2018年12月22日

アナログは冷たく、デジタルはあたたかい

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

父の危篤で一時帰国したまま、2ヶ月間行ってきたオンライン教師研修が今週終わりました。そこで思ったことは、アナログは冷たくデジタルは温かいということです。

ちょっと前は逆でしたよね。 デジタルは冷たく、アナログは温かいというのが一般的な認識だったのではないかと思います。なぜなら、少なくとも Web 2.0がブームになった2006年より前は、インターネットには双方向の交流よりも一方的な情報発信が多く、同じようにパワーポイントなどの授業技術も一方向性を強く感じさせるものでした。また、テクノロジーは感情を伴う交流よりも数字の操作との親和性が高かったため、パソコンなどでする作業は会計などが早く取り入れられていました。パソコンなどの値段も非常に高かったので、お金をかけて組織的にデータを扱うような使い方が中心で、個人の顔が見えるようなこともあまりありませんでした。

ここでオンライン教師研修の話に戻るのですが、昨年の反省点から今年はカナダから参加している日本語の先生方には、一対一の面談を週一回取り入れることにしました。もちろんオンラインですから、テレビ電話です。その時に非常に便利だったのが、 Google クラスルームという学習管理システムの個人データを見る機能です。参加者一覧の中から、一人を選んで名前をクリックすると、コースの中でその参加者が提出してきた課題の一覧が表示されるのです。これは別に Google クラスルーム独自の機能ではなく、他の学習管理システムでもよく見られるもので、例えばEdmodoを使っていた時にもとても重宝しました。

予定していた個人面談は、父の葬儀などもあって半分ぐらいしか実施できなかったのですが、 こうした非常に限られた時間の中で個人面談を行う上で、このように特定の参加者のデータがクリック一つで一覧できるというのはとてもありがたかったです。もしこれがアナログだったら、普通は参加者の課題提出状況や、実際に提出された成果物などは、それぞれ別に保存されているのが普通ですよね。試験ごとに全員の成績が一覧になっていたり、特定の課題も全員の成果物がまとめて記録されていることが多いのではないでしょうか。それらの資料を一つずつめくって、これから面談を行う相手の情報を頭に入れるのは、どれだけ整理されている職員室でも、学習管理システムで参加者の名前を一回クリックするだけに比べて、百倍ぐらい時間がかかってしまうものと思います。繰り返しますが、最近の学習管理システムを使えば、学習者の名前を一回クリックするだけで相手の情報が一覧となって表示されるので、学習者一人一人に、きちんとしたデータを持って向き合うことができるのです。というより、大量の紙の資料をめくるような生産性の低い時間に忙殺されている教員にとって、学習者と一対一の個人面談を行うような時間的余裕はまず絶対にありえませんよね。

そこで皆さんにも考えていただきたいのです。皆さんが何かを勉強する時に、先生とは教室で会うだけで、その先生はあなたのことをあまりよく分かっていないし、一対一で話すチャンスもない学習環境と、その反対に、先生はあなたの課題などに全て目を通した上で一対一で話し合うことができる学習環境。

どちらが冷たく、どちらが温かいでしょうか。

確かにインターネットの初期には、デジタルは冷たく、アナログは温かいと言う時代がありました。そのような印象は間違っていなかったと僕も思います。しかし今では逆なのです。インターネットを通しても人はテレビ電話で笑顔や涙を交換することができますし、 非人間的な事務作業に大量の時間を奪われることもなくなりました。 人と人との交流だけに集中することができる環境が整っているのです。

逆に、アナログなままでは事務処理などに大量の時間がかかってしまい、学習者一人ひとりと向き合う時間も作れませんし、仮に一人ひとりと向き合ったところで、相手の情報も散逸しているので、よほどすごい記憶力をもっている人でない限り深い話などできないのです。

繰り返しますが、 「デジタルは暖かく、アナログは冷たい」これが今の普通なのだと思います。日本語教育関係者の皆さんが、温かい環境で働けることを祈っています。

そして冒険は続く。

【参考資料】
「アナログはデジタルと違って温かみがあるし魂がこもってる」という人に一言言いたい!→TLでは描き手たちの魂が飛び交っている - Togetter :
https://togetter.com/li/994542


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posted by 村上吉文 at 21:24 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加