2017年12月03日

日本語教師チャット「オンラインで教える」

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


画像 (1).png

冒険家の皆さん、今日も疾走する列車の屋根の上で悪漢と戦っていますか。

さて、もう一週間前になりますが、第5回目の「#日本語教師チャット」を行いました。今回のテーマは「オンラインで教える」です。少なくとも35人の方から300に近い投稿をしていただくことができました。

やってみての最初の感想は、意外と沢山の人がオンラインで教えているんだなあ、ということでした。実は、事前に2回アンケートをしたのですが、最初のアンケートでは19人中8人しか経験がないようでしたし


2回めのアンケートでは「オンラインで教えたことのある人」限定でしたのですが、15人しか回答がなかったのです。



このアンケートでは15人の回答者中13人しか来られない時間帯だったのですが、実際に蓋を開けてみると、17人の経験者の方に来ていただくことができました。最初のアンケートでは8人しか経験者がいなかったことを考えると、倍以上の人が参加してくれたことになります。経験者の方は以下のとおりです。

https://twitter.com/KumiCooming (メッセンジャーで)
https://twitter.com/jun_arisue (日本語ではなく日本語教師養成で)
https://twitter.com/kuronakakko (個人レッスン)
https://twitter.com/jptwabe (個人から3人まで)
https://twitter.com/NihongoLC (Facebookのコミュニティで)
https://twitter.com/LearnJP_Cairns (スカイプ、メッセンジャー)
https://twitter.com/tomo_jpnstchr (スカイプで個人)
https://twitter.com/saitamalily (メールで教師養成)
https://twitter.com/hirokonihongo (個人)
https://twitter.com/salon_ena (対面とスカイプの組み合わせなど。オンライン大学も)
https://twitter.com/ahiru5963 (対面できない時の代替手段として)
https://twitter.com/DirtyTeacher (個人でメッセンジャーなど)
https://twitter.com/yuki7979seoul (オンライン大学)
https://twitter.com/yuko_ryunryun (震災直後に)
https://twitter.com/hosina344 (オンラインの日本語学校)
https://twitter.com/spirallovek (韓国で。個人もグループも)
https://twitter.com/skypeyamane (6年目。個人もグループも)

この「教えた経験があるか。あったら具体的にどんな?」というのが最初の質問だったのですが、次に未経験者に「オンラインで教えることに興味があるか」と聞いてみました。まあ、興味がない人はこのチャットに参加しなかっただろうと思いますから当然ですが、みなさんが「興味がある」ということでした。

3つめの質問として経験者に「一番大変だったのは?」と聞いてみたのですが、一番多かったのは接続状況に関する点で、ちょっと意外でした。僕もカイロにいた頃は確かに色々大変で、仕事で使うときは念のために回線を3つ用意していたりもしていたんですが、ハンガリーやカナダではそういうトラブルはほとんどありません。

その他に、ターンテイキングと言いますが、複数の人が話す順番の面で面倒なことがあることも多くの人から挙げられました。オンラインだとツールによっては少し時差(ここでは発話が相手の耳に届くまでにかかる時間のこと)がある場合もあるので、そういうときは複数の人が同時に話し始めてしまうようなことがよくあるのです。また、対面なら話す前の息の吸い方などが「これから発言します」というマーカーになったりもするのですが、そういう普段は気にもとめないような微妙なコミュニケーションがマイク越しでは伝わらなかったりすることもあります。

また、これはオンラインの本質的な問題ではないかもしれませんが、オンライン大学などだと高齢者も参加してくるので、パソコンの操作の案内が大変だという声もいくつか上がっていました。

技術的な問題としてはハウンリングはよくある例のようです。相手の声がスピーカーを通してマイクに入ってしまい、それがまたスピーカーから出て循環してどんどん大きくなってしまう現象です。これはイヤホンを使うか、スピーカーの音量を下げるかすれば解決できます。自分がホストの場合は、ハウリングを起こしている参加者のマイクをミュートにすることによっても解決できます。

技術的な問題から離れると、ドタキャンや無断欠席も複数の方から挙げられました。教室の一斉授業なら深刻な問題ではありませんが、オンラインだと個人授業の方が多いので、収入減に直結してしまうわけですね。もちろん、事前にカード番号を入れてもらっているのできっちり引かせてもらうという人もいらっしゃいました。

最後の質問では「可能性と課題」を聞いたんですが、可能性としては以下の様なものが挙げられました。
・地理的な制限がなくなる
・時間の制限がなくなる
・専門性の高い学習が可能になる
・異なる背景を持つ学生同士の協働
・生徒が先生を選べるようになる
・趣味関心ベースで学習環境を作りやすくなる
・施設費や交通費がかからない
・真夜中でも働ける
・心身に余裕ができる
・参加のハードルが低い
・外出が難しい人も参加できる

一方で「課題」としては以下のようなことが挙げられました。
・接続の問題
・対面の授業をそのままオンラインにしてもだめ
・価格競争に引きずり込まれやすい
・差別化の必要性
・組織化が難しくなる可能性がある
・学習者の目標や、学習スタイルを理解することが対面より難しい
・オンラインの先生はレベルが低いという思い込み
・学習者に関する情報量が少なくなってしまう
・真夜中まで働かされる
・オンライン教育をもっと普及させていくこと
・講師の質の問題
・時差
・離脱の抵抗が低い

さて、僕がこれらの中で注目したいのは「専門性の高い学習が可能になる」という可能性と、その裏側である「差別化が必要になる」「価格競争に引きずりこまれる」という課題です。実際、無料のアプリやE-ラーニングサイトが乱立している中、学習者にとって人間の教員に教えてもらうというのはかなりの贅沢な選択であるわけです。つまりアプリなどと同じような一般的な日本語を教えているだけでは、学習者のITリテラシーが向上するに連れ、選ばれる可能性は減っていくでしょう。それが「差別化が必要」「価格競争」という課題です。

一方で、オンラインで教える場合、非常に専門性の高い日本語学習でも、地球の裏側にいる学習者とつながることが可能です。たとえば「ソーシャルメディアで使う日本語をモンゴル語を媒介語として日本語の母語話者が教える」というようなコースを開設する場合、もしかしたらカナダに住んでいる僕が世界で一番優れた教師かもしれません。しかし、その学習者がウランバートルにいようとゴビ砂漠にいようとかまわないわけです。


ただ、現状ではそういう多様なバックグラウンドを持つ教師が、まだ自分の強みを活かしたオンラインコースをアピールできているとは思えません。ですので、短期的には日本語教育の多様性をもっと促進し、長期的にはそういう多様な教員を学習者にアピールできるプラットフォーム(もしくはデータベース)を構築していく必要があるのではないかと思います。

そして冒険は続く。

【参考資料】
#日本語教師チャット05「オンラインで教える」 (with images, tweets) ・ Yoshi_Murakami ・ Storify
https://storify.com/Yoshi_Murakami/jt-chat05

「#日本語教師チャット」公式サイト
https://sites.google.com/view/jt-chat/

#日本語教師チャット - Twitter検索
https://twitter.com/search?f=tweets&vertical=default&q=%23%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E6%95%99%E5%B8%AB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88


【コメントはソーシャル・メディア上の記事別ページヘどうぞ!】
https://www.facebook.com/MurakamiTheAdventurer/posts/1982467645374377
https://twitter.com/Midogonpapa/status/937119009735970816
https://plus.google.com/+YoshifumiMURAKAMI/posts/8nGsrnYjwN9
posted by 村上吉文 at 09:23 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加