2007年05月20日

フラット化する世界は孤立環境下の日本語学習者を救うか。

先日のエントリー「「その他の地域」の日本語教育の問題点」で「明日のエントリーでは、そういうことを書いてみようと思います。」と予告しておきながら、昨日は別のことを書いてしまいました。

で、今日こそは「その他の地域」で孤立している学習者の件です。
前回の記事では
ただ、もしかしたら「フラット化する世界」に象徴される技術の進歩と、それを応用したサービスの多様化により、もしかしたら近い将来、この問題は解決されるかもしれません。
と書きました。

というのも、mixiやスカイプさえ使うことができれば、海外からでも簡単に日本に住んでいる日本人とコミュニケーションすることができるからです。具体的な数字をあげてみましょう。先日の論文の舞台となっているウズベキスタンと、帰国報告会をなさった荒川さんのカザフスタンを例にとってみます。

まず、mixiでは住んでいる地域で人を検索することができます。これをウズベキスタンやカザフスタンに指定してみると、こんな数字が出てきます。

現住所「ウズベキスタン」検索結果 : 237人。
現住所「カザフスタン」での検索結果 : 67人。

まあ、これはカザフ人やウスベク人を多く含みますから、どちらかというと日本でカザフ語を学んでいる人向けの数字ですね(ただ、現地でもユーザーがいるということは、その環境が整っているということも意味しています)。では、日本にいる人を中心に見るために、今度は特定の地域をトピックにしたコミュニティを見てみましょう。

たとえばコミュニティを「ウズベキスタン」で検索してみると158も見つけることができます。
その中でも、その名も「ウズベキスタン」というコミュニティは678人ものメンバーがいます。そのほとんどは日本に住んでいる日本人です。

コミュニティ名 ウズベキスタン
メンバー数 678人
http://mixi.jp/view_community.pl?id=52557


同じく、カザフスタンのコミュニティを見てみましょう。
コミュニティ名 カザフスタン
メンバー数 272人
http://mixi.jp/view_community.pl?id=346326


これだけの人がいれば、日本語でしかコミュニケーションできない状況を学習者に提供するのも、あまり難しいことではないのかもしれません。しかも、相手は自分の国に興味を持っている日本人です。孤立環境下にあって日本語を使う機会のない学習者と、その国に興味があって、まだ一度もその国の人とコミュニケーションをしたことがない日本人だったら、最高の組み合わせだと思いませんか? そして、それを実現する場(SNS)は、今の時代なら簡単に提供できるのです。私が日本語教育に関わり始めた頃には、まったく想像もできなかったことですよね。

また、スカイプというソフトもあります。
これはユーザー同士が無料で音声通話(要するに電話ですね)ができる機能で有名ですが、それ以上に面白いのが「スカイプミー」というモードです。このモードを使っている人には、何の用事もなくても電話をかけていいのです。スカイプの説明から引用してみますね。
SkypeMe mode allows everyone else on Skype know that you are available and interested in talking or chatting. This includes people who you do not know or you have not authorized but who can find you by searching the Skype directory.
検索条件の「言語」の欄を日本語にして、スカイプモードになっている人(つまり、こちらから日本語で話しかけてもいい人)を検索しているみると、現在、朝の五時二十分ですが、こんな時間でも二人見つかりました。昨日の朝の八時半では13人でした。つまり、時差のある地域でも、だいたい話し相手を見つけることは可能なのではないかと思います。

しかし、知らない人にいきなり話しかけるのは勇気がいりますよね。しかも、mixiの例と違って、相手が自分の国のことをどう思っているのか、学習者は把握するすべがありません。スカイプを授業に取り入れるなら、何らかのタスクを達成することを目標にすればいいと思います。例えば「相手の日本人が自分の国についてどのくらい知っているか調べる」など。もし授業以外で日本語学習を支援しているのなら、「相手の画像を送ってもらえるか」「メールアドレスを聞き出せるか」などの目標があっても面白いかもしれませんね。

もちろん、中には「そんなことできない」というシャイな学生さんもいるでしょう。その場合は、スカイプを前述のmixiと組み合わせる方法もあります。つまり、その国に興味あるmixiのコミュニティ上で、「スカイプで話しませんか」と呼びかけてみるのです。そうすれば誰かが反応してくれるでしょうし、相手が承認してくれれば「スカイプミー」モードになっていない人とも、音声通話できるようになります。つまり、はじめから自分の国に興味を持っていることが分かっている日本人と日本語の音声でコミュニケーションことができるのです。

スゴイ時代になってきたなあ。ちょっと前の「未来図」が、まさに手の届くところにあるんですねー。

「そうは言っても、やってみると、本当はいろいろあって不可能なんじゃない?」という人は、去年の大晦日に書いた「語学教育もオフショアの時代へ」をご一読してください。日本人にインターネットを使ってロシア語を教えるというサイトのご紹介ですが、先生のいる場所が実はキルギス共和国なのだというエントリーです。

これは、夢物語ではありません。既に実現しているビジネスなのです。
posted by 村上吉文 at 05:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本語hacks! | このエントリーをはてなブックマークに追加
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