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2017年09月07日

独習者の3つのタイプ 言語オタク型

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も羊皮紙に隠された暗号を解読していますか?

さて、先日、僕の住んでいるエドモントンと同じアルバータ州にあるカルガリーという町で行われた、カナダ日本語教育振興会(CAJLE)の大会に参加して、独習者の3つのタイプについて話してきました。教師研修の部分も残しつつ、かなり学術会議的な色彩の濃いイベントで、日本から来た参加者の一人は「この学会は」と言っていたので、やはりそういう認識なのでしょう。カルガリーはロッキー山脈に近く、天気によっては夏でも雪をかぶる尾根を見ることができます。

本題の独習者のタイプですが、僕がこういうことを考えるようになったのは、この「むらログ」をお読みの方はすでにご存じの通り、僕がいろいろな国の日本語独習者にインタビューしてきたからなんです。最初は全て新鮮だったんですが、何度もインタビューを繰り返してくると、「あれ?この話、あの国のあの人と同じだよな」ということが何度もあり、回をこなしてくるに従い、3つぐらいのパターンが見えてきました。

ということで、今回はこのインタビューのまとめをご紹介したいと思います。

最初の3回のインタビューは特に質問もあらかじめ決めずに聞きたいことを思いつく順に聞いていたのですが、「これはきちんとシリーズ化して聞きたいな」と思ったときから、あらかじめ定型的な質問を決めておいて、それにそってインタビューも進めるようにしました。

その質問は以下のとおりです。

1.〜さんってどんな人?
2.日本語を勉強しようと思ったきっかけは?
3.日本語の勉強を初めて最初にしたことは?
4.冒険の仲間は?
5.冒険の地図は?
6.そんな装備で大丈夫か?
7.モンスターは?
8.外国語教師はもう必要ない?
9.情熱は?
10.他の冒険家にアドバイスをお願いします。

インタビューしたのは25名ですが、このブログでまとめを文字化してご紹介したのは、そのうち14名です。14人の内訳は以下の通り。

複合型:8人
アニメ型:4名
ソーシャル型:2名
言語オタク型:0名

地理的な文は以下の通りで、圧倒的にヨーロッパに偏っていますが、これは必ずしもアジアや南北アメリカに独習者が少ないことを意味するわけではなく、僕が当時ヨーロッパに住んでいて、そちらの知り合いから紹介してもらう機会が多かったからでしょう。

14名の国別分布
オランダ:2
ハンガリー:2
ルーマニア:2
スロバキア:2
カタルニア:1
スイス:1
ロシア:1
カザフ:1
アメリカ:1

では、3つのタイプをそれぞれ簡単にご紹介します。

言語オタク型
・言語に対する関心が高い
・ポリグロット
・教科書中心の伝統的な学習方法

ソーシャル型
・日本語話者との交流を通じて日本語を習得
・教科書を使わない
・目標重視
・社交的

アニメ型
・CBLL(Content-Based Language Learning)
・アニメの視聴を通して日本語を習得
・教科書を使わない
・過程重視
・内向的・ヒッキー
・聴覚優位者
・学習認識なし(自然な習得)
・10代前半からアニメ視聴(臨界期仮説の関連)

もちろん、全員がきちんとそれぞれのパターンにはまるわけではなく、どの要素も少しずつ持っている人もいれば、2つの要素だけを持っている人もいます。上に「複合型」としたのがそうです。しかし、典型的な例もあるので、今日とこの後2回で、この3つのタイプについて書いてみたいと思います。

【言語オタク型】
このブログでは「ポリグロット型」と前に書いたことがあるかもしれませんが、このタイプはもっとも伝統的な学習方法に慣れている人たちです。ですから、日本語教師にとってはあまり驚きはありません。独習とは言え、基本的に教科書を買い、順番通りに勉強していきます。英語の母語話者でない場合はすでに英語は普通に使えて、英語で日本語の勉強をしていたりします。日本人やサブカルチャーなどよりも日本語という「言語」に関心の中心があり、語学の勉強を苦痛に感じません。

でも実は、このタイプの人って、上の数字を見れば分かる通り、「むらログ」では紹介していないんですよね。別に意図的に避けてきたわけではないのですが、インタビューの中にはかなりタイトなスケジュールの中でとりあえずインタビューだけ録画したものもあり、そういうのは「むらログ」では発言をまとめて文字化した記事を書いていないんです。ただ、後から振り返ると、こうした言語オタク型の独習者は日本語教師にとってはそれほど驚くべき存在ではないので、まとめようというモティベーションが僕の中で低かったのかもしれません。ただ、こうしたインタビューも、動画の公開を了承してくれたものはすべて参考資料に載せてある再生リストには載せていて、ブラジルのViniさんなどがそれに当たります。

このあと、ソーシャル型とアニメ型についても書きたいのですが、かなり長くなりそうなので、とりあえず今日はここまでにします。

そして冒険は続く。

【参考資料】
冒険家インタビュー(再生リスト)
https://www.youtube.com/watch?v=pha9DhV35bk&list=PL8xNAgRaT_iSBuawM8nI5MJYsps0pCYwf

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posted by 村上吉文 at 23:53 | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加