2007年05月25日

日本語教材にする映画の選び方

さて、javascriptの勉強が飽きてきたので、久しぶりに映画日本語教育のエントリーです。今回は、題材にする映画の選び方です。

私がポイントにしているのは以下の三点です。
1.私が好きなもの。
2.学習者が好きなもの
3.言語外情報が豊富なもの

まず、一点目については、映画を教材にするのには以前のエントリーに書いたように、かなり手間がかかります。その手間をかけるには、やはり自分が楽しめないと、どうしても最後まで続けられません。いま某大学で使っている「有頂天ホテル」も、文字おこしをしながら「ぎゃははは」とか笑っていますが、仕事だと割り切っていたら、かなり重労働で学期末までエネルギーがもたないのではないでしょうか。

まあ、お気軽に教室で映画を流すだけならどんなのでもいいんですが、それを学習に結びつけるとなると、やはり自分も思い入れのある、手間ひまかけられるものがいいと思います。

二点目が、「そうは言っても学生の好みも考えなきゃね」というところです。実は私は昨日、衝動買いしてしまった本があります。それがこれ。

かなり意訳っぽいので、あまり勉強にはならないかもしれませんが、私の世代の人間には娯楽の本としてもおすすめできます。
「坊やだからさ」
「二度もぶった! おやじにもぶたれたことないのに!」
「アムロ、ガンダム発進します!」
・・・なんてのが、みんな英語になってます。笑える。

これに関しては、橋本大也さんも似たようなことを書いていますね。
実は先生の実力はどうでもよいのだ。先生と教材に憧れることができたのが、私にとっては最上の教育だったのだと思う。憧れたから与えられたものを盲目的に学ぶことができた。http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004960.html

このエントリーは『教育力』という本の書評なのですが、本とは離れてご自身の経験として、教材への憧れを記しています(主旨は教師への憧れなのですが)。なお、この書評自体が教育に関わる者にとっては、かなり心を動かされる内容になっていますので、ぜひご一読ください。やっぱり、こういう書評がかけるということがアルファブロガーたる所以なのでしょうね。

閑話休題。

私も、これは映画じゃなくてドラマでしたが、以前、モンゴルで「夏子の酒」という作品を使ったことがあります。その前の学期で「東京ラブストーリー」を使って大好評だったので、二匹目のドジョウを狙ったのですが、これが大コケでした。というのも、あのドラマの大部分は珍しい米を栽培するシーンなのですが、遊牧民族の文化では、まったく感動できるものではなかったのです。ものすごく大変な苦労をした結果、最後の方で幻の米が稲穂をたれるシーンなんて、今でもジーンとしてしまうほど感動的なのですが、それはやはり農耕民族の血なのであって、遊牧民族の血には何も訴えてくれません。それで学んだことが「相手の基準でも面白いかどうか」です。お分かりかと思いますが、これは単に好きか嫌いかというだけではなくて、異文化理解の面もかなり重要な材料になりますので、そう簡単な判断ではありません。

実を言うと、今使っている有頂天ホテルでも、松たか子が外国人のまねをするシーンがあって、ちょっと扱いに悩んでいます。

三点目の「言語外情報が豊富なもの」に関しては、二点目の「学習者の好み」にかなり重なる部分もあるのですが、登場人物が座って会議をしているだけのような場面は、やはり飽きられてしまうことが多いです。今使っている「有頂天ホテル」でも、チャプター3の総支配人室での打ち合わせのシーンは、敬語の使い方、ストーリー上の伏線などもあって取り上げてみたのですが、ちょっと退屈そうな顔の学生もいました。

この点は、もしかしたら映画を使うことで、エンターテイメントとしての期待を持ちすぎてしまうという可能性も考慮しなければならないかもしれません。

また、せっかく映画を使うのですから、映像でしか紹介できないよう情報が含まれていることが望ましいでしょう。見せた後で「あそこにあったあれは何だったのか」と意外なことを質問してくる学生もいます。

最近の映画では「眉山」なんかも、けっこういいかもしれませんね。阿波踊りのシーンがクライマックスで登場するそうです。


さて、映画を使うことは前述のガンダムを見ても分かると思いますが、日本語教育だけでなく英語教育の世界でも旺盛に行われているようです。先日は、前にもご紹介した映画英語教育学会の大会があったようですね。
http://www.atem.org/
大会テーマ「映画を使って文化の壁を破る」
名称 映画英語教育学会 第13回大会
主催映画英語教育学会
(The Association for Teaching English Through Movies)
日時 2007年5月19日(土)午前9時30分〜午後5時40分
会場 琉球大学千原キャンパス(法文学部新棟)
沖縄県中頭郡西原町字

ご参加になった方がいらっしゃいましたら、ぜひご感想を教えてください。

ネット上では、こんな資料もあります。

「映画で行う英語学習 (異文化コミュニケーション/鈴木)」
http://bbiq-mbs.jp/blog/suzuki/post_138.php

同エントリーのポッドキャスティング用のMP3ファイル
http://bbiq-mbs.jp/podcast/mbs070416.mp3

その他に、出版物としては多種多様な物が世に出ているようです。


【このブログで関連するエントリー】
映画を使った日本語教育
http://mongolia.seesaa.net/article/39429303.html

映画日本語教材の作り方
http://mongolia.seesaa.net/article/40487700.html

映画で学ぶ日本語 パワーポイント教材
http://mongolia.seesaa.net/article/39528289.html

映画と日本語学習とweb2.0
http://mongolia.seesaa.net/article/38672574.html

秀丸エディターのアウトライン機能
http://mongolia.seesaa.net/article/40734068.html
posted by 村上吉文 at 08:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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