2015年06月22日

オランダの冒険家インタビュー!

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス




冒険家の皆さん、今日も椰子の実をナタで割ってココナッツ・ジュースをグビグビ飲んでいますか?

さて、2月に職場のYouTubeチャンネルでマケドニアとエジプトの冒険家(新世代自律学習者)にオンラインでインタビューをしました(参考資料をご覧ください)。今回は僕の管轄外の地域だったので職場の教師研修という形はとっていませんが、僕の個人チャンネルでオランダの冒険家にインタビューをしました。

今回のインタビューの中でも、特に打ち合わせをしたわけでもないのですが、僕が冒険家メソッドとしておすすめしていることがいくつも出てきます。たとえば、以下のことなど。
・なるべく早い時点で日本語の母語話者とコミュニケーションすること
・最初にできるだけたくさんの教材に手を出して、自分にあったものを探すこと
・でも完璧な教材はないから、探し続けることに時間を費やしすぎないこと
・教師は知識のリソースである必要はなく、環境を作ったり刺激を与えたりする

その一方で、「同志」とか「同級生」にあたる他の日本語学習者の存在は、それほど重要視されなくなっているような印象も得ました。

それから、動機づけに関しては市川伸一のいう「学習方法の改善には内容関与的動機(内発的動機とは微妙に違う)が必要」という主張を裏付けるような発言も何度も出てきていますので、そちらを研究している人にとってもいい資料になるのではないかともいます。(参考資料の「学ぶ意欲の心理学」を参照ください)

さて、たいへん貴重な話を聞かせてもらったのですが、1時間近い動画を見る時間のない人のために、会話の要約を以下に掲載します。これは文字おこしではありませんので、正確な発言を知りたい人は必ず動画の方をご覧くださいませ。


Q:自己紹介をお願いします。
マールテン
19歳。高校生。5年前から趣味として日本語を勉強している。
フロリス
高校生。来年、滋賀県の高校に留学する。

Q:どうして日本語に興味を持ったか?
マールテン
言語そのものに興味があった。フランス語もドイツ語もダメだったが、言語を学ぶことは面白いと思った。アラビア語など、オランダ語とか英語とは違うものに興味があった。日本語は面白いと思った。勉強を始めたら日本語にハマった。それが4年前、15歳の時。アニメとか武道じゃなくて、日本語そのものに興味があった。
フロリス
子供向けの番組や本から影響を受けた。日本は不思議な国だったので、言語も習ってみたいと思った。ひらがなやかたかなは難しくなかった。一番影響を受けたのは16歳の時に村上春樹の小説をオランダ語で読んだ時。

Q:どうやって勉強を始めたか。
マールテン
やっぱりGoogle。「Learn Japanese」で検索して一番上に出てきたabout.comで勉強し始めたが、このサイトはあまり詳しくないので、おすすめしない。文法は「Learn Japanese Tae Kim」というサイトがおすすめ。
フロリス
最初はライデン大学のサイトを検索した。そのページでひらがなとかたかなを勉強した。その後は「Japanese for Busy People」で勉強した。とてもよかった。オランダの本屋のウェブショップで買った。ライデン大学の教室も見に行ったことはあるが、授業を受けたことはない。

Q:話すのはどうやって練習したか。
マールテン
むしろ1人で練習したほうが発音は良くなる。なぜなら教室では母語話者じゃない同級生の発音から影響を受けてしまうから。1人なら母語話者とだけ話すことが可能。当時、日本人の友達はマーストリヒトにはいなかったが、ソーシャル・メディアで探してスカイプで話した。探すのは簡単だった。Facebookを「learn japanese」で検索してグループに入って呼びかけた。英語を勉強したい日本人と言語交換した。1時間英語、1時間日本語で話す。
フロリス
最初はシャドーイングの本で練習した。その後はマールテンと同じように日本人と会話をした。googleで検索してフォーラムなどで連絡先を探した。英語と日本語の言語交換で連絡した。オランダ人にとって英語は似ているので難しくない。

Q:日本語を勉強した時間は?
マールテン
教科書を使って本格的に勉強する時間と、日本語を使う時間は別。勉強する時間は一日30分ぐらいだが、使う時間は3時間ぐらい。小説を読んだりスカイプしたりするのは使う時間。最初は2時間ぐらい勉強していたが、だんだん使う時間の方が長くなっていく。
フロリス
最初は毎週1時間だった。今も勉強は1時間ぐらいだが、それ以外に2時間ぐらい日本語を使って小説を読んだりしている。合わせて3時間ぐらい毎日日本語に触れている。

Q:モティベーションのために気をつけていたことは?
マールテン
最初2週間でひらがなとカタカナを勉強して、すぐにネットで日本人とやりとりを始めた。最初は英語がほとんどだったが。でも面白い会話ができなかった。それがもっと勉強しようというモティベーションにつながった。最初は分からないから楽しむのは難しい。そこは我慢するしかない。あとは日本の文化の好きなことを探してそれに関する語彙を学んだりした。日本人の友達と英語の中に日本語を交えて会話した。文法の前に語彙を増やすと面白い会話ができるので、最初は語彙を増やすことに集中した。
フロリス
最初は日本語が不思議だったのでモティベーションはいつもあったけど退屈なときもあった。その時は小説や映画もまだ分からなかった。それが新しいモティベーションになった。

Q:JLPTはモティベーションになったか。
マールテン
JLPTはN2しか受けていない。JLPTの勉強は一番嫌い。全然好きじゃない。JLPTはむしろモティベーションをなくすんじゃないか。日本語の勉強の時間は楽しくないからなるべく使う方にした方がいいのではないか。その方が勉強の効果もある。
フロリス
N4とN5は受けずに、N3とN2を受けた。今度、マールテンさんとデュッセルドルフでN1を受ける。

Q:同級生のように一緒に勉強するオランダ人はいたか。
マールテン
日本語を一緒に勉強するオランダ人はいなかった。今はいるけど。
フロリス
私の学校には1人いるけど、まだ初級なので、あまり話していない。

Q:二人が知り合ったのは?
マールテン
それまでも友達の友達ぐらいで知ってはいたけど、自分がN2でフロリスがN3ぐらいのときに弁論大会で始めてナマで会った。勉強方法について話すこともあるが、お互いに自分に合った方法がすでにあるから、もっと日本の好きなことについて話したりする。

Q:独学で日本語を勉強しても成功しない人がいるが・・・
マールテン
自分には才能はない。よく言われるがまったく違う。日本語が上手になったのはたくさん時間をかけているからだと思う。
よく教材を使い続ける人がいる。そういう人は間違いを恐れて実際に使わない。自分はすぐに日本語を使い始めた。早いうちから教科書から離れて自信を持って使えばいいんじゃないかと思う。それは会話に限らない。自分も最初に1年は文字でのやりとりはあったが、会話は一度もしなかった。
時間をたくさんかけるには、「分からないから勉強したい」と思うことも大事。見方の問題。脳天気に考える。もうちょっと勉強すれば分かるはずと信じる。英語が話せるので、勉強すればうまくなれるという自信はそもそもあった。成功した経験があるから。
フロリス
私も自分が天才だとは思わないが、意志が違うと思う。深い興味を持っているので勉強できる。
独学しているところも理由の一つだ。普通に教室で勉強すると、自分で何をするか決めることができない。私たちは自分で全部決めたので、勉強はより楽しくなった。

Q:勉強の仕方がわからないという人がいるが?
フロリス
自分でいい教科書を見つけるのが難しいが、いろいろやってみれば見つかる。そして、いちばん自分に合っているものを利用して勉強すると上手になれると思う。
自分は最近オランダ人の14歳の子に教え始めた。
マールテン
まずは好奇心が必要。好奇心があれば、違う方法をやってみようということになって、自分に合ったものをが見つかるはず。とりあえずいろいろ手を出してみるのがいいと思う。
でも、教材選びに悩んでいると勉強をやめてしまうので、何でもいいから始めてしまうのがいい。そもそもパーフェクトな教材はないので、それを探し続けるべきではない。

Q:もう先生は要らないと思うか。
マールテン
先生のあり方は変わっていくんじゃないかと思っている。教材やサイトを作ってくれる先生は必要。従来の教壇に立って教える先生の場合は、必要性は違う。昔は先生だけが情報の出どころだったが、今は情報はどこでも手に入る。先生は唯一の情報の出どころではない。そういう先生は要らないかも。日本語をしゃべる環境を作るのも先生の大切な仕事だと思う。日本の文化などに触れさせるのも先生の仕事。
モティベーションはあくまでも自分が見つけるものだが、その手伝いとしていろいろな刺激を与えるのがいいと思う。
フロリス
教師の仕事はまだ重要。特に勉強を始めた時は難しいから。難しい発音を直してくれる先生が必要。

Q:みんなに伝えたいことは?
先生に言いたいことは生徒たちに自由に勉強させてほしいということ。大学生は興味があるから専攻したはずだ。話す機会を作ったり文化を見せたりして刺激を与えてほしい。
学習者に対しては、好奇心を大切にしてほしいと思う。勉強方法が間違っていれば好奇心があれば気がつくはず。
フロリス
先生にお願いしたいのは会話能力を身につけさせること。私の学校ではドイツ語のテキストを読んだりすることが多かったが、みんなドイツ語が読めるが話せない。

そして冒険は続く。

【参考資料】
第2回オンライン日本語教師研修 :「豊かな時代における教師の役割 〜日本語教師不要説」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tCoYU2x3Gjo

むらログ: 学ぶ意欲の心理学
http://mongolia.seesaa.net/article/360807316.html

Learn Japanese | Tae Kim's Guide to Learning Japanese
http://www.guidetojapanese.org/learn/

Japanese for Busy People I: Romanized Version
http://amzn.to/1MXM684

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posted by 村上吉文 at 01:09 | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーをはてなブックマークに追加

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