2016年11月20日

生まれ変わったGoogle翻訳

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も羊皮紙にラテン語で書かれた呪文を解読していますか。

さて、Google翻訳が生まれ変わりました。端的に言うと、今までは語彙には強かったものの、文の構造は明らかに間違って認識していたりすることがあったのですが、今回はかなり複雑な構成になっている文もきちんと訳されています。

下の参考資料に書いてありますが、単語やフレーズごとの翻訳ではなく、「ニューラルネットワーク」という技術を応用しているとのことです。まあ、そういう技術的なことは日本語教師はずべて理解する必要はないと思うのですが、少なくとも翻訳精度が著しく向上したということは留意しておいたほうがいいでしょう。

そこで、今日は、過去のネット上の記事からどの程度Google翻訳が改善されたのか見てみたいと思います。資料は「AIが翻訳の不可能性に気付く日」「AIが高度に発達することが確定した今、高校生が英語を学ぶ意味はあるのか?」というGoole翻訳の機能改善の前に書かれた記事で紹介されている翻訳文と、現在の翻訳結果です。

まず「AIが翻訳の不可能性に気付く日」(2016年4月27日)から。
原文
「He saw a woman in the garden with a telescope.」
4月の翻訳結果
「彼は望遠鏡で庭で女性を見た」
現在の翻訳結果
「彼は望遠鏡で庭の女性を見た。」

4月の段階では男性は庭にいることになってしまいますが、現在の翻訳結果は女性が庭にいるようになっています。もちろん、4月の翻訳文は「で」が2つ続くという点でも非常に不自然ですが、男性のいる位置が変わったという点でも大きな進歩です。

続いて「AIが高度に発達することが確定した今、高校生が英語を学ぶ意味はあるのか?」(2016年10月11日)から。
原文
「We choose to go to the Moon! ... We choose to go to the Moon in this decade and do the other things, not because they are easy, but because they are hard; because that goal will serve to organize and measure the best of our energies and skills, because that challenge is one that we are willing to accept, one we are unwilling to postpone, and one we intend to win ...」
10月時点での翻訳
「私たちは月に行くことを選択します! ...我々は、彼らが容易ではないので、この10年で月に行くと、他の物事を行うことを選択し、彼らは難しいからです。その挑戦は、私たちが受け入れても構わないと思っているものですので、その目標は、私たちのエネルギーやスキルの最高のを整理し、測定するために役立つので、一つは我々が延期に消極的であり、一つは我々が勝利するつもり」
現在の翻訳結果
「我々は月に行くことを選ぶ! ...私たちはこの10年間で月に行くことを選び、他のことをやっています。なぜなら、簡単だからではなく、難しいからです。 その目標は、私たちのエネルギーとスキルのベストを整理し、測定するために役立つでしょう。その挑戦は、私たちが受け入れたいもの、私たちが延期したくないもの、勝つつもりなものです」

これは難易度の高い例として示されていたのですが、現在の翻訳結果では、まあ翻訳調ではあるものの、主語と述語の関係などは正しいですし、理解可能な日本語であるとは言えるでしょう。

もちろん、文学作品などの翻訳に使えるレベルではないとは思いますが、技術書の翻訳ぐらいだったらもう実用レベルに達していると言っていいのではないでしょうか。

こうした時代、僕たち語学教師が考えなくてはいけないことは、何でしょうか。少なくとも、英語で書かれたウェブページや電子化された論文を読むというニーズしかない人は、しょうじき英語を勉強しなくてもいいのではないかという気がします。

その一方で、実際に英語圏に移住して文字以外のコミュニケーションが必要な人には、まだまだ英語を学ぶ必要はありそうです。レストランで食事を注文したり、職場や学校でも口頭でのコミュニケーションは必要でしょう。

このテーマは考えはじめたばかりなので特に主張があるわけではないのですが、僕たちの仕事が大きく変わることになりそうなのは事実ではないかと思います。

また、語学教師とは別に外国人を受け入れる日本という共同体の一員として思うことは、外国人を受け入れている機関では、学級通信などの配布物を紙のプリントではなく、できるだけ電子データで渡すべきだということです。「紙じゃないと心がこもらない」とか言うのは、実は「相手に機械翻訳させる機会など与える必要はない」という非常に残酷な態度です。もしどうしても紙で渡す必要があるのなら、これだけ翻訳が簡単になったので、まずは自分で相手の言語に翻訳してからプリントして手渡しするなどの対応も考えなくてはならないでしょう。

そして冒険は続く。

【参考資料】
Googleの公式発表資料(僕もあまりよく分かっていませんが)
A Neural Network for Machine Translation, at Production Scale
https://research.googleblog.com/2016/09/a-neural-network-for-machine.html

AIが翻訳の不可能性に気付く日
http://d.hatena.ne.jp/nakaii/20160427

AIが高度に発達することが確定した今、高校生が英語を学ぶ意味はあるのか? - shi3zの長文日記
http://d.hatena.ne.jp/shi3z/20161011/1476129642

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posted by 村上吉文 at 20:54 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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