2018年06月18日

噂のSlackを使ってみた

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もラクダに揺られて灼熱の砂漠を横断していますか?

さて、4日ほど前に投稿された以下のツイートが2万回以上 RT されるほどバズっています。


https://twitter.com/miyahancom/status/1006701932923142144

僕も SNS などからチャットを中心にした Messenger 系へとインターネット利用者の大きな潮流の変化があることを何度もこのブログで触れてきました。実際に僕自身も、2017年の年初のこのブログの挨拶で、毎日やることの一つに「メールチェック(最近はメッセンジャーが中心なのでよく忘れるから)」というのを入れていました。昨年、「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法」という本がベストセラーになったのも記憶に新しいですね。

最近の若い人は Facebook をあまり使ってないと言われていますが、 それでも Facebook メッセンジャーだけは使っているという人を時々見かけます。また、これらの SNS の代わりに、 LINEなどのメッセンジャー系のアプリが大人気ですよね。スナップチャットなどは見たら消えてしまうというぐらいリアルタイムにこだわったコミュニケーションツールです。メールなどとは全く正反対の発想で作られていることが分かるのではないかと思います。

そうした流れは個人のユーザーだけではなく、ビジネス系のツールにも波及していて、ビジネスの場では Slack というツールが普及していることを数年前から色々な機会に耳にしていました。

それで僕も1年か2年ほど前に、「日本語教員の方向けに Slack をやってみませんか」と呼びかけたことがあったのですが、この時は反応がなくて、 結局僕自身もそれを使い始めることにはなりませんでした。こういうコミュニケーションツールは、一人だけではどうしようもありませんからね。

ところが今回、冒頭に引用した投稿がバズっているこのチャンスを捉えて、この投稿を引用した形で日本語の先生方にもう一度「Slack を使ってみませんか」と呼びかけて見たところ、今回は多くの人にご参加いただくことができました。


https://twitter.com/Midogonpapa/status/1007123065178734592


https://twitter.com/Midogonpapa/status/1008090923203362816

おかげさまで、現状では30名を超える方が体験するために集まってきてくれています。中には数名だけですが、既に使っていらっしゃる方も協力するために参加してくださっています。

【使ってみた印象】
では以下に、現時点で三日弱ですがこの Slackというツールを使ってみて、感じたことを書いてみたいと思います。

最初に大事なことですが、これは無料ツールです。有料版もありますが、無料版でも大きな問題もなく使うことができるでしょう。主な違いは、無料版では最も新しいものから1万件しか検索対象にならないということです。しかし、人数が少ない組織では1万件の投稿が行われるまでにかなりの時間がかかるでしょうし、1万件に達してしまったら同じメンバーでまた別のワークスペースを立ち上げればいいので、大きな問題ではないと思います。もちろん、検索できないことを前提に、同じワークスペースで使い続けるということもできるでしょう。そもそもチャットはリアルタイムのコミュニケーションツールで、保存しなければいけない成果物などはドキュメントやプレゼンテーションなどの形で別に保存されているでしょうから、古いチャットログが検索できないということはそれほど大きな問題ではないかもしれません。

【環境】
Slack が使える環境は、普通のブラウザがあればどんなデバイスでもいいので、ハードウェアの問題で入れないということはあまりないでしょう。パソコンの場合は Windows でもマックでもクロームブックでも大丈夫です。スマホやタブレットの場合も、 Chrome などのブラウザのアプリが入っていればアクセスできますし、 独立したアプリをインストールして使うこともできます。

【発想の違い】
さて、 Slack では「ワークスペース」と呼ばれる場があって、そこにメンバーが参加するという形になっています。発想のもとはこの中心にある一つのワークプレイスで、アカウント毎の関係ではありません。電話やメール Skype のチャットなどは、まず相手の電話番号やメールアドレスやアカウントなどが必要で、それを使って相手と連絡することになりますよね。しかし Slack では、まずこのワークスペースという中心の場所があって、そこに色々な所から人が集まってくるイメージです。メンバーに参加してもらうには、このワークスペースに参加してもらうためのリンクを送るだけです。ですから、メンバーの Slack 用のアカウント名とか ID とかを把握する必要はありません。僕も Facebook と Twitter でこのリンクを共有しただけです。

【日本語教育関係者が使うとしたら】
多分、日本語教育関係者が仕事で使うには、学校ごとのワークスペースを立ち上げるというのがもっとも一般的な形になるのではないかと現時点では想像しています。

workspace は重層的に更に小さなコミュニティを作ることもできます。例えば「ぼうけんか日本語学校」などというワークスペースを作りそこに教員や事務員などに入ってもらい、そしてさらにそのワークスペースの中に、「チャンネル」と呼ばれているのですが、教員全員が参加するチャンネルや、事務方のチャンネルや、特定のクラスの引き継ぎのためにそのクラスを担当している教員だけの小さなチャンネルなどを作ることもできます。そしてこれらのチャンネルは参加したい人は誰でも参加することができます。そのチャンネルが存在することは、そのワークスペースの参加者なら全員が知ることができます。そして中身も読むことができます。ただし発言するには、「このチャンネルに参加」という手続きをとらなければいけません。また、このチャンネルというものは、そのワークグループに属している人なら誰もが作ることができます。

守秘義務などの関係で、学校で働く人たちのワークスペースと、そこで勉強する人たちのワークスペースは別に作った方がいいかもしれません。というのも、クラス内での問題を引き継ぎで共有したりする時には、学習者には見られないほうが率直な意見などが伝えられるからです。 また、出席率やテスト結果の一覧なども学習者の誰もが見えるところに共有するわけにはいきませんよね。

(2018年6月20日に追記。実はチャンネルにはプライベートチャンネルといって外部の人からは中身を見ることができないチャンネルもあります。ですので学校単位でひとつのワークプレイスを作って、テストや成績などの学生に見られてはいけない教員同士のコミュニケーションはこのプライベートチャンネルでするというのもいいかもしれませんね。)

学習者も入っているワークスペースでは、クラスごとのチャンネルというのを作って、他のクラスの学習者も自分のクラスとは別のところでどんなことが起きているのかなどを知るには、 Facebook グループなどよりも、 この Slack の方が向いているのではないかと思います。というのも Facebook でクラスごとのグループを作ると、自分の属していないクラスのグループが秘密グループだったり非公開グループだったりした時は、その内容を見ることができないからです。その意味でSlackは一つの組織の中の風通しは非常に良くすることができるというそうです。派閥主義やセクショナリズムなどに悩んでいる組織では、その雰囲気を変えるのに非常に役に立ってくれることでしょう。

(6月18日追記:N高等学校はすでに生徒と教師のコミュニケーションにSlackを使っているそうです。詳しくは参考文献のリンクをご覧ください)

【仕事とプライベートを切り離すには効果的】
Facebook などの SNS を仕事に使うことについて、多くの人がプライベートと仕事を混同したくないという理由で困っているようです。 Facebook なども本当は「リスト」という機能を使ったりコミュニティを活用することなどによって、プライベートと仕事はある程度は切り分けることができるのですが、それには共有範囲の設定などをする必要があり、人によっては面倒だと思うこともあるでしょう。

しかし Slack では、もともと仕事の「場」と遊びの「場」が別々なので、こうしたプライベートと仕事の境界が不明確になるという問題は全くないでしょう。現状では Slack を使っている人達はビジネス上の情報交換が中心のようです。もちろん遊びのために Slack を使うこともできますが、そのためには学校などとは全く別のワークスペースを立ち上げることになります。そして Facebook と違ってSlackはアカウントが発想の原点ではなく、 このワークスペースが出発点なので、 Slack 上に他にどんな workspace が存在するのかをそのワークスペースに属してない人が知ることはできません。仕事とは全く別の趣味のワークスペースがあったとして、その存在すら職場の同僚などは知ることができませんし、もちろんそこにあなたが属していることなどは知りようがありません。

Facebook などでは、ユーザーががどのようなグループに属しているかはプロフィールページで見ることができますし、そのグループが公開グループである時は、そのグループであなたがどのような発言をしているかも、職場の同僚が見ることができるわけです。Slack ではこのような可能性はありません。

【勉強会や学会などでも使える】
日本語教育関係者に学校単位のワークスペース以外でこの Slack の使い方を提案するとしたら、やはり勉強会や研究会、学会などの運営には非常に効果的なのではないかと思います。 少なくともメールなどで意思決定を行うよりはずっと迅速な行動ができるようになるのではないかと思います。 その意味でも、指導的な立場にいる年長の人こそ、 Slack を使ってみていただきたいと思います。こうしたツールを導入すると、若い人はもちろん喜ぶと思いますし、間違いなく仕事にかかる時間的な負担を減らすことができるでしょう。僕も早速、「ぼうけんかのひみつきち」とは別に、エドモントンの職場で使うワークスペースを作ってみました。

【皆さんも使ってみましょう】
以上、 あまり結論らしきものがなくて申し訳ないのですが、とりあえず3日ほど使ってみた記録として現状の認識を書いておきます。まだ仕事でメールを使っている皆さん、そろそろこうしたチャット系のツールへ移行してもいい頃ではないでしょうか。体験してみたい人は引き続きコメントやメッセージを受け付けています。参加してみて自分には向いてないと思ったり十分に学んだと思ったらいつでも退出してくださって結構ですので、日本語教育関係者の方はお気軽にご参加ください。

そして冒険は続く。

【参考資料】
Slack
https://slack.com/intl/ja

itunes
https://itunes.apple.com/us/app/slack/id618783545

Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.Slack

IT企業「メール、電話は全部Slack、紙とペン、パワポ使ってない」昭和企業「1日2時間くらいメール打ってバカほど電話し会議はパワポ資料に手書きで書き込み」 - Togetter
https://togetter.com/li/1237059

グーグルの人が「メールしない」本質的な理由 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
https://toyokeizai.net/articles/-/163430

「世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか グーグルの個人・チームで成果を上げる方法」
https://amzn.to/2ylopuo

ビジネス向けチャットツールは、なぜ「次に来る大物」とされるのか──テック企業の競争が激化する理由|WIRED.jp
https://wired.jp/2018/01/15/why-workplace-im-is-hot-again/

N高等学校のSlackを紹介しているページ
https://nnn.ed.jp/about/it_tool/

むらログ: 崎谷実穂『ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命』
http://mongolia.seesaa.net/article/455004651.html

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https://www.facebook.com/murakami.yoshifumi/posts/10215851173494267
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posted by 村上吉文 at 06:38 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加