2017年11月10日

第二言語習得におけるハッシュタグの3つの使い方

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も狼煙を上げて遠いオアシスに緊急事態を知らせてしていますか?

さて、数日前にツイッターやなどでシェアしたのでもうすでにご覧になった方も多いかと思いますが、Osman Solmaz氏の「ツイッターにおける自律的な語学学習:ハッシュタグを通した目標言語ユーザーとのつながり」という論文を読みました。冒険家メソッドに深く関わる研究なので、今日はこの論文を簡単にご紹介したいと思います。

この論文は、著者のオスマン氏が自らスペイン語の学習のためにツイッターを使い、それを「自己エスノグラフィー」という形式で分析したものです。この形式についてはいろいろ議論があり、それについても文中に触れられています。

まあ、その辺の学問的な是非については僕はあまり興味はないのですが、おもしろいと思ったのは、ハッシュタグの使い方を3つに分けていることです。それがこの論文のメインテーマでもあります。

オスマン氏は自分のハッシュタグの使い方を振り返って、以下の3つに分類しています。

ライブイベント
1つはライブイベントに参加することです。
オスマン氏はマドリッド対バルセロナのサッカーの対戦の例を出していますが、別にスポーツに限定する必要はありません。日本語のツイッターを観ていると、特定の番組名をハッシュタグにして、その放送時間中に投稿する人たちが非常に盛り上がっているのをよく見かけます。最近は「#おんな城主直虎」のハッシュタグが盛り上がっているのをよく見かけます。そういえばオスマン氏もトルコの「千一夜物語」がスペイン語で放送されているときにそのハッシュタグで投稿している例も書いていました。その他、テロ事件やマレーシア航空失踪事件などに関するハッシュタグもオスマン氏はこの「ライブイベント」に分類しています。

オスマン氏はこれらの例を挙げた上で、「語学学習のために、もし学習者が適切なハッシュタグを使うリテラシーを持っていてそれを実践できれば、比較的簡単に真正な談話コミュニティーにアクセスすることができることを意味している」としています。

祝福と喪失
2つ目は「祝福と喪失」です。
なんでこんな正反対のものを同じカテゴリーにするのかはよく分かりませんが、祝福の例としてあげられているのは、「#FelizJueves」(「よい木曜日を」)や、他の曜日に関するものです。今これを書いているのがたまたま木曜日なのでこのハッシュタグを検索してみると、たしかにかなり大量の投稿があり、1分前に投稿されたものだけでも19個もありました。日本語だと、なぜか「#木曜日はギョーザの日」というハッシュタグ付きの投稿がたくさん見つかります。数で言えば「#FelizJueves」よりも全然少ないのですが、皆さん写真付きで投稿しているので、連帯感はあるかもしれませんね。

もう一つの「喪失」に関する例としては、オスマン氏はマドリッドのテロ事件の10周忌のハッシュタグや、ノーベル賞作家の亡くなった日のハッシュタグを上げています。ただ、この辺は自分もその作家のファンだった場合などはもちろん問題ないとは思いますが、自分の語学学習を目的として気軽に使うのはどうかと思うので、あまり計画的に使うことはできないかもしれませんね。

ミームとユーモア
3つ目は、インターネット・ミームとユーモアです。
ミームというのは「文化の中で人から人へと拡がっていくアイデア・行動・スタイル・慣習」のことで、簡単に言えばネット上の突発的な流行のようなものです。最近で言えばテレビドラマの「逃げるは恥だが役に立つ」の主題歌に合わせていろいろな人が踊ったりしたのも記憶に新しいですね。もし星野源さんのオリジナルの公式ビデオだけが大量にシェアされてもミームとは言われないでしょうが、みんなが自分の踊りを録画してシェアしたのでミームと言われるわけですね。

僕の世代には「吉野家コピペ」とか懐かしいですけど、若い人は知らないでしょうね。

そして、こういうのに参加するのも、お互いに顔も知らない関係ではあるものの、非常に深い連帯感を生み出してくれるのです。

ハッシュタグの見つけ方
オスマン氏の挙げる語学学習におけるツイッターハッシュタグの使い方は以上の3つですが、それではどうやってそれを見つければいいのでしょう。オスマン氏の論文にもありますが、僕もおすすめしているのがツイッターの「トレンディング」を活用することです。これは地域ごとに全く違う内容が表示されるので、これを自分の学習言語の話されている地域に変更すると、そのハッシュタグからその言語のユーザーのコミュニティに入ることができます。

たとえば昨日は「#MakeMeAngryIn5Words」(5語で俺を怒らせてみろ)というハッシュタグがトレンドになっていて、「Hogwarts is not real!」と書いている人に「それ4語だよね」とツイートしたら、そのわずか35秒後に返信が来ました。

ちなみにホグワーツというのはハリーポッターに出てくる魔法学校の名前なんですが、そのツイートの投稿者のプロフィールページにはハリーポッター本人ではないものの、映画を見た人なら必ず分かる登場人物がカバー写真になっていて、親近感がわきました。その投稿者は普段はペルシア語で投稿していて、こうしたハッシュタグがなければ、僕と彼が交流する可能性などまったくなかったのではないかと思います。

ということで、今日はオスマン氏の論文をもとに、ツイッターのハッシュタグを使ったソーシャル・メディア上の語学学習について紹介してみました。ツイッターはFacebookなどよりも目標言語の話者とつながるのが本当に簡単にできる世界です。同時に、語学学習専用のアカウントを開いたりするのも簡単です。ぜひ、語学を学んでいる人も、教えている人も、この力を充分に利用してください。

そして冒険は続く。

【参考資料】

Solmaz, O. (2017). Autonomous language learning on Twitter: Performing affiliation with target language users through #hashtags. Journal of Language and Linguistic Studies, 13(2), 204-220.
http://jlls.org/index.php/jlls/article/viewFile/644/311

むらログ: チャットを見なおしてみよう!
http://mongolia.seesaa.net/article/370622648.html
「#あまちゃん」というハッシュタグで放送時間中に投稿するアイデアに触れています。

吉野家コピペ(初期のインターネット・ミームの1つ)
http://www.geocities.co.jp/Playtown-King/2754/2ch/buki-7.htm

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posted by 村上吉文 at 23:02 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加