2019年02月08日

ホームスクーリングの方が望ましい子どもたち

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もパンコット宮殿で奴隷にされた子供達を解放していますか?

さて、ここのところ千葉県野田市の児童虐待事件が大きなニュースとなっています。 事件の悪質さや、教育委員会のアンケートの扱いなど大きな問題が指摘されていますが、中でも児童相談所がどうしてもっと早く児童を保護しなかったのかという声が大きいようです。

しかし僕が違和感を持つのは、家庭での虐待については児童相談所という組織が子供を保護するという役割を担っているのに、冒頭の動画でご紹介しているような学校での児童虐待についてはそれを扱う公的な機関がないということです。

もちろんこのような教師主導のいじめは学校全部に該当することではなく、一部の特殊な例だとは思いますが、問題は現時点の日本の学校制度では子供達は学校を選ぶことができないことで、 悪い学校や悪い教師に当たってしまうと、 簡単に事態が悪化してしまうのです。そしてそこには児童相談所のような介入する組織はありません。

しかし言うまでもなく、家庭における児童虐待とは違って、学校の場合はそもそも学校に行かないという選択肢もあります。2016年までは学校に行かないことはすなわち「サボり」であり、悪いこととされてきたのですが、その年の教育機会確保法により、今では合法的に堂々と学校に行かないということができるようになりました。

ここで考えなければいけないことは、どのような子供達が学校に向いていて、どのような子供達はそうではないのかということです。今日はその点について簡単に書いておきたいと思います。

【成績上位層】
まずは平均的なグループよりも成績が良い子供たち。このグループの子供たちは、学校で勉強するよりもずっと早く先に進めるため、一斉授業よりもホームスクーリングで自分のペースでどんどん勉強するほうがいいと思います。

僕の個人的な感覚では偏差値が60以上の人はホームスクーリングの方が向いていると思いますが、もっと IQ の高い人は学校にいるだけでも辛いので、ホームスクーリングに向かう傾向がかなり高いようです。「ギフテッド」「ホームスクーリング」などのハッシュタグで Twitter を検索してみると、簡単にそういう人たちとつながることができます。

ギフテッド ホームスクーリング - Twitter検索 : https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%E3%82%AE%E3%83%95%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%20%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0&src=typd

特にこちらの方はプロフィールに LINE のグループについても書いていらっしゃいますから、該当する方は一度連絡を取ってみてはいかがでしょうか。

GO5AMY(@Go5Amy)さん | Twitter : https://twitter.com/Go5Amy

このような例は少し検索するだけでもたくさん見つけることができますが、こうした例を知らない人にとっては、学校に行かないで家で勉強すると言う発想すらないので、まずはこうしたツイートなどをご覧になり、今ではホームスクーリングは異常なことなどではなく、ごく普通の営みなのだということを知っておくところからスタートするのも良いのではないかと思います。

これらの子供達は、自分たちのためだけでなく、学校の先生方の負担を減らすためにも、できるだけ積極的に学校に行かないでホームスクーリングをすることを僕はお勧めしたいと思います。なぜなら、成績のいい子供たちが学校に行かないことによって、教員はより支援を必要としている子供達をケアすることができるようになるからです。「教員の働き方改革」などが最近はよく議論されていますが、日本の公教育の教員は 労働基準法の範囲を大きく超えた負担がかかっています。 ホームスクーリングはもちろんまず第1に子供たち本人のためではありますが、それが結果的に教員の負担を軽減し、本当に教員を必要としている人たちのケアに集中してもらえるという社会的な貢献になることも留意したいと思います。

【成績下位層】
しかし、成績の良くない子供たち(英語ではこういう時に「struggling」という便利な言葉があるんですが、日本語では今一つこれに類する表現が見当たりませんね)は、ホームスクーリングに向いていないかと言うと決してそんなことはありません。このグループも、一斉授業ではわからない部分が多いので、自分のペースでゆっくり勉強したほうがいいと思います。自分のペースで勉強すれば、スピードは平均的な子供よりも遅くなってしまう可能性もありますが、それでも確実にマスターしてから次に進むことができるので、小学校6年になっても5年生や4年生の内容が分からないと言うような事はほとんどないでしょう。また、教室では30人も40人もいる中の1人に過ぎないので、先生に何度も質問したりすることができないのも、授業の内容がわからない原因の1つです。これがホームスクーリングになれば、例えばYouTubeの動画は何度も繰り返してみることもできますし、わからないところだけ、仕事から帰ってきたお父さんやお母さんに質問して教えてもらうようなこともできます。ですので、平均的なグループよりも成績が良くない子供たちも、ホームスクーリングが向いていますし、ホームスクーリングをすると平均的な子供達より必ず進度が遅れてしまうと言うわけではなく、むしろそのほうが早く進める可能性も考えられます。

日本の教育制度の一つの大きな問題として、どれだけ成績が悪くても上の学年に進級させられてしまうという点があります。もし留年することができれば、 何も分からないまま上に進んで上のクラスでも分からないまま最後まで進んでしまうことはないのですが、それが難しい現状ではホームスクーリングの方がより良い選択肢と言えるのではないかと思います。

【教育の七五三】
よく「教育の七五三」などと言われることがありますが、小学校の段階では7割の児童しか授業についてこれず、そのような子供は中学校では5割、高校では3割しかいないと言われています。 これは現場の先生方の肌感覚から来ているいい方なのであまり厳密なエビデンスなどはないかもしれませんが、現場の先生方の感覚が正しいとすると、少なくとも小学生の3割、中学生の半数は教室に通うよりもホームスクーリングをした方がより良い学びを経験できる可能性があるわけです。これらの数字は最初に述べた成績がいい子供達は含まれていないので、実際にはもっと多くの生徒が教室よりもホームスクーリングの方が向いている可能性があります。

簡単に計算してみると、小学校や中学校の一般的なクラスでは、教師は平均よりも少し下ぐらいのレベルを念頭に授業をするのが一般的ではないかと思っています。少なくとも僕は教職課程で30年ほど前にそのように教わりました。教育界の七五三を前提にすると、それでも小学校で3割の子どもたちがついていけないのですから、おそらく成績が良い方の子供達は3割以上が本来だったら自分が勉強できる最適なスピードよりも遅い進度に付き合っているものと想像できます。つまり6割か7割ぐらいの小学生は進度の面だけで考えても、 学校よりもホームスクーリングの方が向いていると考えていいでしょう。もちろんこの数字は中学生や高校生になればもっと増えていくものと考えられます。

【成績中間層】
それから、成績は平均的なグループの中にいても、ニューロダイバーシティーの意味で平均的ではない子供たちも、教室で勉強するよりはホームスクーリングの方が合っているのではないかと思います。たとえば極端にシャイな子供とか、社交的ではない子供たちが典型的です。こういう子供たちは、周りに合わせることにエネルギーを消費してしまって、そのエネルギーを自分の成長に100%振り分けることができません。これは非常にもったいないことです。

また、何かやりたいことがある子供たちも、一斉授業よりはホームスクーリングが向いているでしょう。ホームスクーリングではありませんが、アイススケートの‎紀平梨花選手も通信制のN高等学校に在籍していることはよく知られている通りです。同じように、小説を書きたいとか、1日中イラストを書きたいとか、そういう何らかの情熱を持っている子供たちは、その情熱を通して直接世の中に接していくことが良いと思います。

【それに必要なことは?】
なお、あくまでも可能性があると言っているだけで、どのような場合でもここに挙げたタイプの子どもたちはホームスクーリングの方がいいと断言しているわけではありません。例えば虐待する親などがいる場合は、たとえ授業がさっぱり分からなくても、家よりは学校にいる方がいいと思います。というよりも、21世紀の学校の役割は限られた資源をむしろそうした支援を必要としている子供達に集中して、今よりずっと充実した教育を受けさせることにあるのではないかと思っています。そしてホームスクーリングをもっと周知することができれば、そのような余裕も生まれるでしょう。しかし残念ながら、今の学校制度は支援を必要としている子供たちを支援せず、逆に自由に解放しなければならない子供達を大量に縛りつけることのみに専念しているように見えてしまっています。

このような状況から脱却して、ホームスクーリングの方が向いてる子供たちに家で勉強してもらうには、「父が最後に教えてくれたこと」という記事で書いたように、学校に「教育ソーシャルワーカー」という人が常駐して、学校が向いていなければ家で勉強した方がいいというアドバイスをしたり、実際にホームスクーリングを開始した子どもやその保護者に対して、その子供の特性などを調べた上でどのような学習方法や教材を使えばいいかをアドバイスしたりするようになる必要があります。

このような制度が整備されていないことは、本当に悲劇です。 ホームスクーリングを知っていれば死ななくて済んだような子供達のニュースを僕たちは年に何度も、おそらく月に1度ぐらいは目にしているのではないでしょうか。参考文献のところに資料をあげておきましたが、大雑把に言って毎年300人程度の子供が自殺していて(朝日新聞)、そのうちの40%は学校での問題が原因になっているそうです(文部省)。つまり簡単に言うと、ホームスクーリングの可能性を周知することができれば、毎年120人ぐらいの子供の命を救うことができるのです。毎週二人以上の数字ですよ。

僕たちはもっとホームスクーリングについて情報発信をしていかなければならないと思います。それは必ず誰かの命を救うのですから。

そして冒険は続く。

【参考資料】
減らない子どもの自殺 昨年、小中高生320人:朝日新聞デジタル : https://www.asahi.com/articles/ASK4P04M6K4NUUPI007.html

「子供の自殺等の実態分析」 : http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/09/10/1351886_05.pdf

むらログ: 多様な学びを社会として認めよう : http://mongolia.seesaa.net/article/453716706.html

むらログ: 『かがみの孤城』にみる日本の教育の多様化の遅れ : http://mongolia.seesaa.net/article/460915106.html

むらログ: 父が最後に教えてくれたこと 在宅医療とホームスクーリング : http://mongolia.seesaa.net/article/463662483.html

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posted by 村上吉文 at 23:06 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加