうでなければ親の学歴が高い家庭にしかホームスクーリングはできるはずがない」というものがあります。しかし実際にはそうでもないようです。

「Homeschool students score above average on achievement tests regardless of their
parents’ level of formal education or their family’s household income.」
私訳:ホームスクーリングの生徒は、親の学歴や収入にかかわらず平均よりも達成度テストで成績がよい。

もちろんホームスクーリングの生徒の中で比較すれば親の学歴や収入によって違いはあるかもしれませんが、少なくとも学校に通わせるよりは、親の学歴や収入が低くてもホームスクーリングの方がいいということになります。

また、引きこもりとホームスクーリングの区別ができない人たちの中には、「学校に行かないと社会性が育たない」という誤解をしている人がとても多いです。しかしこれが間違いであることもいくつかの研究結果で指摘されています。ここで引用している Bryan D. Ray 博士の文章の中にも以下の部分があります。

「The home-educated are doing well, typically above average, on measures of social,
emotional, and psychological development.」
私訳:社会性や情操性それに心理学的な発達においても、ホームスクーリングの子供達は平均を上回っている。

「Homeschool students are regularly engaged in social and educational activities outside
their homes and with people other than their nuclear-family members. 」
私訳:ホームスクーリングの子供達は家の外で家族以外との社会的で教育的な活動に定期的に関わっている。

そしてこれらの結論の根拠として、Ray博士は以下のような論文を例として挙げています。

(a) Maranto, Robert, & Bell, Debra A. (Eds.) (2017). Homeschooling in the 21st
Century: Research and prospects, 1st Edition. London and New York, NY: Routledge, Taylor & Francis Group;
(b) Murphy, Joseph. (2012). Homeschooling in America: Capturing and assessing the movement. Thousand Oaks, CA: Corwin, a Sage Company;
(c) Ray, Brian D. (2017). A systematic review of the empirical research on selected aspects of homeschooling as a school choice.
Journal of School Choice, 11(4), 604-621. Retrieved January 26, 2018 from
https://doi.org/10.1080/15582159.2017.1395638 (peer-reviewed journal)
3 U.S. Department of Health and Human Services. (2012). Child maltreatment 20

もちろん、学校が大好きで充実した日々を送ることができているのなら、敢えて非効率な方法を続けるという選択もありかもしれません。しかし前にも書いたように、日本では学校を原因とする子供たちの自殺が年間120人もあるのです。 120人ということは3日に一人が、学校が原因で命を絶っているのです。 今日誰かが死んだら明々後日また誰かが死ぬぐらいのペースです。学校に行かないことは人生の終わりではないどころか、むしろ学校に行かない方が人間として成長できるという事実をもっと周知することができれば、僕たちはこの3日に一人死んでいく子供たちの命を救うことができます。

また、こうした子供達が学校に行かなくなり、クラスあたりの生徒の数が減れば、それだけ教師の負担を減らすことができるでしょう。今朝の静岡新聞の記事によると、静岡県内だけで過労死レベルを超えて残業している教師が2000人もいるそうです。 ホームスクーリングの情報を周知することは、3日に一度死んでいく子供たちの命を救うことができるだけではなく、教師の過労死を防ぐことにもつながります。

繰り返しますが、「ホームスクーリングにもいいところはある」とか、「ホームスクーリングの方が向いてる子供もいる」というレベルではなく、客観的に比較すれば学校教育よりもホームスクーリングの方が高い成果を上げているのです。正しいのはホームスクーリングなのです。この客観的な事実を周知しましょう。それは罪のない人たちの命を救います。そして、これが遅れれば、三日以内にまた子供が一人死にます。あなたはそれでもいいのですか?

そして冒険は続く。

【参考資料】
むらログ: ホームスクーリングの方が望ましい子どもたち : http://mongolia.seesaa.net/article/464058454.html

静岡県内公立中教員、残業深刻 2000人、月80時間超|静岡新聞アットエス : http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/601101.html

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posted by 村上吉文 at 02:18 | ホームスクーリング | このエントリーをはてなブックマークに追加