2016年06月26日

オランダに行ってきました!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


冒険家の皆さん、今日も風車に闘いを挑んでいますか?

もう一週間前なのですが、オランダに出張しまして「ソーシャルメディアが破る語学教育の壁〜ソーシャルメディアを利用して磨く日本語の 4 技能」というタイトルでワークショップを実施しました。お招きくださったオランダ日本語教師会準備会のみなさんに改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

さて、僕のようなこれまでオランダという国に縁がなかった一般日本人は、だいたい以下のような事しか知らないんなじゃないかと思います。
・風車がある。
・チューリップ畑がある。
・海抜より低い地域が多くて、堤防に穴が開いているのを見つけた少年が穴に指を突っ込んで国を救った。
・鎖国政策中も日本と付き合いがあって福沢諭吉などがオランダ語を勉強していた。
・その頃の縁で日本人なら今もビザがいらない。

しかし、今回、出張前に本を2冊だけですが読んでみて、非常に興味深い国だなと思いました。以下に列挙してみます。
・日本のほうが豊かだった時代もあるが、ここ10年ほどはオランダの方が豊か。現在は44%もオランダのほうが一人あたりGDPが高い(2014年統計)。
・農業のIT化が進んでいて、農業の輸出額から輸入額を引いた純輸出額ではオランダが世界一。(2007年の統計)
・大学入試がない。
・小中学校は一斉授業はほとんどない。
・義務教育では「教育の自由」という制度が1917年からあり、指定された卒業までに身に付ける能力を育てることを守れば、その方法は自由である。
・そのため「イエナ・プラン」などのオルタネイティブ教育が普及することができ、実施に220校でイエナプランが実施されている。(一割程度らしい) イエナプラン以外のオルタナティブ教育も多い。
・オランダは知識経済社会への転換を成し遂げている。たとえば、1時間当たりのGDPが世界でもっとも高い。
・オランダの子どもたちは先進21カ国中、幸福度第1位。

今回は調査出張ではなかったので、たとえばイエナプランの現場などを見る機会はなかったのですが、かなり面白そうで、一度ぜひ見てみたいですね。イエナプランの教室ではたとえば一週間分の時間割を先生ではなくて子供が自分で毎週作るんだそうです。自律性が非常に高く、それでいて学習シラバスは公的に決められているものを守っている(少なくとも卒業するまでにカバーしなければならないものがある)ということになっているようです。

こうした方法が応用可能なら、「授業進度についていけなくなった」という進度別の一斉授業の問題のほとんどが解決できるのではないでしょうか。いや、それどころではなく、飲み込みの速い学習者は決められた内容以上の勉強をしてもいいので、いわゆる「浮きこぼれ」の問題もありません。

学年別のクラスではないので、何歳か年上の子どもや、逆に年下の子どもがいたりするそうです。科目すらないので、イエナプランの英語の教え方というのも、それだけで独立した体系になっているわけではないようです。

まあ、そういうことは参考資料に入れておいた資料を読んでいただければ分かるので(2冊ともKindle化されています)、ワークショップの話に戻ります。

今回はChromebookの録音のための拡張機能を入れていて、なかなかいいなと思っていたんですが、最後に保存するのを忘れて閉じてしまったので録音できませんでした。申し訳ありません。

理論編のところで申し上げたのは、昨日の當作靖彦先生ご自身の講演と多少重なるのかもしれませんが、だいたい以下のようなことです。

・日本で標準的な「教師は生徒に知識を伝授する」というタイプとは別の教育観としてヴィゴツキーなどの主張した構成主義がある。(近年の社会構成主義も含む) 
・そこでは教師の役割は、学習者が学ぶ環境を作ること。
・しかし、ヴィゴツキーの時代に外国語を使う環境を作るのはたいへんで、実質的に無理なこともあった。
・しかし2005年ぐらいからのWeb2.0という大きな変化で、それが簡単にできるようになった。
・この時代に教育の世界でこうした変化に注目した研究者の1人にジョージ・シーメンスがいる。かれは「パイプの中身よりパイプの方が大事」というConnectivismを唱えた。
・日本語教育の世界で同じように「つながる」ことを重視した提案として當作靖彦のソーシャル・ネットワーキング・アプローチがある。

その後、具体的な例の一つとして、今回の出張のために作ったオランダ語のみでオランダ人とコミュニケーションするためのアカウントでのやりとりなどを紹介しました。
https://twitter.com/Murakami_Dutch/status/743369499538137088
僕には今のところオランダ移住などの目的はないので、もちろんこれは永続的に使い続けるアカウントではないのですが、日本語を勉強しているオランダ人を見つけて、オランダ語でコミュニケーションするというようなことは思い立ったらすぐその場で始められるぐらい簡単なことで、しかもそうしたコミュニケーションを通してどんどんオランダ語を覚えていくという例は示せたのではないかと思います。

その後はアンケートで前もっていただいていた質問に答える部分があって、すぐに4技能をどうやって伸ばすかという話になりました。

今回のワークショップのスライドは以下でご覧になることができます。冒頭で申し上げましたとおり、今回は録音はございませんが、ご容赦ください。



そして冒険は続く。

【参考資料】
リヒテルズ 直子 「オランダの個別教育はなぜ成功したのか」 http://amzn.to/28WmBID
紺野登 「幸せな小国オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会 (PHP新書) 」 http://amzn.to/28Wmmxu
両国の一人あたりGDPの推移をグラフにしました。https://goo.gl/UCvr6h

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posted by 村上吉文 at 23:03 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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