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2016年07月19日

ルーマニアの冒険家、ミハイさんインタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も吸血鬼の住むという古城に侵入してコウモリと松明で戦っていますか?

さて、まだお会いしたことはないのですが、Facebook上でお付き合いのあるルーマニアのMiCaさんが実は日本語は独習だったと聞いて、さっそくインタビューしてみました。

彼もソーシャル・メディアを多用していることと、「ひらがなだけ勉強したら、後は自然に日本語が頭に入っていった」というあたりから、典型的な冒険家ですね。

彼の発言の中に「Lang-8は言語交換を探すために使ったので、自分の作文を投稿したりはしなかった」というところがありますが、これはLang-8ではパートナーを探すためにユーザーの母語と学習言語の組み合わせで検索する機能があるからです。たとえば僕のようにハンガリー語を勉強している日本語話者なら、「母語がハンガリー語」で「学習言語が日本語」のユーザーを検索すればお互いにメリットのある関係を作れるわけです。lang-8は本来は作文の添削をしてもらうために使うのですが、彼は認知スタイルとして音声優位者であることを示唆する発言がいくつかあるので、そういうタイプの学習者のためのLang-8の使い方としては、ユーザー検索機能だけを利用するというのもありなのかもしれません。

検索エンジンのGoogleを擬人化してその便利さを賞賛するときなどに若者がスラングで「Google先生」などと言ったりしますが、そういった日本のネット文化にもずいぶん親しんでいる様子が見受けられます。

彼の話の中で印象的だったのは、外国語の教師の役割に関する部分です。彼は「趣味」という言葉を使っていますが、これは内発的な動機ということではないでしょうか。動機のある人には教師が要らないということは、逆に教師の仕事として学習者の動機を高めることが大事だということでもあります。これだけリソースの豊かな時代には、動機さえあれば何でも勉強することができるんですよね。そして、「勉強が好きかどうかじゃなくて、日本が好きかどうか。日本が好きだったら、理解するために日本語を勉強しようということになるはず」という言葉からは、日本語そのものを教えるよりも、むしろ日本の社会やソフト(音楽や映像作品など)を紹介することの方が効果的であるのかもしれません。

さて、以下にミハイさんの話の概要をご紹介しますが、いつものとおりこれは概要であって発言に忠実な文字おこしではありません。正確な発言を知りたい方はちょっと長いですが今回の記事の冒頭に埋め込んである動画をご覧くださいませ。

【Mi Caさんってどんな人?】
名前 ミハイさん(FacebookではMiCa)
ツーマニアの首都のブカレストの電力大学の3年生。
高電圧機器の設計とか、風力発電とか、水力とか、油圧機械とかいろんな科目を勉強している。
日本語は暇な時に独学で勉強した。
故郷はブカレストから300キロメートルぐらい離れている。黒海沿岸の三角州の近く。

【日本語を勉強しようと思ったきっかけは?】
始めたのは6年前ぐらいかな。
日本語に興味を持ったのはこどものとき。ドラゴンボールZとかをルーマニアのテレビで見た。5歳か6歳ぐらい。
でもすぐに日本語を勉強しようと思ったわけではない。
6年前の16歳の時に日本語を勉強しようと思った。
ルーマニア人に「日本語勉強したいけど教師を知りませんか」と聞かれた。その頃は何も知らなかった。結局英語を使ってネットで勉強した。
その時は中国語も韓国語もやって、そのあと日本語を勉強した。でも結局日本語はいちばん簡単だったから続けた。日本語が簡単なのは発音。日本語の発音は全部ルーマニア語の中にあるから。中国語の場合は自分の発音を忘れないと勉強できない。

【日本語の勉強を始めて、最初にしたことは?】
その頃のサイトはもう覚えてないが、たぶん「JapanesePod101」だったと思う。ひらがなだけ勉強したら、後は自然に日本語が頭に入っていった。
アニメをたくさん見たから多分そのせいで。ボキャブラリーとかが増えた。
読み書きはキーボード入力ができるので問題ない。
漢字をキーボードで書くのはぜんぜん難しくない。同音異義語などは人と会話して分かるようになった。

【冒険の仲間は?】
一人の日本人の女の子の友だちがいた。彼女は英語で僕は日本語の練習をした。相手はどうやって見つけたか覚えていないが、たぶんGoogleで検索して、言語交換のサイトなどで見つけた。Lang-8かitalikiだと思う。その女の子とはスカイプで話した。Lang-8は言語交換を探すために使ったので、自分の作文を投稿したりはしなかった。その日本人はルーマニア語じゃなくて英語を勉強していたので僕は英語を使った。僕にとっては日本語よりも英語のほうが楽。
それから2年ぐらいして、いろんな日本人の友だちができた。「ニコニコ生放送」を見ていて、すごく便利だった。直接日本人のライブ配信を見ることができた。若者の話し方などもそこで覚えた。
配信者だけでなく、見ている人同士で友だちになることもある。今はもう付き合いないけど。有料版になるので、僕は自分で配信したことはない。
日本人を見つけるには、ニコニコ生放送などの日本のウェブサイトに行って探すといい。そこの日本人は外国人と話した経験がなくてわくわくしてくれる。慣れてなくて引いてしまう人は今までいなかった。

【冒険の地図は?】
日本語を勉強するための教科書は2冊ぐらいあった。
もう6年前なので名前は覚えていない。ちゃんと勉強したつもりだけど。
原道グループという日本の伝統的な服や踊りをするグループに参加している。もう教科書では勉強していない。近くの日本語を教える大学のゲストセッションに出席したりしている。セッションでは日本語の先生たちとはあまり話してないが、日本人のイベントには友だちといつも行っている。日本語のシンポジウムとか。二次コンとかオタクフェスティバルとか。あとは「アジアフェスティバル」というイベントにも行った。
自分が勉強した教科書が初級だけなのかは、教科書が苦手なのでよく分からない。
分からないことがあったらグーグル先生に頼む。
自分が言いたいことを日本語で上手く言えないことは、その都度、相手に聞いている。
でも、たとえば工学部の専門用語などは自分で検索する。
今年はインターンシップを日本に行って日立でやりたかったけどうまく行かなかった。そういうインターンにはルーマニアでも応募できる。電力などの専門のある人。
ちなみに日本には去年の夏に一ヶ月ぐらい行ったことがある。第23回のワールドジャンボリー。山口県にルーマニアの代表として。今でもボーイスカウトをやっている。ルーマニアからは20人が行ったが日本語ができるのは僕だけだった。超面倒くさかった。特に東京についた時。すぐに列車が発車する予定だったから荷物をたくさん持って走った。イベントでも色んな所にも行ったし、ジャンボリーが終わった後も福岡から札幌まで旅行して回った。

【そんな装備で大丈夫か?】
italiki、Lang-8のほかは、LineとHello Talk。
Hello Talkでは英語を勉強している日本人を直接検索できる。いろんな人にメッセージを送っている。「できれば僕と一緒に勉強しませんか」とか。これはAndroidのアプリ。日本人がいっぱいいる。日本人が作ったアプリではないけど。

【モンスターは?】
日本語を勉強していて、困ることは漢字。それ以外はあんまり困ったことはない。
新しい漢字はどこから来たとか。漢字を見るとイメージが想像できない。たとえば僕の後ろに今貼ってある春陽っていう漢字の「春」をみても春っぽく見えない。「陽」も太陽っぽく見えないし。
どうするのが一番安くて簡単なのかいつも考えている。
たまには手で書くこともある。コミュニケーションとしては聞いたり平仮名を漢字変換したりするだけだけど、覚えるために手で書くことがある。

【認知スタイル】
音声と文字では、最初は音声でのコミュニケーションのほうが楽だった。

【情熱は?】
日本で働きたいからかなあ。一応、インターンシップで行って、日本の社会とか生活を試してみたい。一度は日本で働きたい。日立だけじゃなくて三菱とか、IHIとか、日揮とか電力関係の仕事ができるところ。ずっと住みたいかどうかはまだ分からない。それぞれの国の生活があるから。

【外国語教師はもう必要ないと思いますか?】
それは場合による。
たとえば自分でできない人は日本語の先生がいる。
勉強が趣味じゃない人も日本語の先生がいる。趣味じゃない人はもっと難しいと思う。僕の場合は、最初は理由がなかった。ただ日本語の響きがかわいいと思った。そういう人には先生は要らない。でも趣味じゃなくて学校で勉強しなければないけない人には先生が必要。
自分で勉強できるかどうかは、意志と好み。勉強が好きかどうかじゃなくて、日本が好きかどうか。日本が好きだったら、理解するために日本語を勉強しようということになるはず。

【他の冒険家にアドバイスをお願いします】
男だったら、彼女を作ったほうがいい。女性だったら彼氏を。相手が好みだったら。
僕にも彼女がいた。別れたけど。彼女がいたら毎日日本語を使うから上手になる。別れる前は彼女はルーマニアにいた。
普通に勉強したいならまずは幼稚園のレベルから書き方や発音とか基礎の語彙とかを勉強するといいんじゃないか。直接「春陽」とか勉強しなくてもいいと思う。初級から順番に。でも日本人と話すときはいろんな状況が出てきて、そのたびに色々な表現が出てくるから、その時に勉強すればいい。僕の話が役に立ったら嬉しい。

そして冒険は続く。

【参考資料】
https://www.japanesepod101.com/
(ミハイさんが初心者のころ勉強したサイト)

Multi-lingual language learning and language exchange | Lang-8: For learning foreign languages
http://lang-8.com/

italki: Learn a language online
https://www.italki.com/home

Niconico Live
http://live.nicovideo.jp/
(にこにこ生放送)

Haramichi Ro
https://m.facebook.com/Haramichi-Ro-425095634255220/

HelloTalk-Learn Languages Free - Android Apps on Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.hellotalk&hl=en

LINE: Free Calls & Messages - Android Apps on Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.naver.line.android&hl=en

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posted by 村上吉文 at 03:36 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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