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2015年12月23日

アメリカの冒険家、ケンさんインタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス



https://youtu.be/_yWxtl37f9w

冒険家の皆さん、今日も帆船の帆柱の上で大ダコと戦っていますか。

さて、すでにTwitterやFacebookでご覧になった方もいらっしゃるかとは思いますが、昨夜(日本時間では今朝)、アメリカの冒険家、ケンさんにインタビューを行いました。

ケンさんの話を聞いていて、他の独習者と違うなあと思ったことは、その学習動機がAKBなどの日本のアイドルだったということです。考えてみると、アニメなどではどれだけ思い入れがあっても作品のほとんどはフィクションですから登場人物に実際に会うことはできないわけですが、AKBは「会いにいけるアイドル」がコンセプトですから、「相手に会って日本語で話す」ということができるわけです。これは少なくとも日本語学習の動機としてはアニメとはぜんぜん違う効果が期待できそうですよね。

そういえば時代はさらに先を行っていて、最近は一緒に勉強もできるアイドルもいるとか。
「会いに行けるアイドル」を越えた?!「一緒に自習ができるアイドル」StudyStars
http://studyhacker.net/columns/studystars


閑話休題。彼にかぎらず、冒険家、すなわちソーシャル・メディアを使って自律的に語学を学習する人たちの中の成功者の多くは、自分の情熱と日本語学習をスムーズに繋げる方法を見つけているということです。

たとえばケンさんの場合は、
・アイドルが好き。
・アイドルの動画には字幕がないがテロップがある。
・テロップは画像や動画ファイルなので、そのままでは辞書が引けない。
・それを手書き文字認識ソフト(TrackPad HandWriting)でテキストデータ化し、辞書を利用。
・Ankiに入れて復習。
というような流れですね。まあ、こうして書いてみたらそれほど驚かないかもしれませんが、実はこうしたプロセスの断片の一つ一つは知っていても、それをつなぐというところまで思いつけないことは、僕自身のハンガリー語学習のことを思い出してもよくあります。やってみると「どうして今までこんな簡単なことを思いつかなかったんだろう」と思ったりするのですが。

詳しくは上の動画を見てもらえればいいのですが、全部見ている時間がない人のために、以下に要点を羅列してあります。

日本のアニメを見ているときは、それほど日本語を勉強しようとは思わなかったが、2009年に見たアニメの主題歌「制服もってけ」の「制服」をYouTubeで検索してみたら、一番目の動画がAKBの動画で、それからアイドルに興味を持ち始めた。アイドルには握手会とかチェキ会というのがあって、そこでアイドルと日本語で話したかった。サンフランシスコに板見友美さんが来てお渡し会で写真を撮ってもらったこともある。
最初は高校生の時に自分で独学で勉強した。大学で一学期だけ勉強して、その後、独学に戻った。
高校の時は教科書も買ったけどAKBなどの出てくるバラエティなどを見た。一番最初の教科書はJapanese For Busy People。学校の図書館で借りた。最後まで勉強したわけじゃなくて、日本語はどんな言語なのかをちょっと覗いみてみたかっただけ。
その後はJapanese sentence pattern for effective communication。レビューが高かったのでAmazonで買った。
高校生の時はFacebookやTwitterじゃなくてLang-8で日本人の友達に出会った。彼の英語も直してあげた。彼もAKBが好きだったので、今でも連絡を取っている。
AKBのファンクラブには入っていない。入るには日本の住所が必要なので入ることができない。もしアメリカの住所でもよかったら入る。
大学の授業は簡単すぎた。もっと上の授業を取りたいと言って、その場でプレースメントテストも受けさせてもらって、自分にふさわしいというクラスに入れてもらったが、それでも簡単すぎた。でも、授業を受けたことはなかったのでいい経験になった。その前は先生がいなくて自分で勉強するだけだったので、教えてくれるのはよかった。
大学時代、その学期のあとでも独学でもっと上のレベルを勉強した。勉強の仕方を一言で言うのは難しい。いろいろな方法を使ったので。
独学の時は手書きは必要なかったが、授業では手書きも教わった。自分で勉強するときはアプリなどで入力したが手では書かなかった。
中国の漢字はぜんぜん知らなかった。漢字の勉強方法はよく質問されるが、実は自分は漢字は勉強しなかった。と言っても漢字の読み書きができないわけではない。漢字だけの特別な勉強はしなかっただけ。毎日単語を30個覚えていったので、そのうち漢字も分かるようになった。
言葉を覚えるのはAnkiというアプリを使った。外国語学習者には有名。Ankiの単語リストは自分で作った。他の人のを利用していない。バラエティのテロップに出てくる言葉をAnkiのデッキに入れて、勉強したあとで同じ番組を見直すと勉強になる。英語の番組にテロップがあったら英語を勉強している日本人にも役に立つだろう。
AKBのファンのオンラインコミュニティに日本語でコミュニティに日本語で書き込んだりすることもある。
話す練習は特にしないで、いつの間にか話せるようになっていた。大学の時に日本人留学生のチューターのセッションがあって、毎日行っていた。その時はあまり話せなかったけど、周りの日本語を聞いて、こういう時はこう言うんだな、と思った。
日本語学習者の友だちはいちおういるけど、ニューヨークには1人ぐらいしかいない。アメリカ全体には日本語を勉強している友だちはいる。みんなアイドルが好きな人。そういう人たちとは実際に会うこともあるが、いろんなSNSで連絡を取っている。
AKBのファンの日本人の友達もいる。大学の時に留学してきていた日本人。スカイプで知り合った日本人もいる。掲示板があって、英語のパートナーを探しているという人。英語を勉強している人で、言語交換が目的だった。
外国語教師の役割はある。むしろ大歓迎。たとえば間違えたらその場で直すとか。Lang-8は書いた文章だけだけど、話す方を直してくれる人は、まだあまりいない。自分で直さなければいけないから、直してくれたらあまり大変にならない。
日本語学習を諦めてしまう人へのアドバイスとしては「アイドルにハマっちゃえ!」。諦めてしまうのは目的がなかったりするから。僕はアイドルが好きで握手会で話したくて勉強したので。アイドル自体も楽しいし、番組で何をしているかも理解したいし。
勉強方法としてメインだったのは、テロップの単語を復習することだった。具体的に見せたい。個人的に日本語を勉強する人が漢字で引っかかるのが残念。自分は書き順などは最初から気にしていなかった。パソコンやスマホで使うのが中心だった。でも手で書くのも必要。手で書くと調べやすいから。(村上註:あとを見れば分かる通り、テロップを見てパソコンで手書き入力するのに便利ということ)
漢字一つ一つの意味とか読み方は勉強しなかったが、書き順は勉強した。構造を学ぶためではなくて、IME(日本語入力)で入力して探すときに必要だから。画面を見せて説明したほうが分かりやすい。(39:40)
僕が日本語を何も分からないとする。どうやって調べるかというと、辞書は何でもいいけど、ここでは「Tagaini Jisho」という辞書を使う。マックには「Trackpad Handwriting」という機能がある。それをオンにしたら、漢字などが書ける。それで手書きでインプットすると、漢字が表示されて辞書などが引ける。自分が勉強していたのは基本的にこれだけ。文法だと普通の教科書も読んだけど。
アイドルが話した言葉もそのままテロップになることがあるので、それも勉強に使った。
アメリカには同窓会というAKBなどのファンクラブはあるが、そんなに大勢はいない。友だちにこういう勉強方法を教えたけど、なぜか途中でやめてしまう。
ソフトで手書きの字を書けるという機能があることを他の日本語学習者から聞いて、テロップで勉強する方法がひらめいた。
自分がAKBで一番好きなのは加藤玲奈。彼女についての日本語での記事も読んだりする。英語の記事も時々ある。アニメの場合はどんな知られていないアニメでも必ずファンサブがあるが、アイドル界ではそういうのがないので、日本語がわからなくても、英語の字幕なしに日本語でそのまま見ている。
日本には今回初めて来た。実際に来ても、想像と違うことはあまりなかった。小さいことだが、羽田についた時に途中で学校の宣伝か何かで、制服を着ている女の子がいて、「ああ、日本に来たなあ」と思った。あとは部屋の天井が低いのも日本らしい。
JLPTはN2を2年前に一発で取った。
日本語の勉強は、当時はとにかく疲れて勉強できなくなるまで勉強した。毎日、番組を見ていた。やっぱり時間が必要。そのとき高校のシニア(最上級生)で時間があいてるので勉強ができた。一日10時間ぐらい日本語に触れていた。イマージョンだった。例えば今も携帯は英語に設定している。
アイドルが自分で書いているブログなども見ている。あまり訳してくれる人がいないから、それを全部日本語で読むしかないので。Google翻訳は当てにならないのでぜんぜん使わない。最初からぜんぜん使わなかった。訳が分からない変な結果が出たりするので。
今は日本語の能力が低迷している。ビジネス的な会話もしたいので、日本語の学校に通おうかなと思っている。そういう時は先生が必要になると思う。それから単に日本に行きたいから、そういうレベルまで行きたいと思っている。仕事は日本とは関係ないことをしている。


そして冒険は続く。

【参考資料】
むらログ: オランダの冒険家インタビュー!
http://mongolia.seesaa.net/article/421077871.html

第2回オンライン日本語教師研修 :「豊かな時代における教師の役割 〜日本語教師不要説」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tCoYU2x3Gjo


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posted by 村上吉文 at 22:08 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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