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2017年02月05日

A.J. Juliani 著 ”Inquiry and Innovation in the Classroom: Using 20% Time, Genius Hour, and PBL to Drive Student Success”

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス



冒険家の皆さん、今日もりんごの樽に隠れて海賊の秘密の計画を盗み聞きしていますか?

さて、この本はもうずいぶん前に読んでいてセミナーでは熱く紹介したりもしていたのです​​が、ブログの方ではなかなか書く時間が取れなかったので、内容を忘れてしまう前に備忘録としてもここでご紹介しておきたいと思います。

内容はサブタイトルにある「Genius Hour」が中心で、おそらく今ならこの「Genius Hour」がこの本のメインタイトルになっていたことでしょう。たとえばツイッターの#geniushourというハッシュタグはこの24時間以内に46個の投稿があります。

まさに大人気なこの「Genius Hour」ですが、これは学習時間の20%を自律学習に当てようという考えです。でも、単なる自律学習ではなく、何らかの成果ぶつが求められますので、夏休みの自由研究を普通の学期の授業の間にするようなイメージかもしれません。

以下に内容をご紹介したいのですが、このブログでは今まで洋書の書評では僕が読んでいる時にハイライトしたところを引用しながら感想などを書いてきました。ただ、それだと断片的にしか伝わらないし、最近、キンドル・クラウドリーダー(https://read.amazon.co.jp/)で読み返したらパソコンで振り返るのにも便利なことに気づいたので、順に紹介してみたいと思います。専用端末だと書評を書くような時に、頻繁に移動するのがちょっと面倒くさいんですよね。その点、クラウドリーダーではパラパラっとめくるような感じでページ間を気楽に移動できます。

では、以下に順を追って中身をご紹介します。

第1章「現実世界のためのリアルな学級」

成績優秀だったのにも関わらず就職できなかった若者が成績などを同封して応募するのを諦め、ネットで自分の関心のある人をフォローして学びながらそのポートフォリオを公開し、時にはそうして学んだことを相手に提供したりしてみたのだそうです。そして市場で何が必要とされているかを知り、動画編集、ウェブデザイン、オンラインマーケティングなどのスキルを身につけ、自分の体験を本に書き、TEDxトーク(https://www.youtube.com/watch?v=uMP8h7fPpoY)にも招かれるようになったとか。この本では明記されていませんが、Wikipediaでは起業家という側面もあるようですね。しかし、彼のエピソードは話の枕で、そこから著者ジュリアーニは今の教育制度の問題を次々に指摘していきます。

第2章「20%タイムはいかに世界を変えたか」

第2章では、マリア・モンテッソーリの教育が詳しく紹介されます。僕も知らなかったのですが、Googleの創設者セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは二人ともモンテッソーリの出身で、そこでの経験が自分たちの成功に寄与していると言っているそうです。

Googleの働き方の中でも「20%タイム」というのは有名で、勤務時間の20%は自分の好きなプロジェクトのために使ってもいいというものです。そして、教育の世界に入ってくる前に、この考えはジーニアスアワー(天才時間)と呼ばれるようなりました。ダニエル・ピンクのブログで有名になったということですが、この段階でもまだビジネス用語だったようです。そして、教育の世界に普及させた大きな力の一つが本書だったわけです。僕はまだ読んでいないのですが、You Matterキャンペーンで有名なAngela Maiersも大きく貢献していると本書でも説明されています。

さて、ジーニアスアワーを始めた時の印象について、著者ジュリアーニは以下のように書いています。
Location 569
When I gave my students 20% Time to explore their passions and learn what they were interested in, it opened the door for valuable learning experiences and conversations I never could have expected.
「私が生徒たちに自分自身の情熱を探求し、興味のあることを学ぶことに20%の時間を与えたら、価値のある学びの経験とそれまで期待もしていなかった会話へのドアが開いた」

具体的な活動の例として、著者は以下をあげています。
1. Brainstorm and come up with a way to explore their passions, while creating a final product.
2. Research and comb through a litany of resources on their topic.
3. Write reflections and informational pieces on what they have learned.
4. Share and collaborate with fellow students on their ideas.
5. Reach out to experts around the world about their idea and learn from the best.
6. Create a product that demonstrates a true understanding of their work.
7. Reflect on their work and that of their classmates.
8. Share their ideas and products with the world.

前に書いたようにイメージとしては夏休みの自由研究を授業時間中にやるような感じですが、自分一人でなく友達と共同でやってもいいとか、専門家の助言を受けてもいいとか、ネットで成果物を共有したりとか、違うところももちろんたくさんあります。

第3章「歴史は繰り返す・・・いい意味で」

第3章はアインシュタインの有名な引用から始まります。
「誰もが天才だ。しかし、もし魚を木登りの能力で判断したら、魚は一生自分をバカだと思って過ごすだろう」
これって、学習者の多様性を重んじる教育者からはよく賛同の意味で引用されることが多く、僕も自律学習関連のセミナーで引用したこともあります。(ただ、、僕自身はアインシュタインが本当にこれを言ったという信頼できるソースを見つけられなかったので、「アインシュタインがそう言ったと広く信じられている」としていますが)
しかし、同じように学習者の多様性を重んじているはずのジュリアーニは、何とこれを否定するんですよ!・・・いい意味で。

Location 642
Agreeing with this quote is giving in to the notion that kids have limitations they can’t overcome. And that’s not right. Instead, my motto I spent the past few years focusing on is “teaching fish how to climb trees.” Crazy? I don’t think so.
この(アインシュタインの魚の例の)引用に同意することは、子どもたちには克服できない限界があることを認めることだ。そしてそれは間違っている。そうではなく、私のこの数年のモットーは「魚に木登りを教える」ことだ。バカげてるって?そうは思わないね。

魚もその気になれば木に登れるとして、実際に木を登るハゼのような魚(Mudskipper)を紹介し、ジュリアーニは以下のように言います。
Location 648
I’m sure all its fish friends and teachers probably told him it was “impossible” or that he’d be “stupid” to try it. But he went with it anyway, and eventually joined the ranks of flying and jumping fish as geniuses.
(もしハゼに学校があったら)そのハゼの友達や先生は「そんなことは不可能だ」とか「木に登ろうとするなんてバカだ」などと言ったことだろう。でも彼は気にせず、ついには空を飛ぶ天才の魚としての名声を得たのだ。

こうして自らの限界を超えた人たちの例として、第3章にはエジソンやウォズニアックのエピソードなども紹介されています。

第4章「クラスのための20%タイムの設計」

第4章では、ジーニアスアワーへの反応として3つのパターンがあるとして、それぞれに実際に導入するための方法を紹介しています。その3つの反応とは以下のとおりです。
1.「それはすごい!」という教師たち
2.「面白そうだけど、ちょっとね・・・」という教師たち
3.「バカげている」という教師たち
最初の「それはすごい!」のグループ向けには、「最終成果物に点数をつけてはいけない」などの実践的なアドバイスが書かれています。
次の「面白そうだけど、ちょっとね」のグループには、「神話のウソを暴く」としてよくある誤解に対して説明をしていきます。その中で、「まずは多読から挑戦してみよう」など、一般にはジーニアスアワーとは認識されていないものの、自律性のある授業の例などが紹介されたりもしています。
そして最後の「バカげている」というグループ向けには、今の教育界における問題点を指摘し、「これが見えないのか」と迫ります。

第5章「初等教育におけるジーニアスアワー」

この章では沿革なども書かれていますが、子どもたちが自分たちのトピックを決めるための具体的なステップも書いてあるのでご紹介します。
Location 1125
My favorite way to introduce Genius Hour is for students to write a list of what they’d rather be doing right now than being in school.
Then I ask them to write a list of what they are interested about in this world.
I then help them develop a topic based on their lists. Perhaps, if they are all about video games, I might encourage them to download Scratch and make their own video game. Or, if they love to watch YouTube videos, then they can create their own film on something they care passionately about.
ジーニアスアワーを説明するときの私の好きな方法は、生徒たちにいま授業をしていなかったら何をするかのリストを書かせることだ。(中略)それから、この世界について興味のあることのリストを書いてもらう。(中略)それから私はそのリストに基づいてトピックを作るのを支援する。たとえばテレビゲームが好きなら、スクラッチをダウンロードして自分でゲームを作るように励ます。YouTube動画を見るのが好きなら、彼らが情熱を持っていることについて動画を作ることもできる。

プロジェクトの実施中は子どもたちは以下のようなことが求められます。
1.同級生に自分のプロジェクトを発表する。
2.それから何週かはブログに文章、音声、動画などの好きな形で自分が何をしているかを共有する。他の生徒はコメントしてもいい。
3.平行して教師との一対一のミーティングや、グループミーティングを行う。
4.発表してもらってもいい。発表は公式でも非公式でもいい。(たぶん、自律学習の授業における中間発表会のようなものかもしれません)
教師はこの期間、子どもたちが何文字ぐらい読んだり書いたりしているかなどのデータを集めます。

上の方で夏休みの自由研究に似ていると書きましたが、成果物が模造紙である必要はなく、ジュリアーニによると以下の3つのうちのどれかだそうです。
1.発表
2.実際に手で触れることのできる作品
3.文書(レポート?)

また、第5章にはこうした新しい考え方を知らない保護者向けに説明するための手紙の例文も資料付きで紹介されています。そのままコピーして保護者に送れば、「こんなの授業じゃない!」とかいう頭の古いモンペに怒鳴りこまれなくて済むわけですね。(最近、日本の優秀なはずの教師たちがあまりにも古臭い授業しかできない理由の一つに、こうした頭の古いモンペの存在があるんじゃないかと思い始めています)

第6章 「中等教育の生徒たちのための20%タイム」

ここではオーストラリアのカトリック大学の教授が考案した探求学習の4つのステップが紹介されています。

Location 1283
First, students and teachers must pose “Real Questions,” that is the types of questions that lead to more questions and deeper understanding.
最初に生徒と教師はもっと他の質問や深い理解を生むための「本当の質問」を投げかけなければならない。
Location 1284
After starting the process with a validated question, the second step is to “Find Resources.”
確認された質問のプロセスを始めたあとの、次のステップはリソースを探すことだ。
Location 1286
The third step is “Interpreting the Information,” and students must connect the research and resources to their initial question.
3つめのステップは情報を解釈することで、生徒たちは調査とリソースを最初の質問に結び付けなくてはならない。
Location 1287
The fourth and final step is to “Report Findings” to a specific audience.
4番目でかつ最後のステップは、特定の聞き手に、見つけたことを報告することだ。

この章にはジュリアーニ氏のクラスで手話の歌を披露した女の子のエピソードが載っていますが、手話を身に着けたかった理由は、耳の聞こえない従兄弟とコミュニケーションしたかったからだそうです。

この章でも、プロジェクトを始める前、実行中、終了後の各フェーズで詳しい方法や留意点などが紹介されています。

第7章

第7章は「教師のための20%タイム」となっていて、教師自身がこうして自律的に成長する方法についても書かれています。最近日本でもようやく注目され始めたEdCampなどについても詳しく紹介されています。教師にとってのPLN(Personal Learning Network)の作り方なども詳しいです。

第8章「機関、学校、学級での準備」

第8章では、僕も知らなかったのですが、「サドベリースクール」というかなり過激な学校などが紹介されていて衝撃的でした。カリキュラムも学年もテストもなく、生徒会が全ての校則と違反者に対する罰則なども決めるそうです。カリキュラムがないので一日中バスケットをしている子どもや、ピアノや料理や絵の練習などしかしない子どももいるとか。しかし、大学進学率はおどろくほど高く、全米平均よりずっと高いのだそうです(このデータは本書ではなく、どこか別のところで見ました)。全世界にこの運動は広がっていて、検索してみたら東京にもありました。

第9章

第9章は「個別化した学習とコモンコア」に割かれていて、ここでの主張は個別化した学習はアメリカの教育スタンダードに沿っているということです。延々とコモンコアからの引用があるので、米国にお住まいではない人は飛ばしてもいいかもしれません(というか、僕は飛ばしました。ごめんよ、ジュリアーニ)。Sugata Mitra氏の有名な「Hole in the Wall」プロジェクトも紹介されています。

第10章「探求への跳躍」

ここで紹介されている「Yesu」プロジェクト(http://www.projectyesu.org/)というのも非常に興味深いというか、すごいです。クリスマスに自分が何の不自由もなく暮らしていることに気づいた11歳の女の子が両親にクリスマスプレゼントとして「アフリカを助けたい」という手紙を書き、そこから大きな運動に広がっていく話。援助としてもそうですが、彼女自身の学びとしても、これはすごい経験だったのではないかと思います。例えば彼女の学びの一つとして、こんな発言があります。
「私が驚いたのは、ウガンダの人たちが自分自身を哀れに思っていなかったこと。自分たちが持っているものについて不満を言わないし、説明しようのない喜びに満ちていた」
長く途上国で暮らしてきた僕のような人間から見れば、彼女の運動が実は差別感情の裏返しである哀れみから出発していたことがよく分かるのですが、しかし、このプロジェクトを通してそういう一面的な視点から脱却して広い視野を身につけていくわけですね。

著者ジュリアーニはこのエピソードを紹介した後で、教師の役割についてこんなふうに書いています。
Location 2200
Mallory didn’t do everything by herself. She had help. She had people who valued her ideas, and worked with her to make Project Yesu a success. Teachers need to be that person. We have content knowledge, instructional understanding, and (most importantly) life experience. If all we are doing is taking students through a textbook, then we are failing to help them succeed.
マロリーは全部自分ひとりでやったわけじゃない。彼女には支援してくれる人がいた。彼女のアイデアを高く評価し、Yesuプロジェクトを成功させるために一緒に動いてくれた人たちがいた。教師というのはこういう人でなければならない。私たちには知識もあるし、指導に対する理解もあり、最も大事なことには、人生経験がある。もし私たちが教科書しか教えていないのだったら、私たちは子どもたちが成功するのを助けることに失敗している。


第11章「クラスの中の探求とイノベーションの論拠」

この最後の章では著者の主張を理論的に支持する論文や本がそれぞれの論点とともに大量に紹介されています。それぞれの論点とは別に最後にまとめて紹介されている本が5冊あるので、以下にご紹介します。
Location 2570
Related Books
1.Drive by Daniel Pink
2.Finding Your Element and The Element by Sir Ken Robinson
3.The 20% Doctrine by Ryan Tate
4.World Class Learners by Yong Zhao
5.Creating Innovators by Tony Wagner
ダニエル・ピンクは「反転授業」という形式の授業の命名者としても教育界では知られていますが、「Drive」もいろいろなところで引用されているので、今度読んでみたいと思います。

その他

その他、断片的ですが、いくつか面白いところやかっこいいところをご紹介しますね。外部資料なども僕自身のための備忘録として入れてあります。
Location 365
Does homework actually prepare students for the real world?
宿題というものは本当に現実の世界への準備に役に立っているのだろうか。

Location 367
A heuristic task involves trial and error and discovering the solution by yourself.
自発的なタスクは試行錯誤と解決を自分で発見することを含む。

Location 433
In the end, success can only be defined by you, and you alone.
つまるところ、成功とはあなたにしか定義できないのだ。あなた以外誰もできない。

Location 575
If you want to prepare students for life after school, 20% Time and inquiry-driven learning is a must.
もし卒業後の人生の準備をさせたいのだったら、20%タイムと探求学習は必要不可欠だ。

Location 654
Nick D’Aloisio started his company “Summly” at age 15. At age 17 he sold it to Yahoo! for $30 million.
Nick D’Aloisioは15歳で起業し、17歳でヤフー!に3,000万ドル(30億ドル)で売却した。

Location 698
No one is going to “make” the next great invention because they were told to do so.
次の偉大な発明を、誰かに言われたから成し遂げる人はいない。

Location 781
Sharing should be open and not given a time limit; it is one of the most powerful forces of innovation.
共有するのに時間制限を設けてはいけない。それは最も強いイノベーションの力だ。

Location 801
We can’t limit the educational experience to inside the classroom walls. We must provide learning resources, and collaborative abilities, for students to access at any time.
私たちは教育的な経験を教室の壁で制限してはいけない。私たちは学びのリソースや協働的な能力を生徒たちに提供し、いつでもアクセスできるようにしなければならない。

Location 862
There is a movement happening in education right now. Maybe you’ve heard about it, maybe you haven’t yet. It comes in various shapes and forms but the end result is the same: Students learning what they want to learn. Yes, I said it, so let me repeat: Students are learning what they want in classrooms around the world.
教育界で起きている運動がある。みなさんは聞いたことがあるかもしれないし、ないかもしれない。それはいろいろな形で現れるが、結果は皆同じで、「生徒たちは学びたいものを学ぶ」ということだ。聞き間違いではない。もう一度言おう。世界中のクラスで、生徒たちは自分の学びたいものを学んでいるのだ。

Location 921
Schoology.
(LMSのようですが、この本には何度も出てきます。後で調べてみたいと思います。)
Location 1021
If you are still feeling a bit uneasy about starting this project, get connected on Twitter during #GeniusHour chats. Or join a 20% Time in Education community on Google+ to talk with other educators.
まだ不安があったらうイッターの#geniushourで他の人とつながればいい。あるいは、Google+の「20% Time in Education community」に参加すればいい。
https://plus.google.com/communities/104012538187352003800

Location 1159
Therefore, as part of Genius Hour, we do three things. We keep in mind the essential questions that we are trying to answer, we create products of our learning, and we make our learning visible by reflecting in a blog post about what we have learned at least each month.
だから、ジーニアスアワーの一部として、私たちは3つのことをする。
私達が答えを見つけようとしている重要な問いを常に意識すること。
学びの成果物を作る。
少なくとも月に一度は振り返りをブログに投稿して、私達の学びを「見える化」する。

Location 1240
If you’d like to see what other teachers and students are doing around the world with Genius Hour please check out the following sites:
もし世界中の他の教師と生徒がジーニアスアワーで何をやっているのかを知りたかったら、次のサイトをチェックしてほしい。
Genius Hour Main Wikispace: http://geniushour.wikispaces.com/
Global Genius Hour: http://theglobalgeniushourproject.wikispaces.com/
Choose2Matter: http://choose2matter.org/

Location 1311
“Success is piece of mind which is a direct result in self-satisfaction in knowing you did your best to become the best that you are capable of becoming.”
成功とは、自分ができうる限りの最善を尽くしたということを知った満足の直接的な結果の心の一部である。

Location 1390
Each teacher has their own unique twist on this type of inquiry-based project, from Kevin Brookhouser’s “Bad Idea Factory” to Ryan Perlman’s search for “10,000 hours.”
ケビン・ブルックハウザーの「悪いアイデアの工場」からライアン・パールマンの「一万時間」など、それぞれの教師がこの種の探求学習に自分自身の変化を加えた。

Location 1468
See what other Genius Hour and 20% Time teachers have done on the Genius Hour Resource page: http://geniushour.wikispaces.com/ or at Kate Petty’s site http://20timeineducation.com/.
ジーニアスアワーのリソースページとカイト・ペティのサイトに他の先生のしてきたことが書いてある。

Location 1487
College Track has broken the word “grit” down to four factors: Guts, Resilience, Integrity, and Tenacity.
カレッジトラックはgritを「ガッツ、レジリエンス(ダメージなどから跳ね返る力)、真摯さ、執念」に分けた。
(その頭文字がGRITになります)
ちなみにこのIntegrity(真摯さ)という単語は確か「マネジメントの神様」と呼ばれるドラッカーが「マネジメントに関わる人に唯一必要な資質」としてもあげていました。他の能力は後から身につけることができるが、真摯さだけは違うとのことです。
Location 1503
Research shows that teachers−not books, not technology, not buildings, and not even class size−are the single most powerful driver of student performance.
研究によると、教科書でも技術でも建物でもクラスの規模でもなく、教師だけが生徒のパフォーマンスに強く影響する唯一の要因である。

Location 1508
teachers have had to sit through many “death by PowerPoint” presentations on in-service days.
教員たちは研修でいくつもの「パワーポイントによる死(死刑?)」を体験してきただろう。

Location 1544
Can anyone else think of an employment sector other than K-12 and postsecondary education where employees have the right to refuse to use technology? For example, a grocery store checker doesn’t get to say “No thanks, I don’t think I’ll use a register.” A stockbroker doesn’t get to say, “No thanks, I don’t think I’ll use a computer.” An architect doesn’t get to say, “No thanks, I don’t think I’ll use AutoCAD.”
義務教育以外で、職員が技術を使うことを拒否する権利を持っている業界を想像できるだろうか。たとえば、スーパーではキャッシャーが「いえ、レジは使いません。けっこうです」とは言えないだろう。証券会社で「いいえ、パソコンは使いません」とも言えないだろう。建築設計事務所で「いいえ、CADは使いません、けっこうです」とも言わないだろう。

Location 1657
If we continue to teach the same way every year, it’s not only doing our students a disservice, but it is also hurting our profession.
もし私たちがこんな教え方を毎年続けるなら、生徒たちの裏切りであるだけではなく、私たちの職業を傷つけることになる。

Location 1785
If we are to prepare our students for success, our institutions have to fundamentally change. Sometimes a group of teachers can lead this change. Other times a school leader can spark it. If you are reading this book, then you’ve already taken steps to move your institution forward.
もし私たちが生徒を成功できるように準備させたいのなら、私たちの機関は基本的なところから変わらなければならない。教師たちがこの変化を引っ張ることができる時もある。学校の指導者が火をつけることもできる。もしあなたがこの本を読んでいるのなら、あなたは既にあなたの機関が前に進むための第一歩を踏み出しているのだ。

Location 1862
One of the key components of any new learning experience is trust.
新しい学びの体験の重要な要素は信頼である。

Location 1986
Dr. Mitra’s experiment and research point to an educational truth: We will learn when given the opportunity.
ミトラ博士の実験と研究は教育的な真実を指摘している。私たちは機会が与えられれば学ぶのだ。


さて、僕のブログの読者には日本語教育の関係者が多いと思います。この「ジーニアスアワー」を外国語の授業でどのように使えばいいかを考える人もいるでしょうが、僕がいつも書いているように、初級でCBLL(Content-Based Language Learning)なら目標言語で映画を見て聞き取れたところだけをリスト化するとか、内容を母語でまとめて(初級後半からは学習言語でもいいと思います)他の人に紹介するとか、いろいろあると思います。もっとソーシャルな方向の人なら、学習言語の話者で自分の国に来た人をインスタグラムで発見してリスト化するとか、あるいはそれに対して自分がどうコメントして、相手がどう反応したかをレポートにするとか。

いずれにせよ、ジーニアスアワーは学習者の自律性を尊重し、かつ、一斉授業のカリキュラムから今すぐ全面的に脱却できないような教育機関の教員には、現状を打破する作戦としてかなり有効なのではないかと思います。何と言っても、これだけ豊富な実績が既にあるので、周りを説得しやすいのではないでしょうか。

そして冒険は続く。

【参考資料】
Inquiry and Innovation in the Classroom: Using 20% Time, Genius Hour, and PBL to Drive Student Success

本書の後に出版されたので本書では言及されていませんが、以下の本も実践的で人気があるようです。でも高いので僕は読んでいません。Kindleって普通はペーパーバック版に合わせた値段になるんですが、これはハードカバーの値段のままですね。
The Genius Hour Guidebook: Fostering Passion, Wonder, and Inquiry in the Classroom

ジーニアスアワーは学習時間の一部を自律学習に充てようという発想ですが、学習者の一部に自律学習を課すというのも有効ではないかと思います。ご関心のある方はこちらを。
「むらログ: トップを解放せよ!」
http://mongolia.seesaa.net/article/398383943.html

せめて宿題だけでいいから自律学習にしましょうという主張も以下に書いたことがあります。
「むらログ: あなたは日本語の分かるオートマトンを育てあげたいのですか?」
http://mongolia.seesaa.net/article/444783872.html

その他、自律学習についてはこちらもご覧ください。
むらログ: 「新世代自律学習者のための教師の役割 大量絶滅の時代を私たち恐竜が生き延びるための3つの視点」第3回スペイン日本語教師会シンポジウム基調講演
http://mongolia.seesaa.net/article/422588905.html

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