2018年08月02日

コピー機、そろそろやめません?

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もNORADに潜入して人工知能と◯☓ゲームを楽しんでいますか?

さて、8月9日の日本語教育研究大会のプレミアムトークで「もう未来の話じゃない ICTと日本語教育」というタイトルでお話させていただくことになりました。

それでツイッターでアンケートをしたり、ネットでいろいろ調べたりしていたのですが、最近はインターネット利用料がずいぶん安くなっているので、コピー機を使うのはかなり教育機関の財政を圧迫しているんじゃないかという気がしてきました。

【コピー機よりWi-fiの方が安い】
まず、ラクスルマガジンの「どちらがお得?コピー機とネット印刷を徹底比較!」という記事によるとコピー機で白黒のA4の紙を一枚コピーするだけで4円かかるそうです。

ということは、もし20人いるクラスで一日4コマの授業で各コマで1枚ずつコピーを取ったとすると、1日320円のコピー代がかかることになります(4円×20人×4コマ)。7月は平日が22日ありますから7140円になります。

一方、インターネットにアクセスするのは、いくらかかるでしょうか。

実は、今回僕が一時帰国で借りたモバイルwi-fiルーターの一ヶ月分のレンタル料金が、6480円なんです。データ量に上限はないプランで、先ほど回線速度を測ってみたら23 Mbpsだったので、数人が同時にYouTubeを見ても問題ない速度です。

固定式の光ファイバーの回線なら、上記のモバイルルーターに比べて手続きは多少面倒になるかもしれませんが、もっと速くて安いのがたくさんあることでしょう。

つまり、コピー機を使うのをやめて、教材などをwi-fiで共有することにすれば、その方が却って安いのです(20人の学習者全員に1コマ1枚でコピーする前提なら)。「お金がかかるからwi-fiは入れられない」というのは、実は全く理由になっていなかったんですね。

固定式の光ファイバーを入れるのは、確かに契約やら、もしかしたら工事やらも必要になるかもしれないし、一度やってみて使えなかったら元に戻すのも面倒なので慎重になるのは理解できます。しかし、モバイルルーターなら始めるのも止めるのも簡単です。一度、試しにコピー機の利用を一ヶ月ほど禁止してみて、wi-fiだけで情報共有を行ってみてはいかがでしょうか。

ということを提案すると、「えー! コピー機を使わないなんて!」と変化を嫌う人たちが一斉に声を上げそうですが、日本語学校で皆さんが受け入れている学生さんは海外から言葉もろくに通じない東アジアの島国に人生をかけてやってきているんですよ。それに比べれば、たかがコピー機が使えないぐらいで騒ぐなんて、保守的すぎませんか?

【具体的なペーパーレス化の方法】
ところで皆さんはコピー機を使う時はどんなものを複写するのでしょうか。よくある例としては小テストや既存教材用の語彙リストなどですよね。

このうち、小テストに関してはせっかくデジタル化するのならMSワードやその他のワープロソフトを使うのではなく、 Google フォームを使ってしまうと良いと思います。そうすると自動採点も一緒にできますので、コピーする手間が要らなくなるだけではなく、なんと! さらに!採点する手間も要らなくなります。(ジャパネットの社長風に読んでください)

語彙リストなどはGoogle ドキュメントをお勧めします。なぜならGoogle ドキュメントの場合は「リフロー型」と言って、画面の大きいパソコンで見るときと、画面の小さなスマートフォンで見る時の両方に最適な表示をしてくれるからです。パソコンで見るときは印刷文書のように1行あたり40文字ぐらいですが、スマホで読むときは1行あたり15文字程度で改行されるのです。

友国際文化学院やホツマグループやカイ日本語スクールなどのように、学校でパソコンを支給できる場合は別ですが、そうでない場合は学習者の環境に依存しますので、パソコンで見る人もいれば、スマホで見る人もいて、リフロー型の教材にすることは避けられません。

その他、新聞記事や市販教材をコピーして配布する場合は、コピーの代わりにスキャンしてプロジェクターで見せるということもできますね。機械のスキャナーがなくても、「CamScanner」というスマホ用のアプリを使えば、スマホのアプリで多少斜めから撮ったものもスキャナー専用機でスキャンしたように自動的に修正されます。

またこうした電子ファイルを学生に共有するには、オンラインのコミュニティを作っておくと便利です。こうしたオンラインコミュニティにも色々な要素があって、どのプラットフォームが良くて、どのプラットフォームが合わないかというのは一概に語ることはできませんが、一般的には学生が既に使っていてログイン率が高いものを選ぶのがいいと思います。ただし、授業中に時間を取ってこうしたオンラインコミュニティにアクセスさせることができる場合は、こちらの指定するものでもいいでしょう。具体的にはプライベートと切り離すことのできるSlackを僕はおすすめしたいです。

Slackというのは無料のビジネスチャットで、SNSではないために、個人のプロフィールページで学生に知られたくないお酒の趣味などが共有されたりしないために、僕はおすすめしています。(SNSでも情報の共有範囲をきちんと設定すればほとんどそのような心配はないのですが)

というような話を8月9日の日本語教育研究大会ではするつもりです。ご関心のある方はぜひご来場くださいませ。代々木オリンピックセンターで午前10時30分からです。(ご来場できない方のために、ライブ中継もあります。詳しくはツイッターなどでご紹介します)

そして冒険は続く。

【参考資料】
日本語教育研究大会ポストセッションのチラシ
http://www.nisshinkyo.org/news/pdf/2018/20180718y.pdf

「どちらがお得?コピー機とネット印刷を徹底比較!」 | ラクスルマガジン : https://raksul.com/magazine/column/copier-online-print-compare/

「料金プラン【短期も長期もお得】 | WiFiレンタルどっとこむ」 :
https://www.wifi-rental.com/price.html

CamScanner | Turn your phone and tablet into scanner for intelligent document management. : https://www.camscanner.com/

Google ドキュメント
https://www.google.com/intl/ja_jp/docs/about/

むらログ: 噂のSlackを使ってみた
http://mongolia.seesaa.net/article/460052093.html

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posted by 村上吉文 at 07:14 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加