2018年02月18日

実務家にとっての論文の読み方

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もブーメランを投げて野鳥を狩っていますか?

さて、僕は月に1回ほど最新の論文を紹介するニュースレターを出しているのですが、それを見て「よくこんなにたくさん読めますね」と感心されることがあります。しかし、実際にはもっとたくさん読んでいます。といってもそれほど厳密に読んでいるわけではありません。

それで、今日は研究者ではない僕のような実務家がどのように論文を読んでいるかということについて、お話ししてみようと思います。

まず、Googleスカラーから毎日何十本もの論文が送られてきて、そのほとんどはタイトルしか読みませんが、タイトルに惹かれるものがあったらリンクをクリックして本文を開きます。リサーチクエスチョンがそのままタイトルになっているようなものはとても分かりやすいですね。

論文の本文を開いても、そのうちアブストラクト(要旨)しか読まないものもたくさんあります。アブストラクトで面白くなさそうだと思ったらそこから先はもう読みません。アブストラクトで面白そうだと思ったら、次に最後のほうにあるファインディング(finding)を探します。ファインディングは「この研究から得られた知見」という意味です。ただ、ファインディングという見出しで書かれていることはほとんどありません。リサーチクエスチョンが興味を持てるものでも、そこから得られたファインディングがあまり面白くないときは、そこから先は読みません。ファインディングも面白かった時だけその他の部分も目を通してツイッターにも投稿します。ファインディングをアブストラクトに書いてくれる人はとてもありがたいですね。

その他の部分というのは「先行研究」とか「研究の方法」の部分のところです。先行研究の部分を読むときは「それがその論文の先行研究としてふさわしいものかどうか」などということは全く考えません。あくまでも目的は自分の仕事の役に立つ情報収集ですから、ただ単に「面白そうなタイトルのものがあるか」というぐらいの関心です。また、研究方法の部分は、正直全部わかっているわけではありません。というより査読を通っている論文なら、研究方法自体にはほとんど関心がありません。僕のような実務家であり研究者ではない人間にとって、研究方法自体が参考になることはほとんどないからです。もちろん、似たような研究をしている人にとっては、同じ分野の他の研究の方法を勉強する事は大いに参考になるでしょう。しかし、「その研究による知見が現場で役に立つか」どうかという視点のみで論文を読んでいる僕のような立場の人にとっては、研究方法の部分はあまり重要ではありません。

さて、以前は、このような論文を読む人たちは、研究者だけに限られていました。なぜなら、インターネット時代以前にはこうした論文は学会誌等でしか読むことができなかったからです。そしてそれらの学会誌は、学会員になったり図書館まで行って、探さなければ読むことができませんでした。

しかし現在は、Googleスカラーなどでいくらでも論文を読むことができます。わざわざGoogleスカラーのページまで行かなくても、自分の興味のあるキーワードを登録しておけば勝手にメールでGoogleスカラーアラートを送りつけてくれます。

現代の高度知識時代には、研究者以外の多くの実務家が毎日大量の論文に目を通しています。そういった場合の読み方は、「自分の仕事に役に立つか」とか、コンサルタントの場合は「自分の顧客にとって役に立つか」とか、実利的な目的のみで読んでいるのが普通でしょう。そして、日本語学校でも、少なくともコースデザインに関わるような立場の人なら、こうして最新の情報を仕入れていく必要があるのではないかと思います。

そうした立場の人は研究者のような立場で読む必要はありませんし、ましてや査読者のつもりで、「この方法で本当に証明されていることになるのか」などと考えながら読む必要も全くありません。「厳密な読み方が必要だから自分には論文は読めない」とか、「自分には読む時間がない」などと距離を置いてしまうのは、この変化の速い高度知識社会において非常に不利なことになってしまいます。ぜひ、もっと他の実務家の皆さまにおいても、肩の力を抜いて最新の情報収集に日常的に触れて行くことをお勧めしたいと思います。

なお、この記事は編集も含めて全て、パソコンを使わずにiPadだけで書いてみました。音声入力ができるようになると、タブレットでも普通に長めの文章が書けるんですね。タイトル画像だけはいつも画像編集に使っているGoogleスライドのメニューが違っていてパソコンを使ったのですが、その他はアップロードの作業なども全部タブレットです。画像編集もおそらくそういうアプリを使えば簡単にできるでしょう。

そして冒険は続く。

【参考資料】
Googleスカラー
https://scholar.google.co.jp/

一月に最新論文を紹介したニュースレター
https://us16.campaign-archive.com/?u=a92927892eecfe0680f8a4ef5&id=3f2eca5058

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posted by 村上吉文 at 07:57 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加