2018年01月24日

すでに実用化されている相互質問評価システム

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も酔っ払った砂漠の民の部族長にわけの分からない説教をされていますか?

さて、今、オタワの空港で飛行機を待っているところなんですが、先ほど見かけたブログの記事について思ったことがあるので、一言書いておきたいと思います。

僕が見たのは、関西学院大学の寺沢拓敬さんのブログです。ここで述べられているような事は僕も時々見かけるのですが、学会や研究会などで質問として手を挙げておいて、実際には質問の代わりに自分の言いたいことだけを延々と話す演説が始まってしまうようなことがときどきあります。寺沢さんも「この手の人は悪気があるわけではなく、もうアレな人なので呪わないであげましょう。」と書いていらっしゃるように、もしかしたら、そういう人たちは行動障害とか何らかのメンタルな問題を抱えていらっしゃるのかもしれません。そして、そういう人たちと社会が共存していかなければいけない以上、できれば演説を途中で遮るとかではなく、スマートに問題を解決できるできないものだろうかと思います。

その1つの方法は、質問を受け付けてから発表者や司会者が選ぶような方法です。例えば、海外日本語教育学会のライブ中継では、YouTubeライブのコメント欄に質問が寄せられ、それを会場側の進行役が発表者に伝えると言う形をとっています。これだけでも、こうした不規則発言をフィルターにかけることができます。

しかし、こうした主観的な方法では発表者にとって都合の悪い質問は無視されてしまうという懸念もあります。それに対しては、以下のような解決方法があります。

実は、日本ではあまり知られてないようですが、質問を参加者同士で相互に評価して、上位の質問から回答していくという方法があるのです。こうすることによって、みんなが聞きたい質問に限定して発表者が回答することができるわけです。結果的に、いま問題視されているような不規則発言で参加者全員の貴重な時間が無駄になってしまうようなことは避けられます。

やり方はいくつかありますが、僕の知っている限りでいちばん普及しているのはGoogleスライドの質問機能を使うことです。発表者はGoogleスライドを見せながら同時にこの質問機能を使うことが多いですが、学会などで使う場合は、発表者が例えばPowerPoint等の他のプレゼンテーションソフトを使って、質問用だけのGoogleスライドを作ると言うのも技術的には問題ないのではないかと思います。その場合は、質問を受け付けるためのGoogleスライドのURLを発表者やあるいは学会や研究会の主催者が参加者に共有する必要はあります。Googleにログインしていない状況で質問できるかどうかまだ試していないのでわからないのですが、少なくとも投稿するときに名前を出すか匿名で質問するかの選択肢もあります。

そして、すでに自分が聞きたい質問が投稿されていた場合は、その質問に「いいね」を押します。つまり、多くの人が「いいね」を押している質問はみんなが答えを知りたい重要な質問で、誰も「いいね」を押してない質問は人気がない質問ですから優先順位が低くなります。YouTubeの動画のように、「良くないね」のボタンもありますので、積極的に低く評価することもできます。このように、Googleスライドは単に質問ができるだけではなく、参加者全員によって質問を評価して総意を形成し、重要な質問だけに発表者が答えるようなことが可能になるわけです。

発表者側の操作としては以下の手順になります。

まず、 発表のためのGoogle スライドを開き、画面の右上の方にある「プレゼンテーションを開始」の右にある下向きの小さな三角形を押します。そうすると隠れていたメニューが出てきます。
メニューの中から、「プレゼンター表示」を選びます。そうするとプレゼンテーションとは別に、プレゼンターの操作のための小さめの画面が表示されます。
もしそこで、「 新しいセッションを開始」という文字が表示されていれば、それをクリックします。 表示されていない場合は、上の方の「ユーザーツール」というタブの名前をクリックすると表示されるようになります。
新しいセッションを開始のボタンを押すと、 「ここに質問が表示されます」とか「 質問を受け付け中」と言う文字が表示されます。発表者の操作としてはこれで成功です。

この時、プレゼンテーションの画面には「 質問を投稿」というメッセージと共に、質問用の短い URL が表示されます。今日の記事のタイトル画像に使っているのがその時の画面です。学会や研究会でその発表を聞いている人は、この URL をパソコンやスマートフォンなどのブラウザのアドレスバーに入力し、そこで質問をするわけです。

ちなみに、こうした方法はいわゆるメディアスクラムを避けたいと思っている人が自宅前などで突撃レポーターに対応する代わりに利用することができると思います。よく芸能レポーターが「私は読者の聞きたいことを代表しているのだ」と言いながら迷惑も考えずに相手に突撃していくことがありますが、本当に社会が何を知りたいのかはわかりません。そして、こうした質問の相互評価システムを使って質問を受け付けておいて、その後でYouTubeライブなどでその質問に答えて、突撃レポーターには全部「YouTubeライブで答えます」とだけ答えるという形にすれば、メディアスクラムもなくなっていくのではないでしょうか。話した内容のオリジナルがオンラインに残っていれば、マスコミに都合の良い所だけカットして報道されるようなこともなくなるだろうと思います。

政治家などは、逆に有権者の知りたいことをこうしたシステムを使って知ることができます。そして、こうしてくだらない質問は避けて、みんなが知りたい質問だけには誠実に答えていくような政治家であれば、有権者からも支持されるのではないかと思います。

今日申し上げた事は実はもう10年以上前から多くの人が議論している「群衆の叡智」というウェブ2.0の代表的な考え方です。他には例えば「ソーシャルブックマーク」と言って、みんながブックマークしているところを重要なウェブサイトとして検出するウェブサイトもあります。日本では「はてなブックマーク」などが有名ですね。

学会や研究会などで、実際に顔を合わせることの重要さは今さら議論するまでもありませんが、そうしたアナログのコミニケーションと、デジタルなコミニケーションの両方を同時に使うようなスマートなコミニケーションが僕たちの生活に普及いくことを祈っています。

そして冒険は続く。

【参考資料】
学会発表での不規則発言への対処
http://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20170620/1497966895

「みんなの意見」は案外正しい
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%80%8C%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E6%84%8F%E8%A6%8B%E3%80%8D%E3%81%AF%E6%A1%88%E5%A4%96%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%84

Googleスライド
https://www.google.com/intl/ja/slides/about/

Google スライドでプレゼンテーション中に、聴衆からの質問を受け付けられるようになりました
2016年5月12日木曜日
https://gsuiteupdates-ja.googleblog.com/2016/05/google_12.html?m=1


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posted by 村上吉文 at 00:51 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加