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2016年12月21日

世界には数千万から1億以上の日本語学習者が!香港と韓国の調査から

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日もガルーダに乗ってドラゴンを追っていますか?

国際交流基金と電通の新しい調査が出ました。8月の台湾の調査と同じように、香港と韓国について、機関に属さない人も入れた日本語学習者の数が推計されています。調査によると、香港の日本語学習者数は35~52万人、韓国は493万人から654万人ということです。

http://yasashii-nihongo-tourism.com/2016/12/20/275

さて、これらの数字は学校で学ぶ日本語学習者に比べて、どのぐらい多いのでしょうか。

韓国については先日の国際交流基金の速報に2015年の機関学習者の数が載っています。この速報では機関で勉強している人の数は55万6千人なので、上記の「493万人から654万人」をこの数字で割ると、およそ9倍から12倍の日本語学習者がいるということになりますね。

香港については2015年の速報値に載っていませんが、2012年の同じ調査では機関学習者数は22,555人でした。仮に現在もこの人数だとすると、およそ15倍から23倍もの日本語学習者がいることになります。

ちなみに、8月に発表された台湾における調査では、日本語教育機関調査の12倍から16倍もの日本語学習者が存在すると推計されています。参考文献をご覧ください。

では、ここで3つの国と地域の数字を並べてみましょう。

韓国:9倍から12倍
台湾:12倍から16倍
香港:15倍から23倍

まあ、大雑把に言って、これらの地域では、学校で日本語を勉強している人に比べて、10倍から20倍の人が日本語を勉強しているということが言えます。

ところで、このように10倍も20倍も日本語学習者がいるというのは、東アジアのように日本語学習者の多い地域だけのことなのでしょうか。こうした現象を世界規模で起きていると考えてもいいのでしょうか。

全世界で何人の日本語学習者がいるのかというデータを取るのは、今回のように人口から推計するという手法では限界があるかと思いますが、少なくとも、潜在的な日本語学習者の数は、機関調査で得られた学校における日本語学習者の数よりはるかに多いのは確かでしょう。そして、その倍率は今回調査された東アジアの数字よりもずっと大きくなるだろうと僕は思っています。

もちろん、日本語学習者の絶対数は、今回調査された東アジアの国や地域の方が、世界平均よりは多いでしょう。日本に近いのですから当然です。しかし、東アジア以外の国では分母となる日本語学校の数も少ないのです。そして、そうした地域では日本語学校で採算の取れる絶対数を下回ると日本語学校は開設できなくなり、取りこぼしが発生します。東アジアでは日本語学校を選ぶときに選択肢がたくさんありますが、それ以外の国では選択肢が一つしかないか、あるいは一つもないような状況もあるからです。つまり、香港や台湾なら学校で日本語を学びたい人はどこかで必ず勉強できるかもしれませんが、日本語学校が少ない国や地域では、学校で勉強したいのにそういう機会がないから独習になるという人が、東アジアに比べて多いはずです。

たとえば僕の関係しているコソボでは日本語学習者のFacebookグループに100人以上のコソボ人が登録していますが、日本語教育機関はまだ1つもないので、機関以外で日本語を勉強している人の数は、機関学習者の無限大の倍率で多いことになります。隣のモンテネグロも同じく日本語教育機関の数はゼロなのに学習者はいますから、率としては無限大です。

そう考えると、世界規模で見ると台湾、韓国、香港よりもほかの地域の学校外の学習者の割合が低いことは考えにくいので、少なくとも日本語教育機関の学習者数(365万人)の10倍から20倍(つまり3,650万人〜7,300万人)程度、もしかしたらそれ以上の日本語学習者がいると想定してもいいのではないでしょうか。

ちなみに、今回の調査では地域の全人口中の学習者の割合も出ていますが、それによると台湾、香港、韓国の日本語学習者の割合は以下のとおりです。

台湾:12.8%
香港:9.7%
韓国:16.3%

仮に人口の1割が日本語を学習しているとして、それが人口13億の中国にも該当すると仮定すれば、それだけで1億3000万人の日本語学習者がいることになります。

台湾の調査が発表されたときにも書きましたが、語学を学校で勉強するというのは、実は日本語学習者の1割にも満たない人しか選択していない、非常に特殊な学習方法なのだということを、僕たちは留意しておく必要があります。

そして、自律的でない機関学習者を自律的にするには、三つのことを教えなければなりません。すなわち、OER、PLE、PLNです。

OERはOpen Educatinal Resouces、つまりオンラインで公開されている教材です。PLEはPersonal Learning Enviroment、つまり、インターネットやスマホ、アプリなどの個人学習環境、そして、PLNは(PLEの中に含める人もいますが)、ここでは日本語を使ってコミュニケートする相手とのネットワークです。(Personal Learning Network)

独習者の数が無視できないほど多いことは、台湾と韓国と香港の調査で明らかになりました。そして、僕たちが独習者を支援するために教えなければならないことも、はっきりしています。そろそろ僕たちは教室の外に目を向けるべきなのではないでしょうか。

そして冒険は続く。

【参考資料】
台湾・香港・韓国の日本語学習者は推定800万人規模(国際交流基金・電通共同調査発表) – やさしい日本語ツーリズム研究会
http://yasashii-nihongo-tourism.com/2016/12/20/275

台湾・香港・韓国の日本語学習者数は800万人規模 ―電通が国際交流基金と共同調査― - 電通報
http://dentsu-ho.com/articles/4785

2015年度海外日本語教育機関調査結果(速報値)2016/11/10
http://www.jpf.go.jp/j/about/press/2016/dl/2016-057-2.pdf

むらログ: 【緊急提言】自律学習者への対応を急ごう(台湾の調査を受けて)
http://mongolia.seesaa.net/article/441343896.html

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タグ:日本語教育
posted by 村上吉文 at 14:57 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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