2007年05月19日

「宗教・民族の視点で見る海外」受講録

昨日は、先日ご紹介した日本語教育学会の研修に参加してきました。受講者が9人しかいないことにびっくりしましたが、もうちょっと皆さん積極的に参加してもいいんじゃないでしょうか。

講師は高知工科大学国際交流センター長・教授の伴美喜子先生です。

さて、前半のマレーシア社会の概要の部分は、私にとってあまり新しい知識はなかったのですが、後半にいくつか面白い視点がありました。

その一つは、民族性の核は人種や宗教ではなく暦だ、という点です。

イスラム教を見れば、確かに多様な人種がいますよね。またイスラム系の場合は、使用するカレンダーが宗教と重なっているが、中華系でありながらイスラム教の人などもマレーには多くいるらしく、中華系=仏教、儒教ではないわけです。このあたり、「アラブとは何か」という議論を思い出しました。日本では一般にはあまりよく知られていませんが、実はレバノンやシリアなどに住むアラブ人の中には、伝統的にキリスト教を信仰している人たちもたくさんいます。レバノンだったかの海岸でビキニの水着を着ているアラブ人女性を見て、私の知人は驚愕していました。

面白かった点の二つ目は、グルメ指向への批判です。

私もサウジアラビアの日本語学習者が日本食に対してあまりにも消極的なのを嘆いたりしたこともありました。グルメであってほしいとは思っていませんでしたが、もう少し好奇心を持ってもいいのではないかと思ったのです。が、彼らからすると、欲望むきだしで、節制が足りないように思えるのかもしれません。

三点目は、かなり意外だったのですが、以下の点です。
多民族国家というのは効率はよくありません。
日本は国際化、国際化と言っていますが、それはそんなに簡単なことではありません。効率も落ちます。しないですむなら効率的なままの方がいいのではないでしょうか。

もちろん、価値観に違いがなければ、すべて「あうん」で運びますから効率はいいですよね。おそらく真意は「コストも時間もかかる覚悟をしなければならない」というご主張だと思うのですが、もしかしたら日本の多民族化、多文化化は回避することが可能だとお考えなのかなあ。こちらももうちょっと突っ込んで質問してみるべきでした。残念。

さて、感想は以上の三点ですが、三点目に関して、外国人政策研究所のブログに一昨日掲載されたばかりの記事、「外国人技能実習制度改革論」が興味深いのでご紹介しておきます。
厚生労働省、経済産業省の報告書は、構造的欠陥が明らかとなった外国人技能実習制度の温存を前提とする見直し案であり、論外だ。一方、長勢私案は外国人技能実習制度を廃止し、外国人労働者の受け入れに真っ正面から向き合ったものとして評価できる。http://blog.livedoor.jp/jipi/archives/50871749.html

人口増時代においては「定住防止型」の外国人政策にも一理あった。日本人の雇用に配慮する必要があったからだ。しかし、人口減時代の日本が採るべき外国人政策は「定住促進型」である。外国人が社会の一員として活躍できるよう速やかに法的地位の安定を図る政策が求められる。http://blog.livedoor.jp/jipi/archives/50871749.html

各省の報告書の概要を読んで、私自身もまさにこのように感じていました。

昨日、講師を務められた伴先生も、日本のこういった状況はよくごぞんじのことと思いますが、その上で「コストについてきちんと考えているのか、コストを支払う覚悟はあるのか」と疑問を投げかけられているのではないかと思います。
posted by 村上吉文 at 06:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加
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