2017年12月11日

オンラインでEdCampができる!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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カバー写真背景はウクライナで行われたEdCamp。
撮影:Nickispeaki


冒険家の皆さん、今日も天井から落ちてくるタランチュラを払い落としていますか。

さて、Twitterで日本語学校の先生と学会との断絶について触れたところ、いろいろな意見が出ました。日本語学校の先生にとっては「業績にならない」「忙しい」というような理由が多く挙げられていました。




ということは、逆に言うと日本語学校の先生方からは学会は「その負担に見合うだけのメリットがない」というイメージを持たれているようです。たとえば、忙しい仕事を効率化するためのノウハウだったら、どれだけ忙しくても時間を無理やり作って知ろうとしますよね。そして、日本語学校の先生にとっては、その知識が世界の半分の人にすでに共有されていることでもいいんです。ところが、そういうことを学会で発表したら「それはすでにこれだけ大量の先行研究があるのでは?」という指摘は覚悟しなければならないでしょうし、そもそも査読とか事前審査を通りません。

それで、もっと現場よりのイベントとして、最近は「セミナー」とか「勉強会」もいろいろ行われているようです。僕の知っている範囲でも、サタラボの小山暁子(@AgJ0qGn7DalOvfG)さん、「日本語教師のための実践勉強会」のnaonao(@naonaonihonngo )さん、自己発見&セルフブランディングの由利(@TomomiYuri_)さん、ICTに特化しているりゅん丸(@yuko_ryunryun)さん、akky(@bluebamboo15)さんなどが自主的に行っているようです。どれもアカデミックなものは目指していないで、現場ですぐに役に立つことをトピックにしているように見受けられます。(もちろん学術的な議論の価値を否定するわけではありませんが、現場の先生には違う形のものが必要とされているというだけです)

こうした方向をさらに推し進めたものとして、EdCampという形式の教育関係者の勉強会があります。EdCampは基本的に「こうしたらうまくいった」という成功体験の共有ではなく、「こういうことで困っているんだけど、何かいい方法ない?」というトピックが中心の話し合いです。ですので、1時間の各セッションで「セッションリーダーは冒頭にプレゼンをしてもいいが10分以内」などと決められていることも多いです。

詳しい方法などは「むらログ: EdCampTokyoに参加してきました!」にも書いてありますが、僕は「教育関係者をソーシャルメディアの世界に引き込むには?」というトピックでッションを立てて、色々アイデアをもらったことがあります。ブダペストで運営側として参加したEdCampでは以下のようなトピックのセッションが立てられました。

・継承語について
・日本語力の差が大きいクラスについて
・中東欧のみなさんがAJE(欧州日本語教師会)に期待することは何ですか
・優しい先生と厳しい先生
・教師と学生の関わり方(立場、役割、距離感など)
・政府・機関等の言語教育の重要性に対する理解(仮)
・後から生徒自身が確認と復習が出来る小テストを作るにはどうしたらいいのか。
・ポートフォリオ

学会で行われる発表やパネルディスカッションよりも、かなり現場よりのトピックが並んでいるのがご理解いただけると思います。

また、EdCampにはもう一つ大きな特徴があります。「Rule of Two Feet」とか「オープンドアポリシー」とか言われている決まりがあって、「自分には相手に提供できるものも相手から得られるものもない」などと思ったらセッション中に自由に出入りしていいということになっています。この点については後で触れます。

ところが、EdCampを実施するにはいくつかの障害があります。1つはこういう形式の勉強会があまり知られていないこと。先日ツイッターで行ったアンケートでは、半数以上の人が「聞いたこともない」ということで、実際に参加したことのある人は1割もなかったのです。



もう一つの障害は、EdCampは講師謝金などが必要ないので安くできるとは言っても、会場代とかはかかりますし、会場をどこにするかとか、会場利用の手続きとかの手間もかかるということです。

それで、オンラインでできないかなーと、いつも思っていました。オンラインなら会場を予約したりする手間もありませんし、参加者がどこにいても(時差で深夜とかでなければ)参加できるからです。ただ、Zoomにしてもハングアウトにしても、一長一短でどうも「これだ!」というアイデアがありませんでした。

Zoomだと60人まで入れるとか、アカウントが要らないとか数々のメリットはあるものの、上に書いた「Rule of Two Feet」ができません。参加者が自分の意志でブレイクアウトの間を移動できないので、参加者が行きたい部屋を申請してホストか副ホストが一人ひとりを移動させるしかありません。規模が多い場合は実質的に無理です。

Googleハングアウトだと、出入りは参加者の意思で自由にできますが、Zoomでいうブレイクアウト機能がないので前もって一つ一つ部屋を作っておかなければなりませんし、無料版なら全部で10人しか入れないので一般的な規模のEdCampには使えません。また、Zoomと違ってログインが必要なので個人情報をGoogleなどのIT企業に提供したくない人は参加できません。

ところが、先日、同業者の友人とZoom飲み会をやっているときに、マニラにいる人から面白いアイデアを聞いたのです。それは、Zoomで全員を副ホストにしてしまえば参加者を移動させる権限を持てるので、自分自身を移動させて好きな部屋に行けるという方法です。

これって、まさにオンラインEdCampが必要としている「Rule of Two Feet」の機能じゃないですか!

それで、僕が職場で毎週火曜日に開いているオンライン日本語教師研修のZoomの話し合いで、今週は正規の内容が終わったあとに実験参加希望者に協力してもらったのです。全員を副ホストにして移動してもらったところ、結果は、ウィンドウズでもマックOSでも、自由に各ブレイクアウトの間を移動できることが分かりました。iPadの人はブレイクアウトをコントロールするメニューが表示されず、移動できませんでしたが、みなさんウィンドウズかマックはお持ちだということで、来週からはパソコンからログインして自由に移動してみたいということでした。Android端末から参加している人はいなかったので、現状では動作確認できていません。

ということで、オンラインEdCampの実現に向けて、大きなブレイクスルーがあったように感じています。

ただ、皆さんお気づきのように、この方法には大きな問題があります。それは副ホストの権限を全員に与えてしまうと、悪意のある人間が混じっていた場合、EdCampをメチャクチャにできるという点です。自分だけでなく全員を移動させる権限を持っているので、話している人間を見つけては別の部屋に移動させてしまうとか、やってみたら楽しそうですよね。じゃなくて、現場は大混乱ですよね。

ですので、最低限でもカメラをオフにして顔を隠している人には副ホストの権限を与えないとか、もっときちんとやりたいときは事前に職場の公式メールで申し込んだ人だけが参加できるとか、あるいは実名制のSNS(Facebookなど)で募集するとかしたほうが良さそうです。

とは言っても、匿名でも参加できるEdCampがオンラインでは不可能というわけではありません。先程申し上げましたように、Googleハングアウトでも「1部屋10人まで」「Googleのアカウントは必須」「事前に会場になるハングアウトを手動でいくつか作っておく」という条件を満たしておけば、開催できないわけではないのです。この場合は主催者の権限を一般の参加者に渡してしまうわけではないので、Zoomのところでご紹介したテロは起きません。

ということで、学会のようにアカデミックな話を聞くのではなく、現場で皆さん自身が困っている問題を解決するためのEdCampがオンラインで実施するのはそれほど難しくなさそうです。参加してみたい人がいらっしゃったらお気軽にコメントをお願いいたします。

そして冒険は続く。

【参考資料】
むらログ: EdCampTokyoに参加してきました!
http://mongolia.seesaa.net/article/448875563.html

グループディスカッション - 中東欧日本語教育研修会2017
https://sites.google.com/site/chinikike2017/groupdiscussion

Edcamp TOKYO
http://www.edcamptokyo.com/#edcamp

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posted by 村上吉文 at 04:36 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加