2019年01月20日

「どこでも窓」 〜 24時間Zoom

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も「どこでもドア」で砂漠のオアシスからオアシスへと瞬間移動していますか?

あれ?「どこでもドア」を使うキャラクターって冒険家なんでしたっけ? というツッコミが来そうですが、彼もいろいろ宇宙に行ったり、恐竜の時代に行ったり冒険していますよね(^^)

さて、「どこでもドア」というと移動のための手段ですが、 もし本当にそんなものがあったら、別に移動できなくても、あけっぱなしにしているだけで、とても大きな価値があるとは思いませんか? だって世界のいろいろなところが、 リアルタイムで見られるんですものね。ドアの向こうにいる人とこちらにいる人でお互いに手を振ったり近くに寄って言葉を交わしたりすることができれば、戦争なんてすぐになくなってしまうと思いませんか?

でも実は、そんなことはもうすでに可能なんですよね。しかも無料で。はい、いつも書いているような、スカイプとか、Googleハングアウトとか、 ZOOM Cloud Meeting などです。

ところで、もしかしたらブログに書くのは初めてかもしれませんが、実は1月1日から僕は単身赴任になっています。子供が二人いる家庭で賑やかに暮らしていたものですから、 かなり不安もありました。実際に日本からカナダに戻ってくる飛行機の中では、寂寥感と言うか孤独感というものがかなりあったのですが、今のところ何とかやれております。

実はそこですごく役に立っているのが、 ズームを24時間つなぎっぱなしにするという作戦なんです。これ、やってみると本当にすごいですよ。ドラえもんの「どこでもドア」を壁につけて「どこでも窓」にして、あけっぱなしにしているようなものですから。そこで今日はちょっとその事について書いてみたいと思います。

【ズームとは】
まず、ズームを使ったことがない人のために簡単に説明しておくと、ズームはテレビ会議システムです。100人以下の人数が一同に集まる代わりにズームで集まって議論をすることができます。有料版と無料版があり、有料版は3箇所以上の拠点を無限に繋ぐことができますが、無料版の場合は時間制限なしで繋ぐことができるのは2箇所までです。3箇所以上の場合は40分しか繋ぐことができません。つまり、カナダの家と日本の家をつなぐだけなら、2箇所だけなので、時間制限なしに無料版で24時間つなぎっぱなしにすることができます。

【国内で準備したこと】
さて、どうやら僕が一人で暮らすしかなさそうだということが分かってきてから、実際に飛行機に乗るまで3週間ほどありました。 そこで、まずは練習することから始めました。僕が向こうに行ってからメールなどで体制を整えるのはあまり現実的ではないと思ったのです。

幸い、カナダから1台 iPad を持って帰ってきていたので、実家に置いてある Android のタブレットとの両方を使って、実家の居間の中で ズームをつなぎっぱなしにするところから始めてみました。 同じ部屋の中を撮影した映像が、それぞれ反対側のタブレットから表示されるわけです。そうすると鏡と反対で、タブレットを見ると常に自分の後ろ姿が見えることになります。

ちょっと話が脱線しますが、これは例えばモデルさんとか役者を目指しているような人にはもしかしたらいい訓練になるかもしれません。というのも、鏡だと自分で自分を見ることが意識されているので、いつのまにか容姿をチェックするための体勢になっているんですよね。でもタブレットなどで後ろ姿を見ると、意外と姿勢が悪いということが少なくとも僕の場合は毎回痛感させられました。 まあ僕の場合はモデルでも俳優でもないので、ズームの結果、姿勢が正しくなったと言う実感は全くないのですが、そういう仕事をしている人にとっては大事なのではないかと思います。

閑話休題。こうして実家で24時間つなぎっぱなしにすることを繰り返していると、実は最初に一度接続すればあとは何もしなくてもいいわけではないということが分かってきました。 wi-fi の環境のせいか、時々切れてしまうことがあるのです。また、理由はわからないのですが、どちら側も「会議を終了する」という選択をしていないのに、「この会議はホストにより終了されました」という表示が出て切れてしまうこともあります。ですので、平均すると僕の環境ではもしかしたら一日一回ぐらい接続し直しをしているかもしれません。

そうするとちょっと面倒になってくるのが、会議室 ID を毎回入れることです。会議室 ID は9桁から10桁ありますので、覚えることは不可能ではありませんが、こういう敷居が高いと、だんだん面倒くさくなってズームをつなげる頻度が落ちてくることが予想できますよね。それは単身赴任のお父さんにとってとても困るので、 ショートカットを作ることにしました。

頻繁に同じズームの会議室を使う場合、その会議室へのショートカットが直接パソコンのデスクトップやタブレットのホーム画面に設置できればいいのですが、そういう方法が用意されているかどうかちょっと分からなかったので、とりあえずブラウザのショートカットを作りました。IPad の方は Safari で、Androidの方はChromeです。両方ともホーム画面にURL をブラウザで開くためのショートカットを置くことができます。そのショートカットを開くとまずはブラウザが起動するのですが、そのブラウザが「リンクをズームで開きますか」と質問するので、「はい」をタップするとズームが起動される仕組みです。

なお、 Android のズームアプリでは、ショートカットを利用しなくても、以前ログインした会議室の ID が記憶されていて、 ID の最初の一桁を入力すると、「これですか?」と質問されるので「はい」をタップすれば会議室に入ることができます。

ところで市販されているよくあるタブレットの台では、斜め上を向く形でタブレットが固定される物が多いですが、つなぎっぱなしにする場合は窓のように垂直に立てるのがいいと思います。そのために最初はダンボールの小さな箱にハサミを入れて垂直に立てるものを使っていたのですが、やはり三脚などの方が便利ですね。昔は三脚と言うと一眼レフを載せるような大型のものが中心でしたが、今ではスマホやタブレットを固定するための小さなものもたくさん市販されています。 また三脚にタブレットを固定するためのホルダーも色々な種類のものが市販されています。家で使っているのは「Balckcase タブレット用スタンド ホルダー」というフォルダーと「くねくね三脚 自由雲台」という三脚です。



【カナダに来てからの実感】
とりあえずこれぐらいの準備できたところで、カナダに戻る日が来ました。 飛行機の中ではさすがに寂寥感とか孤独感がなかったわけでもありませんし、今でも仕事から終わって誰もいない家に帰る途中は、結構辛いものがありますが、家に帰るとそこはもう日本の家族と繋がっているので、あまりそういう孤独感はありません。

最初は家の中でもよく歩き回るので、スマートフォンからズームに繋がっていました。もちろん、外に出るときも常に持ち歩いていました。でも実は、これは単身赴任者が家族とつながるためにズームを使う時のストラテジーとしてはあまりいいものではないのかもしれません。というのも、それにあまり大きなエネルギーをかけるのは両方にとって良くないと思うのです。相手がわざわざスマホを持ち歩いて中継していたら、見る方もスクリーンの前に正座して見たりしなければいけないように感じてしまいますよね。これでは長続きしません。

それで、次に日本にいた時と同じように iPad でルームにつなぐようになりました。これで驚いたことは、ずっと見ていなくてもいいということなんです。スマホに比べると画面が大きいので、画面の中で何かが動くと目の隅でもそれを認識することができます。スマートフォンの場合は注目するか無視するかの二つの選択肢しかなかったのに、タブレットにするとその中間の、注目しているわけではないけど無視しているわけでもないという状況に近くなるのです。

画面の大きさでこれだけ変わるということに気がついたので、次に挑戦したのはテレビに出力することです。僕はもともとテレビはあまり見ないので、単身赴任になるとテレビは全く活用されていませんでした。それで、そのテレビに古いパソコンからHDMI 端子で出力してみたのです。最初はパソコンの内蔵カメラを使っていたのですが、パソコンをテレビの真ん前にでも置かない限り、日本から見るとこちらの視線がちょっと変なところに行ってしまうので、今では Web カメラをテレビの上につけて、そのカメラで中継しています。こうすることのメリットの一つは、テレビというのはだいたいソファーの位置などから考えても見やすい所に置いてあり、その上にカメラを置くと、ソファーなどに座っている時に相手から見やすいという点があります。いつも後ろ姿ばかり写っていてはちょっと変ですよね。

家のテレビは、おととしカナダでスマートテレビ(Google homeなどから音声で操作できるタイプのもの)が主流になり始めた時に、 古いタイプのテレビが投げ売りされていたのを、かなり安い価格で買うことができたのですが、横幅が95センチほどあります。これだけあると、もう本当に「窓」なんですよね。本当に隣の部屋にいるみたいな感じです。

こうしてバーチャルな窓で単身赴任者が家族とつながると、どういうことが起きるか。やっぱり、積極的に行動を起こさなくても、情報交換ができることがとても大きいです。例えば「のど自慢」を見ながらお好み焼きを焼いてるとか、そういうことって父親が単身赴任になってもわざわざメールやメッセンジャーで相手に送ったりとかしませんよね。もちろんそういう事を細かくメールで共有する家族があってもいいのですが、 それに比べるととても楽に情報共有ができます。 できるというよりも、窓から見えるだけなので、特に積極的に何の行動も起こしていないのです。先日は僕が床屋に行って帰ってきたら、さっそく妻から「散髪したの?」と聞かれました。それ自体は情報としてはあまり価値のあるものではありませんが、そうした何気ない普通のやり取りが続けられるというところに、この「どこでも窓」の威力があるのではないかと思います。何の用事もない時に、目が合って手を振ったりすることもあります。日本とカナダで太平洋を挟んで、何の用事もないのに目があったら手を振ったりすることができるって、素敵じゃありませんか? ちょっと前には想像することもできなかったのに、それが今では簡単にできるようになっているのです。

でも、日本では僕はただのタブレットの中の人なので、みんなが盛り上がっていると手を振っても気が付いてくれないこともあります。 そういう時はなんだか、もし亡くなった父が遺影の中から僕たちを見てるとしたらこんな感じなんだろうなと思うこともあります(^^)

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【どのように応用できるか】
最初に書きましたように、ズームは無料版でも一対一なら時間制限なしで24時間繋ぎ放題にすることができます。アカウントを作るのも無料です。アカウントは一つ作れば相手は必要ありません。また、最初に会議室を作る時にだけログインして、会議室の設定を「ホストが入室する前にゲストが入室することができる」にしておけば、 もう二度とホストとしてログインする必要はありませんから、 ID やパスワードを忘れてしまっても大丈夫です。覚えておかなければいけないのは、9桁の会議室 ID だけです。

これだけ簡単なら、かなりいろいろな所で応用ができるのではないかと思います。ちょっと brainstorm 的にアイデアを考えてみましょう。

すぐに思いつくのは、 高齢の親を見守らなければいけないような状況です。ただ、上にも書きましたが、僕の場合は1日1回ぐらいはなぜか接続が切れてしまって、つなぎなおす必要があるので、ごく簡単なタブレットの操作は高齢者の側も自分でできることが条件になります。あるいは二世帯住宅のように、接続が切れてしまったらすぐに訪問してつなぎなおすことができるような距離にあれば高齢者が自分で操作しなくても可能ですね。

それから、最近はこういう言い方はしないのかもしれませんが、「鍵っ子」と呼ばれる共働きの家庭の一人っ子のいる家です。職場からは繋げられないような場合でも、一つ上に書いた一人暮らしのおじいちゃんとかおばあちゃんと繋ぐことができれば、少なくともおじいちゃんおばあちゃんの方は大喜びだと思いますし、子供に何かがあった時もおじいちゃんかおばあちゃんを通して親に連絡をすることは可能でしょう。また、専業主婦のいる親戚などでももちろんいいですよね。ペットを飼っている人などでももちろん、ペットの様子を見るのに役に立つだろうと思います。

また、入院中の患者が家族とつながるというのも良いのではないかと思います。実はうちの父も在宅で看取る前に10日ほど入院していたのですが、タブレットで孫の写真を見せたりすると非常に喜んでいました。それがライブで動いている姿で、手を振ったら向こうも手を振り返してくれるような繋がりだったら、一般的に誰でも喜んでくれるのではないかと思います。もちろん、この辺りは病院でインターネットがどのぐらい使えるかにもよります。 電波で医療機器に障害さえ起きる心配がなければ、モバイルルーターなどを入院中だけ有料で使うこともできますよね。

このようにすでに存在している家庭のメンバー同士で「どこでもドア」で繋がるという他に、これから家庭を作る人同士が24時間つながるというのも良いのではないかと思います。結婚前に同棲する人も最近は珍しくないと思いますが、その一つ前のステップとして、恋人同士が24時間自分の部屋を繋ぎっぱなしにするのです。今のように、まだこうした考えが普及していない時点で「zoomで24時間繋がらない?」とか言ってしまうとちょっとドン引きされてしまうようなこともあるかもしれませんが、少なくともお互いの部屋を訪問し合うようになってからなら、今後はこうしたステップを踏むことがごく自然な流れになるのではないでしょうか。

それより僕が興奮してしまうのは、例えば海外の姉妹校などの教室同士でつながることです。何か用事があるから繋がるのではなく、用事がなくてもずっと繋げておくのです。 子供達というのは遊びを発明することに関しては天才的なアイデアを発揮するので、いろいろなことが起きるんじゃないかと思います。それに、別に何も起きなくてもかまわないのです。ただそこに自分達と同じぐらいの歳の子供達がいるということを、知識ではなく、ライブの映像で見ることによって、子供達の認識はだいぶ変わると思います。

それが例えば、今いろいろと揉めているお隣の国だったりしたらどうでしょうか。今の日本の子供達は、お隣の国に自分たちと同じ歳の子供が自分たちと同じような遊びをしていて、毎日泣いたり笑ったりご飯を食べているということが本当に腹落ちした状態で理解できているでしょうか。例えば日本の文部省と韓国の文部省が協力して、小学校や中学校の教室の一つ一つを、お互いの国の教室と繋ぎあうのです。それ以上何もしなくても、こうしたことができるようになれば、今のようなバカバカしい軋轢はなくなってくれるのではないかと思っています。 政治家同士の軋轢があったとしても、それで国民全員が同じように思っているなどとばかばかしい勘違いをする人はいなくなってくるのではないかと思います。嫌韓本などに騙されてしまうこともなくなるでしょう。

海外にホームステイをした人が、自分の家とホームステイ先の家を結んだりするのもいいですよね。ホームステイをした留学生以外はお互いのことをほとんど知らないでしょうから、相手の国の生活が目に入ってくることによって、いろいろなことをお互いに学ぶことができるのではないかと思います。寝室などではなく、リビングルームを中継するだけなら、お客さんにも見せることが出来る範囲でしょうし、少なくとも子供を預けたり預かったりした関係の家庭ならこうしたこともできるのではないかと思います。

あるいは、ホームステイの代わりにこのようにつながってみるということもできるかもしれません。ホームステイを希望するものの、お金や健康の問題でそれが実施できないような人たちもたくさんいますよね。そういう人たちが海外の一般家庭のリビングルームに直接話しかけたりすることができるようになるわけです。つなぎっぱなしなので、対応できる時しか対応しなくてもいいでしょう。というより、朝起きた時に「おはよう」と言って、夜寝る前に「お休み」というだけでも、実際にリアルタイムで毎日できれば、参加した人の考え方は大きく変わるのではないかと思います。そこから仲良くなっていろいろなことを質問しあったりするようになることもあるかもしれませんし、それだけで終わるかもしれません。

しかし、すぐにインターネットに加入していて、古いパソコンが1台余っている家庭なら、実質的に無料でこのようなことができるようになっているのです。僕たちはこの時代のこうした豊かさを、次の世代の人達の幸せや発展のために十分に使わなければいけないと思っています。そのためにはこうした発想の転換が必要で、こうしたパラダイムシフトが、僕がいつも言っている「欠乏の時代」と「ありあまる豊かさの時代」の違いなのです。僕たちは今、こうした「ありあまる豊かさの時代」を生きています。「欠乏の時代」にはできなかったいろいろなことができるように なっているのです。 欠乏の時代の発想にとらわれず、今できる機会を最大限に活用して、次の世代の幸せにつなげていきたいですね。

そして冒険は続く。

【参考資料】
むらログ: 教師研修はもう「オンラインでの学び方」だけにしません? : http://mongolia.seesaa.net/article/458229209.html

リモートで仕事をする東京支店と名古屋本社のコミュニケーション方法 – TUNAG : https://tunag.jp/ja/contents/hr-column/377/

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posted by 村上吉文 at 09:00 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加