2016年03月30日

中成堂歯科医院に見る教育の未来

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス


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冒険家の皆さん、今日も防風ゴーグルを磨いていますか?

昨日、川越の中成堂歯科医院という歯医者さんに行ってきました。ここは川越に住んでいた時からお世話になっている歯医者さんで、行くたびに「プロだなあ」と思わせてくれるところなので、そこから何が学べるかを考えてみました。

建物 庭
この歯科医院は、まず外見からして普通の歯医者さんじゃないんですよね。「かわごえ都市景観デザイン賞」を受賞している大正時代の洋風建築で、その後2002年に外装も内装もリニューアルして、今では治療台の前の壁が全面ガラス張りになっていて、みどりの豊かな庭が見えるようになっています。
まあ、こういうところは教育機関や教師が簡単に取り入れることはできませんが、少なくとも外見が第一印象として大切なメッセージになってしまうということは念頭に置いておきたいですね。日本語教師の例としては、メイド服やアオザイやいろいろなコスチュームを揃えている「ぽぷら先生」が参考になるかもしれません。ちなみに僕も冒険家のクラスではインディー・ジョーンズっぽい服を着ています。でも、ホテルみたいな内装の日本語学校とかあったら、いいですよねー。多分ないだろうけど。

レントゲン写真
アンティークな廊下を通って治療台に案内されると、モニターには僕のレントゲン写真が表示されています。別にその写真を見ながら何か説明するわけでは全くないのですが、少なくとも「あなたのこれまでのカルテを見た上で治療しますよ」というメッセージにはなっていますよね。
従来の一斉授業の場合は別ですが、自律学習のクラスの場合は学習者一人ひとりと話すときに、相手の学習ログを開いて話すといいかもしれません。これまであまりやっていませんでしたが、今度からやってみようと思います。
(いま思ったんですが、このレントゲン写真は患者ではなく歯科医師や歯科衛生士が治療するときに見る必要があるのかも知れません。医療のことはまったく分かりませんが、教員にとっても学習者のデータが手元にある方がいろいろ判断できていいですよね)

歯垢染色剤?
実は僕は虫歯ではなくて「歯周病の治療」ということでこの歯科医院にほぼ一年に一度のペースで通っているのですが、日本歯周病学会のウェブサイトによると、歯周病の原因は「歯の磨き残しから歯に付着するプラーク(プラークバイオフィルム)と呼ばれるもの」だそうです。要するに年に一度の通院だけでどうにかなるようなものではないんですよね。それで、治療の最初にするのは、青い薬を歯に塗って、磨き残しを目視することです。薬を塗ってからうがいをすると、磨きの残しのあるところだけ青く色が残るのです。いまネットで検索してみたら、「歯垢染色剤」というものかもしれません。市販もされているようです。そして、その磨き残しの状況を歯科医が見て僕に伝えるのではなく、LEDライトが付属した手鏡で僕自身が自分の目で口の中を見て確認するのです。
さて、これは教育の現場に置き換えてみると、評価ということですよね。特に学習習慣の評価と言えそうです。これは僕もいろいろ考えているところで、最近までデジタルバッジというものを教師である僕が発行して評価していたのですが、今学期からは学習者自身が作成した学習計画に基づいたそれぞれ違う内容のGoogleフォームを毎日メールで送って、回答してもらっています。これは参考資料の「就寝前の振り返りフォーム」で見れば分かる通り、時にモバイルユーザーにとっては非常に敷居の低い振り返り方法です。「した」「しなかった」のどちらかをタップして送信ボタンを押すだけですから。

磨き方の指導 一緒に磨き、効果を見せる
次に、上記のLEDライト付きの手鏡を僕に持たせたまま、歯科衛生士の方が磨き方の指導をします。この時、口で「こうしてください」というのではなく、実際に歯科衛生士の方が歯ブラシを使って青く染まった歯垢を落としていきます。といっても、ポイントごとに「ここは毛先でこうやって縦に磨くときれいになりますよ」などと言葉でもちゃんと教えてくれます。
これは教育の現場で考えてみると、学習習慣の問題点の改善方法の紹介(実演)ということができるかもしれませんね。これに関しては、このブログでも何度も紹介しているウィル・リチャードソンの「From Master Teacher to Master Learner (Solutions)」に詳しいですが、自分自身の学習方法を見せるということが教師の役割として非常に大事になってくるのではないかと思います。特に、学習ログで明らかになっている問題点について「僕はこうやって勉強していますよ」と見せられれば最高ですね。ただし、学習者個人の認知スタイルなどにはもちろん充分に敬意を払う必要はあります。

個人では磨けないところの治療 専門器具の利用
最後に、普通の歯ブラシではなく、歯科医院の専門的な機械を使って歯垢の除去を行います。実は昨年は仕事の日程の都合で一時帰国できなかったので歯に茶渋のような着色があったのですが、これもほとんど消えていてびっくりしました。年齢のせいかと思っていたらそうじゃないんですね。これは本当に自分の歯磨きだけでは同しようもないと思っていたので、嬉しかったです。
ここがいちばん専門家に会ってよかったと思える部分なのですが、実はこれに関しては教育機関はなかなか対応できないかもしれません。というのも、学習というのは目で見えて手で触れることのできる歯の治療と違って脳の中で行われる過程なので、最新機器でどうにかするわけにもいきませんし、おまけに教育機関にはそういう設備投資のできるところはなかなかないからです。まあ、僕の勤務先では学習者の分だけiPadがあってディクテーションなどを文字入力でやったりしていますが、それも別に教育の専門機関でなければ触れることのできない専門設備というわけではありません。敢えて言えば日本語の蔵書がたくさんありますが、実はこれも図書館の会員になれば誰でも借りることができるものばかりです。

ということで、近い将来の自律学習の形としてこんな感じのものがあってもいいのじゃないかと思いますがいかがでしょうか。
・1ヶ月に1度ぐらい、1対1で学習コンサルタント(もしくは教員)と面談する。
・会場はホテルのような上質な内装。
・面談の前に学習者が毎日つけている学習ログに教員は目を通しておく。
・ビッグデータに基づき、学習者の目的に比べて現状がどうなのかを確認する。
・改善すべき点の学習方法を教師が提案し、目の前で実演してみせる。
・次の面談日までどのような学習をするかの計画を教員と一緒に作成。

そして冒険は続く。

【参考資料】
ぽぷら先生(コスチュームなど)
https://www.instagram.com/imuyairom/

歯周病の予防 | 歯周病Q&A | 日本歯周病学会
http://www.perio.jp/qa/prevention/

歯垢染色剤
http://amzn.to/1WVDNim

むらログ: デジタルバッジ
http://mongolia.seesaa.net/article/404911319.html

むらログ: 2016年も冒険の旅を続けます。(就寝前の振り返りフォームの例)
http://mongolia.seesaa.net/article/432314441.html

Will Richardson 「From Master Teacher to Master Learner (Solutions)」
http://amzn.to/1SuX0q7


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posted by 村上吉文 at 13:08 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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