2007年06月23日

麻生太郎外相と日本語教育とポップカルチャー

昨日のエントリーで、麻生太郎外相への「オタク海外協力隊」の提言について触れましたが、この人、日本語教育についてもかなり独特な洞察を見せています。

場所は衆議院の外務委員会の答弁で、もう一年ぐらい前の平成18年10月27日の記録です。
○麻生国務大臣
これは私も知らなかったんですが、過去十年間ぐらいの間に、日本の経済力が落ちたと言われた時期に、日本語の学習者は、統計の資料によれば約倍ふえております。経済が落ちたにもかかわらず学習熱はふえた。なぜふえたか。それはほとんど、今子供の間に猛烈な勢いでふえておるという現実を見るときに、間違いなく、いわゆるゲームソフトの解説本です。
 ゲームソフトの攻略本を最初に読んで覚えるのが、例えばマレーシアならマレーシアで英雄になりますので、日本語を読んで解説本を読破して、それで攻略ができるようになったらそれが英雄になるから日本語を最初に覚える。これが現実です。したがって、猛烈な勢いで、子供の間で、東南アジアでは日本語学習熱がふえたというのがこの十五年間ぐらいで顕著な例なところだと思っております。http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=144&SAVED_RID=3&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=9&DOC_ID=4816&DPAGE=1&DTOTAL=2&DPOS=2&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=4367

「いや、それだけじゃないだろう」とはもちろん思いますが「ゲームソフトの攻略本で日本語教育の学習者が倍になった」と国会で答弁する人が外務大臣なっているというのも、面白い時代ですよね。

この日の麻生外相の答弁では、他に「アメリカの知日派の第四世代」という視点がなかなか面白かったので、全文を載せておきます。なお、こういった答弁は著作権で保護されない(したがってここにコピーしても問題ない)と考えていますが、問題でしたらご指摘ください。国立国会図書館さま。

○丸谷委員 公明党の丸谷佳織です。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは私の方からは、国際情勢の中で機微な問題ではないのでございますけれども、外交上重要ではないかと思われる点について何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、いわゆる知日派、親日派と言われる人たちを外交戦略上どのような形で今は形成してきたのかという問題点を指摘させていただきたいと思います。
 例えば、同盟関係にございます日米でございますが、アメリカにおいて、マイケル・グリーン氏がホワイトハウスを去ると、また一人知日派が減ったといったような報道が日本の新聞でなされたり、あるいは中国において、いわゆる親日派、知日派という人が今どれくらい、トウカセンさんなんかは当然そうでしょうけれども、あるいは中東の安定あるいは日米、日・イラン関係の中、非常に微妙な外交政策、バランスをとっているイランにおいて知日派がどれくらいいるのか。いろいろなことを考えたときに、外交政策上で知日派、親日派づくりというのをしっかりと柱立てしていく必要があるのではないかというふうに思います。
 経済がよいとき、バブルの最中には、当然、経済関係の結びつきが自然と多くなってきますので、日本語熱も高まってきたり、民間レベルで日本を知ろう、日本語を勉強しよう、日本文化を知ろうといったような熱というのは大きくなってくるわけですけれども、日本経済の衰退とともに、自然の流れの中で、日本に興味を失っていった人たち、あるいは日本語教育が少なくなって日本語を学習する人口が減っていく、こういった現象はあるんだと思います。
 なので、経済の流れに任せて日本語に対する興味とか日本に対する興味、あるいは知日派、親日派が少なくなっていくという現象は外交上よくないというふうに私は考えるわけでございますが、この点については、大臣、共有していただけるでしょうか。

○麻生国務大臣 必ずしも知日派が親日派とは限りませんけれども、今言われましたように、日本語の点で言わせていただくと、一つだけ、これは私も知らなかったんですが、過去十年間ぐらいの間に、日本の経済力が落ちたと言われた時期に、日本語の学習者は、統計の資料によれば約倍ふえております。経済が落ちたにもかかわらず学習熱はふえた。なぜふえたか。それはほとんど、今子供の間に猛烈な勢いでふえておるという現実を見るときに、間違いなく、いわゆるゲームソフトの解説本です。
 ゲームソフトの攻略本を最初に読んで覚えるのが、例えばマレーシアならマレーシアで英雄になりますので、日本語を読んで解説本を読破して、それで攻略ができるようになったらそれが英雄になるから日本語を最初に覚える。これが現実です。したがって、猛烈な勢いで、子供の間で、東南アジアでは日本語学習熱がふえたというのがこの十五年間ぐらいで顕著な例なところだと思っております。
 いずれにしても、こういったようなもので、言葉が、おすしから入ってみたり、漫画から入ってみたり、Jポップから入ってみたり、いろいろなところから日本語が入ってきつつあるとは思います。
 もう一点忘れてならぬのはアメリカだと思いますが、エズラ・ボーゲルじゃなかった、「代議士の誕生」を書いた男、何といいましたっけね……(発言する者あり)ジェラルド・カーチスは、この間言っていましたけれども、もうおれたちは終わったと。一番世代が「菊と刀」とか、サイデンステッカーとかそういった世代、二代目がGI、三代目が自分たちと思ったけれども、今現実、アメリカにおける知日派というのは完全に第四世代に移って、その背景は、すべてJETプログラム。イングリッシュティーチャーというのを各地でばらまいておりますけれども、年間約五千人入ってきております。これは、各地各地において、約二十周年になるんだと思いますけれども、毎年五千人以上入れかえてやっているんです。
 こういった人たちが今、アメリカのウィスコンシンならウィスコンシン、ダコタなんて、ほかに日本人が全くいないようなところから来ていますので、そういったところに戻って、きちんとアルムナイ、アルムナイというのは同窓会をつくっております。したがって、こういったものが、日本語をその後維持するためにとか、いろいろな形になっておりまして、これが万という数にふえ上がっております。
 今、各知事にお願いをしているのは、ニューヨークならニューヨークに行ったら、そこのJETプログラムのアルムナイ、同窓会があるから、岐阜県に行った人を呼んでくれと言ったら岐阜に行ったやつだけ集めてくれるから、そして知事として、岐阜県に行った人にアフターケアしてやってくれ、それがまた日本に対する関心を持ち続けてくれるからと。これは総務大臣のときにやったプログラムの一つですけれども、そういった形で、そこそこアメリカにおいては、そういった人たちが卒業して国務省に入りなどなどが進んでおります。
 余談ですけれども、鹿児島に行った人たちがべらべら鹿児島弁を覚えて帰ってきて、イギリス大使館でしゃべったら一言も通じなかったのでびっくりしたと言っていたのが、つい一月前ぐらいの話ですけれども、そういった話で、ここらが今我々として、育ちつつあるかな、組織的に国が絡んで育っているというのはこういうところかと存じます。いずれにしても大事なところだと思います。



質問している丸谷佳織さんについても、時間があったらまた書きたいのですが、今日はこの辺で。
posted by 村上吉文 at 13:19 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
外相がウィスコンシンとダコタを同じように「日本人が全くいないようなところ」と言っているのは疑問ですね。まあ、例として東西海岸以外のマイナーな州を挙げただけなんだと思いますが。一応私、大学院はウィスコンシンで2年間住みましたので、言えますが、少なくともマジソンやミルウォーキーには結構な日本人社会があります。全米の日本語のプログラムがある大学でも週8時間も教えて4年生までクラスがあるようなところは10校ぐらいじゃないかと思いますが、ウィスコンシンはそのなかでもバブル時代の日本語ブームのずっと前から日本語を教えているし。でもこんなことは日本語教育と関係のない一般の日本人・アメリカ人にはあまり知られていないんだろうなと思いますが。ダコタといえば、映画ファーゴ(ノースダコタ)のイメージですが、たぶん本当に日本人なんて少ないんじゃないかと思います。とダコタと一緒にされたら、必死にウィスコンシンをかばわずにはいられませんでした。
Posted by ヒロシ at 2007年06月24日 05:04
ヒロシさん、いらっしゃい。

ダコタといえば、地名よりもダコタ・ファミングの方が日本では有名かもしれませんね。といっても駐米経験のない私のような日本人にはウィスコンシンという響きにもあまり馴染みはないんですが。

今度麻生さんに会った時に、間違いは指摘しておきますから。あの人もスタンフォードに留学したわりには、アメリカのこと知らないんですね。



(一部、予定されてないことが混入しています)
Posted by 管理人 at 2007年06月24日 07:53
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