2007年06月02日

海外の生産工場で従業員の日本語力を測定する方法

先日、国際交流基金の専門家の帰国報告会にお邪魔したのですが、日本語教育の業界だけでなく、産業界の方も会場にみえていました。

三月の学会シンポジウムでも感じたのですが、こういう機会は日本語教育専門の方とはまったくことなる視点からのご提案の受けることも多く、非常に参考になります。そして、今回も新鮮な提言だったのではないかと思います。

というのは、日本語能力試験の五級を創設してはどうかというご提案があったのです。

お話を聞いてみると、在外日系企業の生産工場などでは、あまり読み書きの必要はないが口頭能力は必要な労働力が大量に雇用されているとのことなのです。このあたり、実は私も二十年程前に海外で皿洗いなどをしていたことがあり、必ずしも読み書きの必要でない労働力が必要とされているというのも実感できます。上司の指示通りに動くには、指示を理解し問題が起きたらそれを報告する必要はあるが、報告書を書いたりする必要はない。そういう人材は確かに大量に育成されていることでしょう。

念のため、国際研修協力機構の日本語教育機関などがあることもご紹介しましたが、ああいう日本へ行って働く人限定のものではなく、現地の生産工場で活躍する人材を育成する必要があるのだそうです。本来はこの研修制度もそういうものだったはずなのですけど、今では労働力の輸入でしかないことが、ここでも浮き彫りになっていました。

ただ、口頭能力の評価は、現行の日本語能力試験の実施体制では難しいと思います。この点は、先日の日本語教育学会の試験改訂に関する中間発表で、主宰者が明言していましたから、少なくともここ十年近くは実現しないでしょう。

では、解決策はないのでしょうか。

私はそうは思いません。

なぜなら、口頭でのコミュニケーション能力を測る尺度としてはすでにOPIがあり、そして「世界はフラット」だからです。

現地とOPIテスターをネットで結ぶ技術的なインフラは、少なくとも日系企業の工場があるようなところに限定すれば、既に整っているはずです。オンラインでOPIを行えば、今では簡単に現地作業員の日本語口頭能力を客観的に評価することができます。

実際に、日本OPI学会では、国内に限定すればテスターの派遣を行っています。

参考:日本OPI学会「テスターの派遣」
http://opi.jp/katsudo/haken.html

この「派遣先」を国内の本社に指定して、そこから現地工場をネットで結び、オンラインでOPIを行えば、上記の産業界のニーズには応えることができるのではないでしょうか。

日本OPI学会がやらないのでしたら、もっと現地生産工場に特化したようなシラバスでOPI形式のオンライン試験をすれば、ビジネスになるかもしれませんね。少なくとも、先日のお話を聞いた限りでは需要はかなりあるようです。

なお、OPIの評価基準は以下のようになっています。
 超級:裏付けのある意見を述べたり、仮説を立てたりすることによって、具体的な話題も抽象的な話題も議論できる。フォーマル・インフォーマルな場面に言語的に対処できる。
 上級:過去・現在・未来の時制を使って、詳しい描写・叙述ができる。複雑な状況に対処できる。
 中級:質問をしたり、質問に答えたりするという自発性があり、簡単な対面型の会話が維持できる。目標言語文化の中でサバイバルできるレベルである。 
 初級:主に単語・語句・暗記した文に頼り、自発性はない。サバイバルできないレベルである。http://opi.jp/shiryo/jugyoni/j_02.html


OPIに関しては、こちらの資料も参考になります。
posted by 村上吉文 at 07:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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