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2016年10月03日

アウトプットなしでここまで上達できる! ルーマニアの冒険家、ジョルジアナさんインタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も遺跡に祀られている黄金の宝を取ったあとで、転がってくる巨大な石球から必死で逃げていますか?

さて、今日はルーマニアの冒険家、ジョルジアナさんのインタビューのご紹介です。
ジョルジアナさんは11歳か12歳ぐらいの時に日本のアニメに触れ、大量に見ているうちにおそらく母語話者と同じような習得過程を経て、いつの間にか日本語が分かるようになっていたということです。半年前にインタビューしたカザフのカリナさんと似たようなプロセスですね(参考資料にリンクあり)。

カリナさんの場合はカザフ日本文化センターの松嶋さんに電話で話したのが日本語で話した初めての経験だったそうですが、ジョルジアナさんの場合はブカレスト大学に国際交流基金から派遣されている千々岩さんや黒田さんと話したのが最初だったそうです。そして僕が3人目だということですから驚きですよね。

なぜ驚いたかというと、僕はSwainのアウトプット仮説がもてはやされていた時代からあまり第二言語習得の知識をアップデートしていなくて、その後、いろいろと反論なども出ていたことをよく知らなかったのです。参考文献のところに横山紀子さんの論文などを入れておきました。もっと新しい知見をご存知のかた、ぜひコメントでおすすめの論文などを教えて下さい。

さて、カザフのカリナさんの場合は、シャドーイングを自然にしていたそうですが、ジョルジアナさんの場合はどうなのでしょうか。今、インタビュー後のメッセージで改めて聞いているところですので、お返事がいただけたら、後ほどご紹介しますね。

参考資料にあげた白井恭弘さんの資料を見ても、やはり自分の頭のなかでリハーサルをしているとか、あるいは独り言として言っているか、何らかのアウトプットをしている可能性はあります。

以下がジョルジアナさんへのインタビューへの要約ですが、いつものとおりこれは要約であって発言に忠実な文字おこしではありません。研究の資料などのために正確な発言を知りたい方は、動画の方をご参照ください。

【ジョルジアナさんってどんな人?】
性格は明るい方だと思います。
今は大学院が始まってますが、授業はまだです。
マスターコースの一年生です。
専門は日本語と日本の文化とかです。
(大学院の内容は)まだよく分からないので。
今までの専攻はイタリア語と韓国語でした。
日本語は学校では勉強したことがないです。
ルーマニアのブカレストの寮に住んでいます。
オルテニタという自分の街に行くこともあります。
ブカレストから60キロぐらいあります。
週末に行くんです。

【日本語を勉強しようと思ったきっかけは?】
日本語に興味を持ったのはテレビで放送されてたアニメがあって、面白いと思って、ちょいちょい見てました。
その時は一番初めに見たのは「犬夜叉」、あと「スレイヤーズ」も。
吹き替えではなく声は日本語でした。それに字幕がついていました。インターネットではなくてテレビで放送されていました。その時はアニメの番組がありました。今は分からない。

【日本語の勉強を始めて、最初にしたことは?】
日本語を勉強したという意識がないんです。
小さい頃からアニメを見て、少しずつアニメから広げてマンガとかイベントとかラジオを聞いて、少しずつ言葉を覚えて、そんなに聞き取れなくて間違いもしましたが、ある日、少し理解できると気づきました。
日本人の子供が日本語を覚えるのとか、ルーマニア人の子供がルーマニア語を覚える感じだと思います。アニメを見始めたのは11歳とか12歳ぐらいの時だと思います。

【冒険の仲間は?】
一緒に勉強する仲間はいなかったです。私の住んでいる街は小さくて同じことを知っている友達はいなくて。もちろん先生もいなかった。
日本語のアニメを見ているって言うと、「え?なんですか、それ」とか言われるんです。
話し相手になってくれる日本人もいなかった。探したら見つかると思うけど、そんなことは考えずにただアニメを見ていました。
最初に日本人と話したのは一年か二年ぐらい前。大学の先生がいまして、千々岩先生と少しだけ話しました。私が日本語専攻の大学生に混じって勉強したいと言いました。が、やっぱり無理でしたね。私はその学科の学生じゃないので。
イタリア語と韓国語の授業もブカレスト大学だったけど、日本語は私の授業にはなかった。そういうこと(聴講制度のこと?)も聞きましたので、一応聞いてみました。
生まれて初めて日本語で話した相手が千々岩先生だった。
ソーシャルメディアで日本人の友達はいませんでした。考えてなかった。
文字でコミュニケーションする日本人もいませんでした。
アニメなどのメディアと自分だけの関係だった。

【冒険の地図は?】
教科書とかも全然使ってないです。
最初は聞いてる言葉とかを紙に書いて、まあ、聞き取れなくて間違いもしましたが、短い言葉だけは書いてて覚えるようになりました。
今は教科書を使いたいですが、まだ使っていません。
書くのはまだ躓いていますが、知らない言葉とか辞書で探して。「知らない」というのとは少し違いますが、意味は分かっていますが、読むことが知らないです。
知らない言葉はその場で辞書で調べながら書いてます。
話す練習は全然してないです。でも、私も話すのは大変なんです。頭が真っ白になって、うまく言葉が見つからなくで。
日本語を話す相手は、千々岩さんが一人目で黒田先生が二人目で、村上さんが三人目。

【そんな装備で大丈夫か?】
今は妹がプリントした漢字のリストがありまして、それを勉強しています。
どのウェブサイトかは分かりません。妹が調べたので。
妹は私と同じで日本語は勉強していません。一緒にアニメを見た仲間です。
妹と日本語で話すことはあまりないです。「いやいや」とか「そうだな」とか。
一言だけの日本語を遊びで使うことがあるだけ。
妹もそんなにインターネットが得意なわけじゃないけど、考えて私のために調べてくれたんです。
調べるのに使う辞書は紙の辞書じゃなくて、jisho.org です。すごくいいと思います。
他に使っているウェブサイトはないですが、色んな所で調べています。
Googleなどで検索します。

【モンスターは?】
例えば話すときは一番難しいことは言葉が見つからないことです。いろんな言葉を知っているとは思いますが,なぜかいざというときには出て来ないです。あと、難しいのは動詞です。いろんな変化があって、ときどき戸惑う。
読むのもまだそんなに多くの漢字を知っていないので難しいです。そのクラスの中で私が一番不利な状況だと思います。他の学生はたくさん読んだ経験があります。
耳で聞くのはたくさんしたが、目で日本語を見るのはあまりしていない。
日本のマンガも読みましたが、実は英語に翻訳されたものです。

【情熱は?】
やっぱり運があったということだと思いますね。そのチャンスがあって。マスターコースではイタリア語を続けると思っていましたが、イタリア語はマスターコースがなくて、私ができることというと日本語ぐらいだったので、それに挑戦しようと思いました。もちろん受かるとは思っていませんでしたが。
日本語というコンテンツに触れていたのでアニメとかラジオとかは私の一部になっていると思うので。
大学に入った時には忙しくなりましたが、高校では高校から戻って、それしかなかったと思いますね。高校から戻るのは二時とか三時。もちろんそればっかりではありませんでしたが、他のことして戻って、また他のことをして戻ってという感じですね。一日5時間とか6時間とか。音楽も他のことをしている間に聞きますし。宿題をしながら聞いたりとか。ニコニコ動画に「歌い手」という方が自分で歌っている歌をアップロードをしているんです。好きな歌い手さんはアンクとかマコマコとか。コメントはちょっとしますが、あまりしません。返事はありません。ニコニコ動画では画面にどーって出るので。YouTubeで歌い手さんにコメントしたこともありますが、歌い手さんから返事をもらったことはありません。ニコニコ動画はどうやって見つけたのかもう覚えてないです。最初はボーカロイドを聞いたと思います。初音ミクとか。その後に歌い手さんもいると分かりました。初音ミクに出会ったのはWorld is mine.とかのころ。日本語の勉強に結構インターネットも使ってます。

【外国語教師はもう必要ないと思いますか?】
いらないとかはそういうことじゃもちろん全然ないです。先生がいるともっと簡単に学ぶことができるし、先生の存在があって、自分が誰かに頼れると思いますね。私の経験では先生の話はとても面白いです。自分の経験とか、いろんなことがありますね。絶対必要だと思います。
頼りたいと思うのは、知らない言葉があって、どこかで使いたいと思うときには、本当にそこで使えるか知らないので、先生がいると答えてもらえると思います。先生が知っていること全部が役に立ちます。
大学では日本語を勉強したことがないのですが、イタリア語と韓国語の授業はすごく面白いと思いました。アニメとかと関係なくても先生の説明が面白かった。自分にぴったりではなくても、学生の興味を上げてくれることができるから。

【他の冒険家にアドバイスをお願いします】
この勉強の仕方は私に合っていると思いますので、私、紙で教科書を使って勉強するとすごく大変ですので、こういうふうに自然に学ぶのが自分にあっていると思いますので、皆さんは自分の勉強の仕方があるので、別にこの方法を使って勉強しなくても大丈夫だと思います。ですが、それも、それも必要だと思いますね。教科書以外のことに興味を持つとか大事だと思います。
歌は一番簡単な方法だと思います。例えば歌の歌詞とか覚えられるので、後で意味を調べてどんなふうに言葉がどうつながっているのか覚えられると思います。それと、私のようにがんばらないで勉強するのも間違っていると思いますね。いろんなことも知らないので。ちゃんとした(教科書を使った)勉強も必要だと思いますね。両方のいいところを合わせて勉強することになると思います。ちゃんと自覚をして、これを覚えられるようになりたいと。私は目標もなかったので。この人生で日本語に関係するとは思いませんでしたので。そのせいでそんなに読むことに集中しなくて今は大変なことになっています。

そして冒険は続く。

【参考資料】
むらログ: すべてはここから始まった。カザフの冒険家、カリナさんインタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/435166266.html

「言語習得におけるインプットとアウトプットの果たす役割−単語の習得調査の分析から−」
横山紀子(2004)
https://www.jpf.go.jp/j/urawa/about/bulletin/pdf/14/paper-01.pdf

「第二言語習得研究と日本語教育」ピツバーグ大学言語学科(上智大学・国立国語研究所)白井恭弘 (Yasuhiro Shirai)
http://fll.mit.edu/jltane/style/Shirai.pdf

「アウトプットと第二言語習得」村野井仁
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/research/journal/bk2011/pdf/bk2011no04_04.pdf

英語教育エッセイ:インプットとアウトプットをいかにつなぐか
http://www.eigokyoikunews.com/columns/taishukan/2009/01/post_1.html


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posted by 村上吉文 at 00:15 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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