2016年03月06日

スロバキアの冒険家、ラドカさんインタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日もまくりあげたサファリシャツの袖を伸ばして、砂漠の砂を落としていますか。(これがけっこう面倒くさいんですよね)

さて、昨年11月に行われたスロバキアの日本語弁論大会で、学習期間に所属していないナゾの日本語学習者が優勝したときいたので、さっそくインタビューしてきました! ラドカさんという高校一年生です。

今までインタビューしてきた冒険家たちと違うところは、彼女は積極的に自津的な学びを目指した訳ではなく、「先生がいればもっと早く、もっとうまく出来ただろう」といっているところですね。それでも動画を見れば分かる通り、普通に日本語だけでコミュニケーションできるレベルなのですが。

また、自分の好きなコンテンツだけではなく、自分の学習スタイルをはっきり認識していて、それを意識した学習計画を立てているというところも特徴的です。彼女の場合は典型的な聴覚優位者(VAKでいうところのA)で、教科書はほとんど使っていないそうです。

そして、本人は自覚しているかどうかわかりませんが、それが「教師に求める役割」にも色濃く反映しています。彼女は「先生には読み書きを教えてほしい」と言っていますが、それは本人が聴覚優位者で聞き取りなどには苦労していないことが関係しているのではないでしょうか。つまり一般論としては、「学習者が認知スタイルや学習スタイルに偏りが見られるとき、教師はその弱点になる部分をサポートすべき」というようなことが言えるかもしれません。もちろん、本人がそれを必要としていれば、ですが。今回のラドカさんは漢字の勉強を始めていますが、そもそも読み書きの必要性を認めていない場合は、もちろん、そこに教師の出番はありません。

僕にとって非常に印象的だったのは、動画の33分辺りからです。「大切なのは好きなことを見つけることで、教科書に出てくる順番なんてどうでもいい」と言い切っているところです。実は僕自身も自律学習のコースで漢字を学び始めたばかりの歴史好きな高校生が「帝(みかど)」とか書いているのを見ると、つい「いやもっと初歩的な漢字から・・・」と口から出そうになるのですが、やっぱり本人の情熱を尊重することが大切なんですよね。

オリジナルのインタビューは35分ほどありますが、以下に主な点を抜き出してみました。これは文字おこしではないので、正確な発言を知りたい方は、動画をご覧ください。

【ラドカさんってどんな人?】
スロバキアの首都から自動車で3時間の街に住んでいる。
日本語の学校はこの街にない。
高校の一年生。
昨年11月のスロバキア日本語スピーチコンテストの中級の部で優勝した。大学で日本語を勉強できるのは首都だけだから、参加者はあまり多くなかった。上級で優勝したら日本にいけるが私は中級なので行けない。来年も参加したい。
上級で優勝した人も大学ではなくて自分で勉強している人だった。
私も大学で日本語を勉強したいけど、コメニウス大学では2年か3年に一度しか日本語の新入生を募集しないので、勉強できそうにない。

【日本語を勉強しようと思ったきっかけは?】
アニメがきっかけだった。
今ならたくさんあるが、ナルトとかワンピースとか。
勉強をしようと思った時はナルトだった。その時は日本のアニメだとは思っていなかった。アメリカのものだと思った。英語を勉強するためにアニメを探していたところだった。英語じゃなかったので驚いて調べて、日本語だということがわかった。そして、日本語の音が好きになった。それは13歳ぐらいのとき。

【日本語の勉強を始めて、最初にしたことは?】
日本語学校は探しもしなかった。
別の町に日本語学校があるのは知っていたが、怖かった。
最初は話すのだけ勉強しようと思っていたが、だんだん読んだり書いたりするのも興味を持った。
ウェブで調べて日本語の文字に三種類あるのを知った。
漢字を勉強し始めたのはこの一年ぐらいだけ。
最初はひらがなだけで何でも書けるので漢字はいらないと思っていた。
漢字を勉強するサイトは有料のサイトもあるが、自分は無料のサイトだけ使った。
今は有料のものでいいと思っているが、当時は日本語がどんな言語なのかを知りたいという段階だったので、無料のものしか見なかった。

【冒険の仲間は?】
二年ぐらい一人で勉強していたらお母さんが新しい仕事を見つけて、その仕事の先輩の奥さんが日本人だとわかって、一週間に2回会っている。
ある意味で先生だが、教科書などは持っていない。こちらが質問をしたら教えてくれるが、プロの日本語教師ではない。
いっしょに勉強するスロバキア人の友だちはいない。日本語を勉強するというと、みんな「ええっ!」と驚かれる。ここは日本とはあまり縁がないので。30万人の町だけど、アジア人はほとんどいない。中国人の店もあるけど、もともとスロバキアで生まれた人なのでスロバキア語が上手。
ネットでは日本人と話たりすることもある。何かの国際大会があって、その手伝いをした時に、日本チームの人と知り合って、今でもFacebookでつきあいがある。何の大会だったのかはよく分からない。

【冒険の地図は?】
日本人の方は「みんなの日本語」という本を一緒に見たことはあるが、教科書的には使っていない。自分は聞くことで勉強するタイプなので、教科書よりもアニメなどで勉強している。文法なども聞くことだけで勉強できる。でも、敬語などはアニメなどに出てこないので、勉強しにくい。

【そんな装備で大丈夫か?】
クリスマスにAnkidroidというアプリを見つけた。漢字の勉強は大変だったが、これはいつでも勉強できるのでとても便利。
Duolingoもインストールした。Duolingoでは英語で日本語を勉強している。Duiolingoは日本語の勉強を始めてからしばらくたって使い始めた。今でも語彙はまだ勉強になるところがある。
日本語の勉強に英語は必要。アニメの字幕などもほとんど英語ばかり。ドイツ語も探したけどほとんどない。
自分にとってはスロバキア語が一番使えるが、外国語なら英語。英語の次はドイツ語か日本語。普通の会話だったら日本語でも使えるが敬語がまだよく分からない。
Lang-8やHiNativeは聞いたことがない。

【モンスターは?】
日本語を勉強していて、困ることは敬語と漢字。
敬語はアニメに出てこないので勉強できない。
こちらで会う日本人も敬語を使う関係ではないので。
漢字は練習するだけだから心配していないが、まだ勉強を始めたばかりだから難しい。
漢字を手で書く練習はしていない。基本的にキーボードで入力しているから。

【冒険にかける情熱はどこから来る?】
日本語がとっても好きになったからかなあ。
今はアニメがなくても日本語を勉強し続けたい。
日本語を聞いたりするのが好き。
漢字も別の文化の文字なので興味深い。
最初はアニメだったけど、今は日本語そのものに興味がある。

【外国語教師はもう必要ないと思いますか?】
先生がいればもっと早く、もっとうまく出来たと思う。
自分の街には日本語の先生がいなかったら、他に方法がなかった。
先生がいたら、書いたり読んだりする練習を一緒にしてほしい。
聞く練習はアニメでできるから。
こういう本(「10分で読めるお話 二年生」)がもっとほしい。
外国人用のこういう本をもっと読みたい。
(村上が日本語多読研究会の多読シリーズのレベル1とレベル4を紹介)
スロバキアでは手に入らないかもしれませんね。
(スロバキアの日本センターにあることがその後判明)
そういう勉強方法のアドバイスするのも先生の仕事として必要。

【他の冒険家にアドバイスをお願いします】
私にとってはたくさん聞くこと。
アニメでもニュースでも、耳で聞いて勝手に勉強しちゃう。「勉強しよう」という覚悟もいらない。
番組のテロップもいい。
興味がない人は難しい。興味を持っている人しかできない。
日本語は文化とすごく結びついているので、文化への興味も重要。
イギリスとかドイツはそんなにスロバキアと違わないが、日本はすごく違うから。
あとは、何か自分の好きなことを見つけること。
例えば私は日本語の音楽が好きなので、インターネットで歌詞などをさがした。英語にもなっている。
私は本ではあまり勉強しない。それぞれのレベルで勉強する漢字の順序があることはしているが、私はそれはどうでもいいことだと思っている。自分の興味のある漢字を書きたいと思っている。
普通の日本人が使う普通の漢字を私は知らないかもしれないが、「攻撃」などの漢字は書くことができる。アニメや漫画のためだ。だから、自分にとって大切なことを見つけること。
学校で勉強すると、このレベルの漢字は必要だと決まっているが、一人で勉強するときはそうだ。普通の学校で勉強する以上の漢字も、好きなら同じように勉強していいと思う。


そして冒険は続く。

【参考資料】
スロバキアの冒険家、ラドカさんインタビュー! - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=aeW9I3AO2f0

AnkiDroid 単語帳 - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ichi2.anki

Duolingo | 英語を無料で学ぼう - Google Play の Android アプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.duolingo

【これまでの冒険家インタビュー】
むらログ: カタロニアの冒険家インタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/434388217.html

JFBP公式YouTubeチャンネル「ポーランドの冒険家インタビュー!」
https://www.youtube.com/watch?v=eTSGBQRiGHI

むらログ: アメリカの冒険家、ケンさんインタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/431589604.html

むらログ: オランダの冒険家インタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/421077871.html

第2回オンライン日本語教師研修 :「豊かな時代における教師の役割 〜日本語教師不要説」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tCoYU2x3Gjo



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posted by 村上吉文 at 01:21 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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