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2017年03月19日

ハンガリーの冒険家、エメシュさんインタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も砂漠で陽炎の彼方から近づいてくる人影を単眼鏡で覗いていますか?

さて、今回も地元のハンガリー人の冒険家のご紹介です。ハンガリーはもう4人目になりますね。まだまとめていないのですが、5人目のインタビューも済んでいます。今回の冒険家はELTE大学のエメシェさん。同僚でもありELTEでも教えている小野さんから教えてもらいました。

今はELTE大学で日本語を専攻しているのでエメシェさんは独習者ではありませんが、入学前にかなり日本語学習が進んでいたということなので、今回はその段階での日本語学習についてお話を伺いました。

エメシェさんは最初から英語を使って教科書を探したということで、もともと語学学習の経験があり、いわゆる正統的な学習方法を独りでするポリグロット型の要素もありますが、インタビューの後半ではJ-Popなどにハマって「教科書よりもAnkiアプリの方が大切」と言っているあたり、コンテンツを中心に学ぶCBLL(Content-Based Language Learning)タイプ的な要素も見られますね。初めてアウトプットするまでに長期間(エメシェさんの場合は半年)かかっているという点も、CBLL型の学習者によく見られる事例のように認識しています。逆に、初期の段階から積極的に日本語でコミュニケーションしようとする「ソーシャル」タイプの要素はあまりないようですが、教科書の書評などでは積極的にソーシャル・メディアを利用しているようです。

面白いと思ったのは教師の役割についてです。エメシェさんは「中級や上級では教師が必要だ」と言っていますが、これは本当に人によって違っていて、例えば先日インタビューしたトルコのウルマクさん(ブログにはまだ書いていません)は正反対で、「中級以降はともかく、初級では先生が必要だ」と話していました。

こうしたインタビューを通して最近思うのは、「この学習者にはどんな学習方法が合っているのか」という問いには正解がありそうですが、「普遍的にどんな学習者にも効果的な学習方法は何か」という問いには正解などないということです。一斉授業はそういう学習方法が存在するという幻想を前提にしていて、もう限界を迎えつつあります。もちろん、学習者は多様ですから「自分に合っていなくてもみんなと一緒がいい」人も一定数は残るので、一斉授業に意味がないわけではありませんが。

このブログの前回の記事で「好きを貫け」について書きましたが、エメシェさんもまた、「情熱を見つけるのがいちばん大事だと思う」と言っていますね。

さて、以下にエメシェさんのインタビューのまとめを載せますが、あくまでも「まとめ」であり、音声に忠実な文字起こしではないので、研究などに使う方は冒頭の動画をご参照ください。

【エメシェさんってどんな人?】
ELTE大学の1年生。専門は日本語。入学前から日本語を勉強していた。一年間ぐらい。
住んでいるのはブダペストの近くのトゥルクバーリントンという町。

【日本語を勉強しようと思ったきっかけは?】
7歳の時から空手をやっていたけど、日本語には全然興味がなかった。
2年前の2月に東京の大学から空手をしている学生がブダペストに来て、私がガイドみたいになっちゃったけど、コミュニケーションが全然できなかった。
空手そのものではなく、空手を通して日本人に会ったことから日本語に興味を持った。

【日本語の勉強を始めて、最初にしたことは?】
どうやって一人で勉強すればいいか全然分からなくて、一人で勉強する方法を考えた。「げんき」という教科書を使った。世界中の日本語学習者のみんなが「それが一番いい」と言っていたので。そういう情報は英語で探した。Googleで日本語の教科書リストをさがして、YouTubeのReviewも参考にした。

【冒険の仲間は?】
はじめから6ヶ月たって、初めて日本語で話した。前と同じ大学から空手の日本人学生が来た。「えー、すごい!」とかずっと言われたけど、全然話せなかった。日本人は一週間だけだったのでハンガリー語を勉強してこなかった。
日本人で日本語を話す相手は、その空手の人以外にいなかった。
Facebookには日本人の友だちが10人ぐらいいたけど、私がそんなに話せなかったので、私からは「勉強しよう」とは言わなかった。日本語でメッセージとかもしなかった。英語でならちょっとは関係あった。

【冒険の地図は?】
「元気」の他に、漢字はJames Heisigの”Remembering the Kanji”を使った。私はすごく好き。去年の12月に漢字の勉強を始めて、今は二千字ぐらい覚えている。

【そんな装備で大丈夫か?】
Ankiは私にはいちばん大切なアプリ。教科書よりも大事。他の人が作ったデータをダウンロードしないで自分でカードを作っている。フレンド-フォーエバーという本を読んで単語を5000勉強した。ハンガリーではB2レベル(たぶんCEFR)になる。今のカードの数は2万ぐらい。毎日70枚勉強して、覚えた。一日2時間の練習になることもある。まだ分からないけどその半分ぐらいは覚えた。日本語のテレビのインタビューや番組とかの70%ぐらいは分かる。
Lang-8やDuolingoは使ってない。「よみかた」というアプリを大学で教わって使っている。ANKIはGoogleで検索して見つけた。

【学習スタイル】
私は多分耳で勉強するのが得意。でもANKIでは合成音声は使わない。1年間、日本語の音楽やドラマを聞いた。その遊びが勉強になることもある。音楽やドラマで触れるのは、一日2時間ぐらいになったかも。

【モンスターは?】
大学に入るまで日本語を勉強していて、困ったことは特にない。手書きの「き」や「さ」もつながって書いていたけど、大学に入るまで知らなかった。

【外国語教師はもう必要ないと思いますか?】
大学に入ってからも、基本的なレベルでは先生は必要ないけど、中級や上級では必要だと思う。先生には一週間に30分ぐらいの1対1の会話をしてもらえればいいけど、大学ではもちろん無理。スカイプや会話で空手の人と話そうと思ったけど、なぜか英語で返ってくるので練習にならない。英語のできない人とならできるかもしれない。
ハンガリーに住んでいる日本語の先生はハンガリー人の間違いなどをよく知っているので、そういう先生は必要。

【情熱は?】
2015年の9月に勉強を初めて2016年の2月に大学生が来ることが分かっていたので、やめられなかった。それからJ-Popが好きになって、KAT−TUNの歌詞を分かりたいと思った。ずっと同じ曲を聞いていたらだんだん歌詞が分かるようになってきた。直接歌詞は勉強しなかったけど、うれしかった。

【他の冒険家にアドバイスをお願いします】
情熱が一番大事。情熱がなければ難しいときに続ける気持ちがなくなる。ポップグループじゃなくて、小説とか、何でもいいけど、情熱を見つけるのがいちばん大事だと思う。難しいときには「あー、それをやりたいなあ」と思ったら続けられる。


そして冒険は続く。

【参考資料】
冒険家インタビュー - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PL8xNAgRaT_iSBuawM8nI5MJYsps0pCYwf

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posted by 村上吉文 at 23:25 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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